杉山さんと高橋さんは採用時の作品の評価をやっていらっしゃるんですよね。最近の傾向はありますか。 |
杉山 最近、「CGができます」と言ってやって来る学生さんが多いですね。でも、絵は基礎が大事なので、実は技術よりもデッサンのほうが重要なんですよ。 |
|
ゲームを作る際も、手描きのデッサンやスケッチを使うのですか。 |
高橋 手で描いたデッサンを実際の作業で使うかどうかは別として、単純に描写能力が高いということは有利ですよね。
杉山 やっぱり下手な人は、CGで描いてもだんだんアラが出てくるんですよ。
高橋 全体的に、CGできれいにごまかすテクニックは上がってきているんです。でも、そういったテクニックは入社後に僕たちが教えるんですね。学生のうちにそれを覚えても仕方がないんです。やはり本来、美術系の大学で勉強することをきちんとやっておいてほしいと思います。 |
|
ただ、コンピュータを触ったことがないという人は困りますよね。 |
杉山 そうですね。ある程度の知識は必要だと思います。でも、普通に使えればよいのではないでしょうか。 |
|
普通にパソコンを使ってはいるけれど、CGをまったくやったことがないという人が入社した場合、やはり覚えるのに1年くらいはかかりますか。 |
高橋 いえ、現場に入れば3ヶ月で覚えられますよ。
杉山 逆にいうと絵を描けない人であっても、CGだけなら、それくらいの期間でマスターできるんです。だから、デザイナー希望者は、やはり基礎のデッサンをみっちりやってほしいんですよ。
高橋 即戦力を求める会社もあると思うので一概にはいえませんが、当社に関してはそうですね。あとは、個性も大事です。 |
|
個性を出すためにはなにが必要ですか。 |
高橋 人を驚かせたいという心が必要ですよね。
杉山 常に新しいことを考えられる人がいいですね。人と違うことをしようという気持ちが大事ではないでしょうか。同じように作品を並べてみても、そういう人には、なにか光るものがあるんですよ。 |
|
面接で見ている部分はありますか。 |
杉山 社会性や人間性などを見ていますね。
高橋 事前に作品は見ていますので、ちゃんと考えて作品を描いているのかとか、話に矛盾がないかとか、結構細かくチェックしていますよ。 |
|
ゲームはやりこんでいたほうがいいんでしょうか。 |
高橋 それはどちらでもいいんです。マニアでやっていてもいいし、やっていなくても困らない。それよりも、ものを作りたいという気持ちが大事ですね。大学での専攻もあまり関係ありません。 |
|
日々心がけておいたほうがいいことはありますか。 |
杉山 デザインに限らず、学校の授業はきちんと受けておいてほしいと思います。遊びでもいいんですが、なんでも一生懸命やっておいてくれると嬉しいですね。あとは日常に起こっていることを、常に分析して考えるという姿勢が大切です。デザイナーにとって必要なのは、そういった観察力ですね。 |
|
デザインに関することのほかに、必要な能力はありますか。 |
高橋 どこの採用記事を見てもそう書いているとは思いますが、コミュニケーション能力は必要です。
杉山 学生のときは1人で作品を作っていたりすると思うのですが、ゲーム制作というのは、大勢の人と一緒に作っていくものなんです。ですから、社会性は非常に大事ですね。それから、「自分が作ったキャラクターを動かしてみたい」と言って入社して来る人が多いのですが、実際には難しいですよね。うまくすればそういう機会にも恵まれますが、常に自分の好きなものを描けるわけではないんです。ですから、共同作業の中で、自分の役割とやりがいを見つけていってほしいんですね。
高橋 自分の色を出せなくても、ちょっとガマンして隠し味で個性を出してほしいですね。 |
|
最後に、これから就職活動をする学生さんにアドバイスをお願いします。 |
杉山 作品ファイルをきれいに整理して持ってくる人と、そうでない人がいるのですが、実はこの時点でプレゼンは始まっています。上手く整理している人のほうが入試に対する意気込みも感じられますし、作品に対してのこだわりなど評価できますので、これが上手くできていない人はかなり損をしていると思います。自分の作品はきれいに整理して持ってくるようにしてください。
高橋 作品の点数が少ないのもダメですね。アピールしたくないのになぜ入社試験を受けているのかな?と思ってしまうんですよ。アピールひとつ、作品に対する説明の書きかたひとつにも、やる気を感じさせてほしいですね。 |