いよいよ発売! ゲームボーイアドバンス特集

3.開発者インタビュー

『スーパーマリオアドバンス』

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「原点のおもしろさがあるゲームです」

鈴木利明 ディレクター:
任天堂株式会社
業務本部業務部技術課
鈴木利明
手塚卓志 アドバイザー:
任天堂株式会社
情報開発本部 制作部
手塚卓志
木村浩之 デザイン、グラフィック:
任天堂株式会社
情報開発本部 制作部 制作課
木村浩之
マリオ

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アドバンスの性能でマリオが美しく生まれ変わる


−−今回のマリオはどんなきっかけで企画が立ちあがったんですか。
手塚さん 手塚:アメリカで『スーパーマリオ』のゲームボーイカラーバージョン(日本では『スーパーマリオDX』としてニンテンドウパワーで発売中)が好評だったんです。『スーパーマリオ』を遊んでいない人には、新鮮だったんでしょうね。 また、以前に遊んだことのある人には懐かしいタイトルだと思います。これは任天堂の資産として貴重なものなので、今回のアドバンスでぜひ出そうということになりました。私はずっと宮本(情報開発本部本部長)と『マリオ』関係の仕事をしていましたので、今回宮本とともに、スーパーバイザーということでアドバイスをさせてもらいました。


−−今回の『スーパーマリオアドバンス』は、『スーパーマリオUSA』と『マリオブラザーズ』のリメイクという形ですよね。アドバンス用に作り直したんですか。
鈴木:プログラムはいちから作り直しです。
木村:スーパーファミコンの『マリオコレクション』に入っていた『スーパーマリオUSA』のグラフィックで使えるデータは流用していますが、エフェクトや演出面で足りなかったものを新規で作っています。
鈴木:でも、スーパーファミコンとアドバンスでは画面サイズがまず違うんです。だから、アドバンスに合わせて地形を変えたり演出をし直さなければならなかったんです。ですから、単純な移植ではないんですよ。

鈴木さん −−グラフィックの変更点というのは、主にどんなところですか。
鈴木:今回は敵を連続で倒すと1UPする要素や得点のシステムを新しく入れましたので、そのへんは新規に作っていますね。あとは連続で敵を倒せる場面を新しく入れて、より爽快感を出しています。

−−大きな敵も前作ではいなかったと思うのですが。
木村:そうですね。アドバンスの特徴としてオブジェクト(操作の対象となるもの。ゲームではキャラクターやアイテムなど)の拡大・縮小ができるので、それを使って、大きな敵を投げられるようにしました。1画面に表示できるキャラクターも、アドバンスでは増えましたので、そのへんのアドバンスらしさは意識して出しました。あとは、液晶が反射型なので、画面が暗くならないよう色使いにはかなり気を使いましたね。発光型ではないので、暗くなりがちなんですよ。まだ研究中ですが、液晶の特性を活かす色を探りながらやっていますね。

木村さん −−ゲームボーイカラーに適した色とアドバンスに適した色は違うんですか。
木村:やっぱり違いますね。出やすい色、出にくい色があるんですよ。開発機材の上で出ている色とも少し違うので、ゲームで動かしてみると、色が悪いこともあるんですね。描いてはアドバンス上で確認し、描いては確認し、の繰返しでした。

−−対戦モードは『マリオブラザーズ』ですよね。懐かしい! これは、待ちかねていたファンが多そうですね。
鈴木:いままでのゲームボーイでは専用ケーブルで対戦するときに全員が同じカートリッジを持っていなくてはいけなかったですよね。アドバンスでは、ひとつのカートリッジで4人が遊ぶことができます。もともとその実験をかねて、『マリオブラザーズ』を作っていたんです。
木村:最初はまったく違う企画だったんですよね。
手塚:でも、今回、『マリオ』を出す機会ができたんで、これはぜひおまけとして入れようということになったんです。

−−4人対戦になるとプログラムの調整が大変だったんじゃないでしょうか。
手塚さん 鈴木:最後まで苦労した部分です(笑)。
手塚:リメイクといっても、そのままの移植ではおもしろくないし、遊んでくださる方も不満ですよね。いろいろと挑戦したいなあと思って、最初は複雑な要素を入れこんでいたんですよ。でも、4人で遊ぶという段階でじゃまになってくるものもありますし、このゲームに合った4人の遊びを考えたときに、どこを削ぎ落としてどこを入れるか。その点に苦心して調整しました。
鈴木:やはり対戦は、人同士がいろいろな動きをすること自体がゲーム性ですよね。そこで、最初はいろいろと入れていたんですが、削っていくことになったんです。最終的にはシンプルな形になりました。

−−対戦はどうすると勝ちなんですか。
鈴木:コインを先に5枚取るか、生き残るか。全員いなくなれば、コインを取っていなくても、生き残っている1人が勝ち。これで、早く5回勝った人が勝ちになります。

−−うわー、かなりシビアな戦いになりそうですね。
手塚:プレイヤー同士でも、コインを取るのをじゃましあったり、持ち上げたり、敵にぶつけたりできるんですよ。だから、この「おじゃまプレイ」が燃えると思います。たくさんコインを集めている人をみんなでじゃましたり(笑)。
−−それは楽しそうですね。

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最初のマリオを知らない世代に送りたい


−−手塚さんは、全体をまとめるときにどんなアドバイスをしたんですか。
木村さん、手塚さん 木村:グラフィック面では今回、プレイ中のキャラクターよりも大きなキャラクターを扱ったのですが、何度もチェックが入ってやり直しになりました。
手塚:オリジナルの絵が、やはり今の時代には合わなかったりするんです。ですから、それをよりいまのマリオらしくしたりしました。アドバンスでは、カラーゲームボーイより1ドットが小さくなって細かい部分が表現できるようになったんですよ。色数も増えたので、きれいな色がより出せるようになりました。ハード的には、スーパーファミコンよりも1段階進化しているんです。ですから、やはりいままでのゲームボーイのゲームより、制作時間もかかるんですよね。

−−背景の重ね合わせもきれいですよね。
木村:そうですね。ゲームボーイのセル数より多いですから。あとはゲームボーイのときは、スクロールしたときに、まれに残像が流れることがあったんですよ。今回、そういったことはなくなりましたね。

−−マリオシリーズということで、宮本さんの監修も厳しかったんじゃないでしょうか。
木村さん 鈴木:一番厳しかったですね。
手塚:私は宮本の隣の席なんですよ。ですから、上がってきたものを一緒にプレイして見て、2人でいろいろと検討しました。
木村:鈴木とふたりで、いつもシュンとなって帰ってきていましたね(笑)。

−−やっぱりマリオだけに、宮本さんの力も入っているんでしょうね。今回は音声も豊富ですね。マリオやピーチたちが声をどんどん出していて。
手塚:そうですね。こういったこともゲームボーイでは専用のチップをのせなければできなかったんです。でも、アドバンスの場合は標準であれくらいのことができますよね。音色としてはかなり豪華です。

−−キャサリンがしゃべるのでびっくりしました。
鈴木:そうですね。大ボス系はみんなしゃべりますよ。

−−マリオシリーズはスタッフの間でも、やはり任天堂の看板という意識が強いですか。
鈴木さん 鈴木:そうですね。今回はオリジナルの『スーパーマリオUSA』を作ったプログラマが担当しましたので、作業はやりやすかったですね。
木村:『スーパーマリオブラザーズ』も、やはりマリオシリーズの原点ですから、根本のおもしろさがあると思います。

−−マリオのキャラクターは対応ハードによって微妙に変化していますよね。
手塚:新しいアクションをさせるために、どうしても最初のキャラクターデザインでは対応できないときがあるんですよ。そういう場合は、やはり手足を長くしたりという形で、少しずつ変わっていきますね。

−−今度は新しくアドバンス版のマリオが生まれるんでしょうか。
木村:でも、今回のプレイヤーキャラクターとしては、スーパーファミコン版のままですよ。でも、ひとつだけ新しいアクションが入っています。
手塚:キャラクターのイメージを変えるような変更はしていないんですよ。

手塚さん −−やはり原点のよさを味わってほしい、と。
手塚:そうですね。こういった遊びをまだ知らない人はたくさんいると思うので、新鮮に遊んでいただけると思います。今後も、できれば昔のマリオシリーズをアドバンスに引き継いでいきたいですね。

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