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『バイオハザード0』発売記念 開発者インタビュー
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いよいよゲームキューブで発売の『バイオハザード0』。今度はどんな恐怖が用意されているのか、ワクワクドキドキですね。発売を記念して、ディレクターの小田晃嗣さんにお話をお聞きしました。

ディレクター
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株式会社カプコン 第三開発部
小田 晃嗣さん
小田 晃嗣さん

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【プロフィール】
点線
1991年入社。
スーパーファミコン『超魔界村』の手伝いやディズニータイトルの制作等を経て、
当時は試作ラインであったPS『バイオハザード』の企画に参画。
そののち完成を見ずして、第三開発部(当時第五制作部)に移籍。
『天地を喰らう2』をはじめとする格闘系の移植作品をハードを問わず、数多くこなす。
1999年、64DD版の『バイオハザード 0』開発計画を見せられ、興味を示したところ
そのままディレクターを拝命。正式にハードをN64に移して開発を開始、
現在に至る。
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マーク『0』のために生まれたパートナーザッピング
N.O.M >>> 『バイオハザード0』はニンテンドウ64(N64)時代から発表されていた作品ですよね。
小田 企画自体は実は64DDが発表された頃に立ち上がっていました。
しかし、そのスペックや販売状況を見ていくうち、N64本体で発売しようということになったんです。
そこからシナリオ制作がスタートし、次いでゲーム本編の制作が始まりました。
そしてその後にゲームキューブに移行することになったんです。N64版も半分以上は完成していたんですよ。
もちろん映像などはすべて作り直しでしたが、キューブになっても企画の大枠は変わっていないですね。
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N.O.M >>> というと、パートナーザッピングの発想はN64時代からあったんですか。
小田さん小田 ええ。パートナーザッピングを採用した理由の1つにN64のスペックがありました。
N64はカートリッジですからロード時間が短いですよね。
ハードの性能を活かした企画を考えた時、リアルタイムでザッピングができるシステムが生まれたんです。
せっかく完成させたシステムだったので、ゲームキューブになってもそれをなんとか維持できないかと思い、研究を重ねて今の状態に持っていきました。
N64ではほとんど瞬時にザッピングすることができましたが、ゲームキューブの場合はローディングを挟んでしまうため、それをいかにフレーム単位で短くするかというのは今回の大きな課題の一つでした。
最初はお話にならないほど長かったんですが、なんとかストレスを感じない長さに納められたと思います。
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N.O.M >>> パートナーザッピングは以前から温めていた企画だったんですか。
小田 そういうわけではなく、『バイオハザード 0』のために考えたシステムなんです。
バイオというのは、シリーズごとに毎回新しいシステムが提示されていますよね。
ある程度の統制は必要ですが、毎回その時に最高の面白さがあればいい、という考えが明確に反映されていると思います。
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N.O.M >>> 『0』はシリーズの時間軸では一番最初のお話ですよね。これですべての謎が解けるのでしょうか。
小田 それは実際にプレイされてみてのお楽しみです。
謎が解かれるかもしれませんし、新たな謎が提示される・・・かもしれません?
もちろん、お馴染みの登場人物は多数登場します。


マークチーム編成によって戦法も変化する
ゲーム画面N.O.M >>> 男女のキャラクターで違いはあるんですか。
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小田 重い物はビリーしか動かせなかったり、レベッカしか入れない狭い所があったりしますね。
あとは敵を避けて進むには、実は身体の小さいレベッカのほうがお得だったりします。
体力的にはビリーのほうが上に設定されています。
レベッカの体力値はビリーの3分の2くらいなんですよ。
それぞれの特性を出すために、そこは思い切って大きく変えています。
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ビリーとレベッカN.O.M >>> パートナーは単独行動と共同行動が選べますよね。
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小田 そうですね。
単独行動の時は、画面はメインに合わせていても、パートナーはパートナーでリアルタイムに時間が流れています。
キャラクターにはそれぞれ思考プログラムを持たせてあるので、攻撃状態にしていれば自動で敵を攻撃してくれます。

もう一方の共同行動は、パートナープレイの中で一番多くなるであろうと予想される行動です。
単に片方についていくだけではまったく面白くないので、そのキャラクターを連れていく時のみに発生するような仕様を入れています。
つまり、ビリーをメインにするか、レベッカをメインにするかで少しずつ状況が変わっていくんですよ。
また、二人で戦うであろうことを想定して、敵の行動もほかのバイオシリーズとは変えています。
予想外の動きをしたりしますよ。
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N.O.M >>> どちらをメインキャラクターにするかで、有利・不利は分かれるんでしょうか。
小田 それは好みですね。
今回、一番プレイスタイルが分かれるのはそこだと思うんです。
ビリー,レベッカのどちらををメインにするか? あるいは一人で主だった部屋を回るかで攻略もかなり変わってくるため、それをどう落ち着けるかというのも企画仕様上の大きな課題でした。
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N.O.M >>> 1人で行ったほうがやりやすいシーンもあるし、2人でないと難しいシーンもありますよね。
小田 持たせる武器によっても変わりますね。
攻略的にどのシーンにも柔軟に対応できる組み合わせを取るか、自分が苦手なシーンを駆け抜けるに相応しい組み合わせを見つけるか。
ユーザーさんによっても色々と分かれると思います。
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N.O.M >>> ルートは一通りではないんですか。
小田 今回は一通りではないですね。
そのために思わぬ問題が発生する事もありました。
例えばアイテムを「置く」という選択があるんですが、弾をある部屋に置いたまま先に進んでしまうとしまうと、進み方によっては弾を取りに戻れなくなるという問題が発生したりしました。
そこは発見の度に流れを訂正していったわけですが、すべての矛盾を解決しきるのは、最後の最後までひと苦労でした。
セーブポイントやインクリボンについても同様ですね。
最初はここら辺りにタイプライターがあればいいだろうとテストに回したら、人によっては難所を何回もセーブなしで乗り越えないとセーブできないと言わたりもしました。
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N.O.M >>> 今回はアイテムボックスがないんですか。
ゲーム画面小田 ええ、一切ありません。
ですから、先に進む時には常に自分の装備を今まで以上に慎重にチェックする必要があるんです。
アイテムを取りに帰らなくてはいけないシーンも出てくるでしょうし、逆に思い切りよく、持っているアイテムを何度も通りそうな要所に敢えて残しておくのも手でしょう。
ただ、今回は二人でアイテムを持てますから、アイテムを所持できる数はいつもの倍になります。
そこにもプレイヤーの個性が表われて、一人を武器係、もう一人を弾薬係にする人もいれば、弾数は少ないながらも二人にに強力な武器を持たせる人もいるし、逆にアイテム欄をハーブで埋め尽くしている人もいたりと、テスト時にも本当にバラバラでしたね。


マークディレクターも驚く映像スタッフの作りこみ
N.O.M >>> 映像面ではキューブ版の『バイオハザード』よりもさらにクオリティがアップしているようですが。
小田 N64から移行したあと暫くしてから、次の絵作りをどうしようかと考えていたところ、三上(真司=第四開発部部長=)からGC版『バイオハザード』のテスト画像を見せてもらったんです。
ハードのスペックとは別に絵作りをとことん追求していたものだったので、それはもう凄まじいものがあったんですよ。
これに近い絵が実機で動くのかと思うとどうしようかと。
もちろん『バイオハザード 0』の方が後に出ますから、それ以上の絵にしないといけないわけですよね。
そこから苦労が始まりました。
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N.O.M >>> 列車が舞台ということで、発表当時話題になりました。
しかし、実際には列車以外にもたくさんのステージがありますよね。
ゲーム画面小田 ええ。列車の画像しか出さなかったのは、冒頭のステージが列車で、そこの作りこみが一番進んでいたからなんです。
本当はあの時点で他のステージも作っていたんですがクオリティにもまだバラつきがあったので、出しませんでした。
列車も最初は止まっている車内でだけ物語が進んでいたのですが、いまひとつ新鮮味も感じられなかったので、走らせることにしました。
N64の時はしばらく走っては止まるという流れだったんですが、ゲームキューブになってからは常に走行している状態にまで持っていけましたね。
これは背景の動画をループさせて表現しているんですが、描き手がものすごくこだわりまして、「それは見てもわからないんじゃないか」というところまで細かく作りこんであります。
目を凝らして見てみてください。
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N.O.M >>> カーテンが揺れる部分などはすごいですよね。
小田 列車の中の攻略フローチャートも何回か変更されて、そこは一度しか通らないと分かった後でも、スタッフは「途中で気合を抜くわけにはいかない!」と全部屋を作りこむ勢いでやっていましたね。
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小田さんN.O.M >>> 前回の『バイオハザード』のときもそうですが、凝り性のスタッフが多いですよね。
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小田 そうですね。どのシリーズもそうだと思うんですが、それをいかに抑えるかもディレクターの役目なんですね。
辛いところです(笑)。
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N.O.M >>> あとはリアルタイムのエフェクトも色々とあるようですね。
小田 ええ。ゲームキューブのエフェクト制作は一度コツを覚えてしまうと、いいものがどんどん出していく事ができました。
効果スタッフの粘り強い努力の結果でもありますが、素直に作りやすいハードだったと思います。
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小田さんN.O.M >>> 新しいクリーチャーデザインも登場していますよね。
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小田 時間軸では前のお話であるため、プロトタイプ型であったり、野生の実験生物に近いヤツを出していこうと最初から意図していました。
森に普通にいそうな動物や昆虫が、ウイルスに感染して巨大化したという設定なんです。
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N.O.M >>> ほとんど実写に近いリアルさで驚いたのですが。
小田 それは背景班と同じで、モデル班がとめどなく作りこんできたからですね。
放っておくといつのまにか腕が一本増えかねない勢いで作りこんでいました(笑)。
「こっちのほうがいい」ということで、それが生かされることもあるのですが。
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ヒル人間N.O.M >>> デザインでボツにする場合というのは?
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小田 架空の生物であることに変わりはないんですが、やはりあまり現実とかけ離れ過ぎたものだと採用されませんね。一般的にゲームでは敵キャラを“モンスター”と表記することが多いんですが、我々はあくまで“クリーチャー”と呼んでいるんです。
“モンスター”つまり怪物までいってしまうと、バイオの世界観ではないんですね。
ひょっとしたらいるかもしれない・・と、いうものを出すようにしています。
新クリーチャーでのおすすめはヒル人間ですね。
動きは実際に見て頂くしかありませんが、かなりウネウネしていて不気味ですよ。
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N.O.M >>> 強そうですね!
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小田 その敵にしても、戦うか逃げるかはユーザーの選択次第なんです。
しかしやはりバイオは基本的には“逃げる”ゲームですね。
一度倒しておけば、後で出て来なくなってラクになりますが、避ける自信があれば避けておいた方が当然、弾は減らなくて済むんです。
ただ、どんな武器でも今回はそうそう弾が完全に底をつくという事はないと思います。
二人のキャラクターがいて、そのどちらも思うように攻撃できないのはストレスに繋がるので、前作よりは少し弾数を増やしているんですよ。


マークゲーム性で評価される時、努力が報われる
N.O.M >>> お約束のクリア後のおまけモードはありますか。
小田 あります。お約束というところではオマケのコスチュームチェンジがありますね。
これはデザイナースタッフが空いた時間で自由に制作できた部分なので、いつも通り好き放題に作っています。
レベッカの衣装もまだ秘密ですが、楽しみにしてください。
それ以外ではエクストラモードがありますね。
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N.O.M >>> メモリ的には今回は余裕はありましたか。
小田さん小田 メモリ,容量との戦いは最後まで続きました。
今回もディスク二枚組で、隅から隅まで使わせてもらったのですが、パートナーザッピングというシステムを採用している以上、どうしても常に二人分のデータを常に持っておかないといけない為、計算に計算を重ねて不要な読み込みを削っていきました。
またアイテムを置けるというシステムも大きな負担になりましたね。
最後までどのデータをディスクの一枚目のどこに置くか、二枚目はどのシーンから始まるのか、何秒以内にパートナーザッピングができるのか、と全てのプログラムを仕様に変更が加わる度にプログラム班には検討して貰いました。
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N.O.M >>> ところで、小田さんはバイオシリーズを手がけるのはこれが初めてなんですか。
ゲーム画面小田 いえ、もともとPSの『バイオハザード』がまだ紙の企画書だった段階で、一年くらい関わっていたんですよ。
その後ほかのソフトを担当していたんですが、『バイオハザード 0』がN64で本格的に立ち上がった時点でディレクターに指名されたんです。
魅力もありましたし、チャンスでもあると思いました。結果的に好き放題やらせてもらって、それも良い経験になったと思います。
バイオシリーズは作品ごとにすべてディレクターが違うんですが、各ディレクターがやりたいことを能動的に考えて作っていったことが、結果としていい商品に繋がっていると思います。
『バイオハザード 0』も一つのお話として完結していますし、システムもオリジナルのものです。
N64版を作った時にハードの制約上、映像表現やムービーの容量の制限が大きく、ゲーム部分でいかに遊ばせるかという部分をかなり検討したのですが、それはキューブになってもかなり色濃く残ってると思います。
ゲームキューブ版の『バイオハザード』発表時にも三上が同じことを言っていたと思うんですが、ゲームをしたい人が、ゲーム専用のハードで、ゲームをプレイするということを想定しています。
CGに手を抜いているわけではありませんが、やはりゲーム性で評価された時、スタッフ全員が本当にやった甲斐があったと感じることができると思います。
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N.O.M >>> プレイ時間は何時間くらいですか。
小田 初プレイは10時間から15時間ほどじゃないでしょうか?
でも、今回はプレイヤーによってかなり差があるかもしれません。
慣れてくると二周目をプレイするのが楽しくなると思いますよ。
「あの時あそこでこうしておけばよかった」というのが、ザッピングシステムによって広がっていると思います。
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小田さんN.O.M >>> 長かった開発期間、やっと終わりましたね。
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小田 私にとっては一日一日が充実していたので、周囲が言うほど「やっと」ではなかったりします(笑)
ただ、ユーザーさんには待たせ過ぎたと思うので、それはもう申し訳ございませんの一言に尽きますね。
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N.O.M >>> 最後にN.O.Mの読者にひとことお願いいたします。
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小田 まずはお待たせしました。
みなさんにお時間とご支援をいただいたおかげで、『バイオハザード 0』として待ち望んだ続編をみなさんにお届けすることができます。
隅から隅まで完全新作です。
何も考えずに頭から楽しんでください。
どうもありがとうございました。
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