任天堂ゲームサウンドのすべて PART2
ゲームクリエイターになりたいアナタへ(サウンド編)
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 お待たせしました。「ゲームクリエイターになりたいアナタへ」サウンド編です。今回は、サウンドクリエイターになるにはどうすればいいかをレポートしてみました。実際に任天堂でサウンドクリエイターの採用試験を担当している近藤浩治さん、サウンドプログラマとして活躍している阪東太郎さん、稲垣陽司さんに、求められる能力や、みなさんへのアドバイスをお聞きしましたよ。
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音符好奇心をもって音楽にとりくもう
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−−作曲担当者とサウンドプログラマは、職業としてわかれているのですか。

写真近藤 スーパーファミコンまでは効果音も作曲も同じ人間が担当しましたが、いまは効果音とプログラムはサウンドプログラマ、曲は作曲担当者というふうに分かれていますね。この2つの仕事では、最初から試験が違います。サウンドプログラマはプログラマと同じ試験です。そのうえで、「どういう仕事がしたいか」という項目に「サウンド関係」と書けば、サウンドプログラマとして採用されます。でも、以前はそういう人はほとんどいなかったんです。最近、サウンドプログラマという職業が知れわたるようになって、ようやくそういう人たちが入ってきてくれるようになりました。それまではプログラマで入ってきたけれども、バンドをやっていたとか、音楽が好きだという人がサウンドプログラマになっていたんです。

稲垣 確かにそうですね。僕が入社したときは、まだサウンドプログラマという職業の認知度が低かったんです。それで、たまたま僕が「サウンドがやりたい」と言ったおかげで、サウンドプログラマとして情報開発部に行けたんですよ。

−−みなさん、音楽が好きだったんですか。

阪東 そうですね。僕はロックバンドでキーボードを弾いていました。

稲垣 僕は楽器はやっていないんですけど、趣味としてコンピュータで音楽を作っていたんです。独学で音の仕組みを研究して、自分で録音した音に音階をつけて遊んでいたりしました。そのときの知識が基礎になって、いまがあるような気がします。

−−作曲担当者の試験はどういう感じなんでしょうか。

写真近藤 テープに自分のオリジナルの曲を録音してもらい、それを送ってもらいます。試験のときは課題を与えて、1時間くらいで作曲して楽譜に書いてもらいます。ですから、作曲担当者では、最初から作曲ができる人というのが前提ですね。筆記試験の内容は、音楽知識です。問題は僕が作るんですが、まあだいたいのことを知っているなというのを見るくらいで、基本はしっかり曲を書ける人が求められていますよね。

−−気をつけて勉強をしたほうがいいことはありますか。

近藤 そうですね。音楽学科の出身者はクラシックだけをやってきた人が多いので、そういう人はあまりゲーム音楽の作曲には向かないかもしれません。音楽学科でも、クラシック以外のポピュラーな曲を趣味で作曲していたり、興味をもっている人のほうがいいですよね。

−−応募するテープの内容に規定はありますか。

写真近藤 ゲームの曲を作りたいというからには、やはりゲームにふさわしい曲を作ってきてほしいですよね。あとは、いろいろなバリエーションがあるとか。そういう姿勢は大事です。いきなりギターの弾き語りの曲を送ってこられても、評価に困るというのはあります。

−−学生時代にやっておいたほうがいいことはありますか。

近藤 音楽だけをやっているよりは、ほかのこともできるほうが幅が広がりますよね。音楽だけだと、そこで煮詰まってしまうこともあるでしょうし。たとえば、自転車で日本一周したことがあるとか(笑)。

−−近藤さんは、音楽のほかになにかやっていらしたんですか。

近藤 僕は大学時代には少林寺拳法部に入っていたんですよ。体育会系だったので、上下関係も厳しかったですし、精神鍛錬も求められたんです。少林寺拳法は禅の教えなども学ぶし、技が科学的なのがおもしろかったですね。

−−サウンドプログラマに必要なものはなんでしょうか。

写真阪東 やっぱり好奇心が必要ですね。機械を使うにしても、「このボタンを押したらどうなるだろう」と考える前に、とりあえず押してみる人。それから、ゲームはスタッフみんなと一緒に作るものなので、協調性が必要です。プログラムに関しては、C言語のプログラムができるにこしたことはないでしょうね。

稲垣 あとは、音の原理の知識があると、やりやすいですね。

−−稲垣さんも、音のことは独学で学んだんですか。

写真稲垣 そうですね。僕は音楽の勉強が嫌いだったんですけど、コンピュータで音楽を作るようになって、好きになったんですよ。音楽として、どのアーティストが好きというよりは、音そのものに興味があるんです。普段からいろいろな音楽を幅広く聞いて、「どうしたらこんな音が作れるんだろう」ということを考えつづけてきたのが、いまの仕事に活かされていると思います。

−−音楽の授業も嫌いだったんですか。

写真稲垣 ええ。でも、コンピュータを使い始めたときに、音楽ができると知って、設備をそろえてやってみたんです。そうすると、ピアノは弾けなくても、ピアニストのように音楽を再生することができたりとか。それから興味を持ち始めたんです。

−−やはり好奇心をもってそれをやってみるというのが大事なんですね。

稲垣 そうだと思いますね。小さいころから楽器をやっていなくても、人が気づかない細かい部分での音の興味があれば、効果音作成者になれるんじゃないかと思います。

−−作曲のほうは楽器はできたほうがいいですか。音大出身者でなくてもクリエイターになれるんでしょうか。

近藤 ええ、そうですね。音大出身者はむしろ少ないです。関係ない大学に行っていても、趣味で音楽をやっている人、作曲ができる人なら挑戦できます。


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