『とっとこハム太郎3 ラブラブ大冒険でちゅ』制作スタッフインタビュー

Person

田邊賢輔

Profile

任天堂株式会社情報開発本部制作部制作課制作担当
スーパーバイザーを担当。
過去の作品:『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』(SFC)、『スター・ウォーズ 帝国の影』『ポケモンスタジアム』(NINTENDO64)ほか

田邊賢輔



今度はリボンちゃんと“デュエットハムご”
くるりん
−−今回の『3』は、『2』に続き、“ハムご”をメインにしたゲームなんですか。

田邊 そうですね。“ハムご”って最初は言葉だけのアイデアだったんですが、せっかくテレビアニメにもなっている作品なので、動きを見せようということになったんです。ですから、“ハムご”にはそれぞれアクションがついているんですね。『3』ではさらに、ハム太郎とリボンちゃんの“デュエットハムご”が登場します。
−−“ハムご”というのは『ハム太郎』のアニメから取ったんですか。
田邊
田邊 いえ、“ハムご”が出てきたのはゲームが先です。『2』を作ったときにいくつかアニメでも取り入れられましたが、基本はゲームオリジナルの言葉ですね。『2』と『3』は同じゲームディレクターなんですが、“ハムご”はそもそも、そのディレクターのアイデアだったんですよ。もともとは原作者の河井先生が「かしかし」とか「くんかくんか」という擬音を作品の中で使われていたのがヒントだったんです。ただ、全部で100以上ある“ハムご”のうち、ほとんどはゲームのために作りました。
−−言葉を覚えることで、どんどんストーリーが進んでいきますよね。そこがとてもユニークです。
田邊 基本的にはオーソドックスなアドベンチャーゲームなんですよね。基本の“ハムご”を使うと、相手のリアクションが返ってくる。それを見ながら、今度はどんな行動をすれば相手が自分の思う通りに動いてくれるかを考える。その謎解きのキーが、“ハムご”になっているということなんです。最初は単純に“ハムご”の意味を調べて辞典を完成させていくようなゲームを考えていたんです。でも、小さい子どもが遊ぶのだから、単なる書き言葉にはしたくない。それで、自然にアドベンチャーの形になったんです。『3』はその世界をバージョンアップして、さらにアドバンスの機能を生かした作品ということですよね。
−−アドバンスになって変わったところはどこですか。
「どっかり」などはアドバンスの「拡大・縮小」の機能を使用!
田邊 一番大きいのはグラフィックの変更ですね。キャラクターのサイズがひと回り以上大きくなったということと、あとは色数が増えてより美しい画面になりました。アニメーションも細かくなっています。また、ゆうえんちでジェットコースターに乗るところや、コーヒーカップに乗るところは、大きな絵で表現しています。大きくしたときにきれいに見えるというのは、やはり色数のおかげなんですよね。ラブが成立してハートが出てくるところは、アドバンスの「拡大・縮小」の機能を使っています。ハム語の中でも「どっかり」とかは「拡大・縮小」の機能を使っているんですよ。

ゲームオリジナルのハムちゃんずも登場
−−河井先生はどういう形で関わっているんですか。
ハムごダンス
田邊 まずは“ハムご”の監修ですよね。紙ベースで言葉とアニメーションの組み合わせをお見せして、OKをいただいています。さらに、実際の動きをロムで確認してもらいます。あとはゲームをプレイしてもらい、感想をいただいたりしていますね。また、今回は中心のキャラクターにエンジェルちゃんとデビハムくんがいます。この2人に関しては、先生に原画を起こしてもらったオリジナルキャラクターなんですよ。小学館のハムちゃんずのワクにはいつのまにか含まれていますけど(笑)。でも、まだアニメには出ていないキャラクターなんですね。

−−今回は“ラブ”が大きなテーマだそうですね。
田邊 ディレクターが女性なので、「今回は女の子の冒険をやりたい」ということで、テーマが“ラブ”になりました。先生も気に入ってくださって、大変ノリ気だったんですよ。先生はすごく寛大なかたで、ゲームに関しても「おもしろければいいです」とおっしゃるんですね。NGもほとんどありませんでした。その意味では、とても仕事がしやすかったですね。
−−具体的に河井先生のアイデアが採用されたところはありますか。
田邊
田邊 個々のアイデアよりは、方向性ですよね。最初は打ち合わせのたびに「ラブが足りない」「ラブが足りない」とおっしゃっていまして、それが全体に反映されています。また、デビハムくんとエンジェルちゃんについても、天使と悪魔をゲームに出していいものか、悩んでいたんですよ。それでコスプレをしているという設定にしようかと思っていたんですが、先生が「そのままでいきましょう」と後押ししてくださって。そんなふうに、先生のひとことが、いろいろな場面で効いていると思います。

着せかえやアクセサリー作りだけでも楽しめる!
ゲーム中のドット絵
−−ゲーム中のドット絵はグラフィッカーが描き起こしているんですか。

田邊 そうですね。小学館からいろいろな資料をもらってきて、それを参考にしながら描いています。動きの部分は、デザイナーが独自で起こしていますね。

−−ユーザーさんとしては、ここでしか見られないハム太郎たちの動きが見られるということですよね。
田邊 ええ。小さい子が絵を見ているだけでも楽しめるようにしたかったんですね。アニメーションをたくさん作ってもったいなかったので、“ハムご”でダンスを作れるコーナーをつけ加えたんです。
−−そのほかに、宝石が集められたり着せかえができたり、楽しい企画がたくさんありますよね。
宝石
田邊 ええ。『2』のときに、小さい子どもさんは謎が解けなかったりしたんですね。でも、そういう子どもたちは着せかえだけをしてずっと遊んでいるんです。それで、今回は『2』よりもお金がたくさん手に入るようにして、もっと買物が楽しめるようにしました。また、新たに宝石も集められます。いしころを拾って磨くと宝石が出てくるんですが、これでアクセサリーを作れるんですね。それをコンプリートしていく楽しみもありますよ。宝石の種類だけで30個ありますし。一度のプレイ時間を長くするよりは、そんなふうにクリアしたあとも気長に遊べる作品にしたかったんです。
−−田邊さんがアドバイザーとして、一番気にした点はどこですか。
田邊 やはり、小さい子どもにプレイしてもらえるかどうかですね。最初の30分で投げられたら終わりですから、そこをどう引っ張れるか。「わからない」と思われないように、楽しくプレイさせながら、うまくユーザーを導くということですよね。そのつかみが悪いと、後半でいいところがあっても、アラばかりが目立ってしまうんですよ。
−−今後の『とっとこハム太郎』シリーズのご予定をお聞きかせください。
田邊
田邊 “ハムご”のシリーズは今回で終わりでしょうね。次回はおそらく、アクションゲームになるんではないでしょうか。といっても、ハム太郎に戦闘をさせるつもりはありません。みんながハッピーになるようなゲームを作りたいと思っています。これからも魅力的なゲームを出していきますので、応援してください! それから、ぜひハム語を日常的に使ってほしいですね。お友だちに会ったら「はむはー」ってあいさつしてくださいね(笑)。



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