1.トレーディングカードが変わる? ポケモンカードe大研究
eアプリ開発者インタビュー

トレーディングカードとゲームボーイアドバンスが融合したこの新しい遊び方に初めて対応したのが、ポケモンカードの最新シリーズである「ポケモンカードe!」 この仕組みがどのように生まれたのかを追跡します。そこで、まずポケモンカードeを制作されたクリーチャーズの赤羽さん、入江さんを取材しました。

赤羽卓美さん
株式会社クリーチャーズ
カードゲーム制作室 室長
赤羽卓美さん
入江勝義さん
株式会社クリーチャーズ
開発部 課長
入江勝義さん



見えない価値をカードに埋めこむ
N.O.M ポケモンカードeの企画は、どうして始まったんですか。
取材風景赤羽: クリーチャーズでは「ポケットモンスターカードゲーム」というトレーディングカードゲームを企画・制作し、約5年間続けてきました。その中で、遊びを一段階進化させていけないだろうかと考えたところからスタートしています。そこで考えたのが、カード自体に見えない形でデータを埋めこむことです。トレーディングカードゲームというと、普通は目に見える形で価値がわかりますよね。例えば、ポケモンカードでいえば、めずらしいポケモンのカードであるとか。でも、実は見えない価値もあるのが一段階進化したカードじゃないかと思ったんです。あとで「このカードにこんな価値があったのか」と気づくことで、価値が逆転するわけですよね。それからもうひとつは、カードにデータを仕込んでおいて、あとあとそれを遊べるようにできないかと考えていたんです。
N.O.M そうすると、トレーディングカードとゲームボーイアドバンスを繋ぐこの「カードe」という遊び方は、まずクリーチャーズさんが企画されて、そこに任天堂が加わったプロジェクトになったんですね。
取材風景赤羽: そうですね。「目に見えない価値が組み込まれた新しいカードを作りたい」という構想があって、それを実現するためにいろいろハル研さんと検討しました。例えば透明インクを使おうとか、熱で印刷面を描き変えるようにしようとか、磁気で絵が変わるようにしようとか。その時に出会ったのがオリンパスさんの技術で、一番たくさんのデータを入れられることが分かったんです。
N.O.M 開発期間はどれくらいだったんですか。
赤羽: 構想から丸2年くらいですね。ポケモンカードneoが出る前に、技術の情報収集をはじめて、ちょうどneoが出たあたりでプロジェクトとして動きはじめたんです。
N.O.M ポケモンカードブームの最中ですよね。
赤羽: ええ。でも、「変えなければ」という意識は強かったんです。どんなものでもそうですが、ブームが長く続けば続くほど、中身は薄くなっていきますから、もっと付加できる要素はないかと模索していたんですね。
N.O.M ゲームボーイアドバンスと連動する計画が出たのは、いつ頃ですか。
取材風景赤羽: それは最初からですね。見えないデータを表示させるためのデバイスはなにがあるのかと考えたら、ちょうどその時期にゲームボーイアドバンスが開発中で、うまくリンクできたんです。パソコンにつなぐデバイスを作ってもよかったのですが、遊びとして位置づけるには、もっと子どもたちに普及したデバイスが必要です。ベストなのは、ゲームボーイのようにハンディなものですよね。

カードを追加することでますます楽しくなる
N.O.M カードeに印刷されたコードを読み取る技術は、独自のものなのですか。
入江: もともとはオリンパスさんの技術です。それをカードe用にカスタマイズしてもらったというのが正しいですね。そのあとは、読みこむコードの長さについて、かなり検討しました。最初はカードの4辺にコードをつけようかと思ったんですよ。でも、ポケモンカードeについて言えばデザイン的に美しくないし、遊ぶときにいちいち4辺を読みこむのは大変ですよね。それで、いまの2辺を読みこむ形になりました。
N.O.M これは、カードに折り目がついたりしたら読みこめないんですよね。
取材風景赤羽: 絶対に大丈夫とは言えませんが、たいていの場合は読めますね。汚れも、ある程度は大丈夫です。しかし、これをカラーコピーした紙を読みこませようと思ってもできません。
N.O.M −印刷されているプログラムは、だいたいどのようなものがあるんですか。
入江: これもポケモンカードeの場合ですが、大まかに言うと、ミニゲームやショートムービー、eツールなどがあります。eツールというのは、ポケモンカードバトルの対戦時間を計れるタイマーや、コイントス代わりに使えるコインフリッパーなどのサポート的なものですね。これらをまとめて「eアプリ」と呼んでいます。その他には、カードの組み合わせを変えることでゲーム内容も変わってゆくというような、プレイヤーがゲームを好きなように改造できる遊び方などもあるのですが、それはまだ秘密です。お楽しみ、ということで……。
N.O.M ポケモンたちの動きが良いですね。
取材風景入江: そうですね。ゲームボーイのポケモンはRPGですが、実はポケモンのアクションゲームってそれほどありませんよね。eアプリではアクションゲームなどもありますので、ポケモンの動きを表現するグラフィックには力を入れました。
N.O.M やはり、たくさんカードを集めたほうがいろいろなことができるんですよね?
入江: そうですね。データを追加していって、それで好きに遊んでください、という企画なんです。最初におもちゃを供給して、あとからパーツを追加していくような感じですよね。そこが従来のものと大きく違います。

カードeが生み出す新しい交換の価値
取材風景赤羽: カードeで、また新しい交換の価値が生まれると思うんです。「僕はすごく強いデッキが作りたいから、強いカードが欲しい」という人もいれば、「僕はミニゲームをやりたいからこのカードが欲しい」という人もいる。交換のバリエーションが広がりますよね。
N.O.M 強いカードだから豪華なゲームが入っているというわけではないんですね。
赤羽: そこはわりとバラバラです。カードの絵から想像がつきやすいミニゲームやショートムービーが入ってはいますけどね。
N.O.M 今後はどういった展開を考えていらっしゃいますか。
取材風景赤羽: トレーディングカードゲームの方向性で「こうならなったらいいな」というものと、あとはポケモンカードゲーム自体が世界的に遊ばれているカードなので、遊びのベースをもう少し広げていきたいと考えています。いずれはいろいろな国の子どもたちが遊べるようにしたいですね。いま、ハワイでポケモンカードの世界交流戦をやっていますが、言葉が通じなくても、子どもたちはカードでコミュニケーションをしているんですね。そういうツールって、ほかにあまりないですよね。ですから、そのベースをもっと広げていきたいんです。広げるための大きな仕掛けのひとつが、こういった新しいカードの展開だと思います。まずは子どもたちに買ってもらって、新しいポケモンカードの世界に触れてもらいたいですね。



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