メトロイドプライム ロゴメトロイドプライム 制作スタッフ インタビュー
田邊賢輔
任天堂株式会社
情報開発本部 制作部 制作課 制作担当
田邊賢輔
プロデュース担当

大谷明
任天堂株式会社
情報開発本部 制作部 制作課 制作担当
大谷明
プロデュース担当

田端里沙
任天堂株式会社
情報開発本部 制作部 制作課 制作担当
田端里沙
翻訳・コーディネーション担当

細部の「メトロイド」らしさにこだわる
−−まず最初に3人の役割分担について教えてください。
インタビュー風景 田邊 今回の『メトロイドプライム』の制作は任天堂の子会社であるレトロスタジオが担当しています。その中での僕の役割はCoプロデューサーと呼ばれるものです。具体的には全体を統括するスーパーバイザーの仕事と、プロモーションまでを手がけています。
大谷 僕も肩書きとしては田邊さんと同じですが、主に現場で直接制作に関わってきました。
田邊 アメリカの会社は日本のゲーム会社とシステムが違っていて、いわゆるディレクターという人間がいないことも多いんですね。プロデューサーがいて、その下にエンジニアやデザイナーがいるという構造なんです。レトロスタジオも現場には全体を見るディレクターがいなかったので、彼にはかなりディレクター的な仕事をしてもらいました。会社はテキサスにあるのですが、5回ほど行ってもらいましたね。
田端 私はレトロスタジオと任天堂の間に交わされる文書の翻訳、テキストの翻訳をしました。
−−そもそも、ゲームキューブで「メトロイド」を作ることになったのはなぜですか。
田邊 レトロスタジオがキューブの作品を何か作ってみようというときに、宮本のほうから「メトロイドを作ってみるのはどうか」という提案があったんです。「メトロイド」はアメリカではすごく人気がありますから、彼らも大好きなソフトだったんですね。それで、まずは作り始めてもらったんです。
−−サムスの視点でスタートするというのもユニークですね。
インタビュー風景 田邊 そうですね。主観視点にしたのはこちらの指示なんですが、ほかの主観視点のゲームとの差別化をはかるために、バイザーシステムが生まれました。初心者が簡単に1スティックで主観視点のゲームを遊べるように、工夫したシステムなんですよ。
−−サムスの新しいアクションもあるんですか。
田邊 モーフボールになったときに加速できる「ブーストボール」という特殊能力が増えていますね。ボール状態でブーストできるので、U字型になった地形で高いところまで移動できるんですよ。

主観視点でサムスの孤独感を味わってほしい
−−制作にあたり、一番気をつけたところはどこですか。
田邊 海外ゲームでよくあることですが、大味になりすぎないようにするということですね。もう少し細かく考えましょう、という点は厳しく言っていきました。
−−田端さんはそういった細かい指示も訳すわけですか。
インタビュー風景 田端 そうですね。最初はゲームに関する専門用語がまったくわからなかったので、それを覚えるだけでも大変でした。日本で使われている言葉が、向こうでは通じなかったりしますし。毎日が勉強でしたね。
田邊 彼女が訳したものを積み上げたら、山のようになると思いますよ。その上、彼女の仕事は、僕らが指示書を作ったあとにスタートするんです。スケジュール的にはかなり追い込まれていますから、素早く正確に翻訳して、先方に伝えるのは本当に大変だったとおもいますよ。
−−海外とのやりとりはメールですか。
田端 そうですね。あとは現地にもコーディネーターとして、2回ほど行っています。
田邊 テレビ電話での会議も数え切れないほど実施しましたね。実際の画面をデモしながら、やりとりをしていくんです。NOA(ニンテンドウ・オブ・アメリカ)を通して、通訳してもらいながら三者会議で進めたので、とても大変でした。でも、やっぱり「この画面のここ」と指摘したいときがあるので、どうしても必要な作業なんですよ。
−−日本にいながらにして、ディレクションができるのは便利ですね。
大谷 でも、やはり現場に行って直接話さなければ通じないこともたくさんあるんです。
田邊 彼は最後の追い込みのときは2ヶ月くらい滞在していたんです。レトロスタジオには彼の部屋が用意されていたほどなんですよ。
大谷 あんまりたびたび行くので、最後のほうは、アメリカの食べ物にもすっかり慣れました(笑)。
−−コミュニケーションは上手くいきましたか。
大谷 直接話をしているといっても、一度通訳を通すので、やはり意志の疎通には時間がかかるんですね。それに文化の違いによる考え方の違いなどもあって、一度会議を始めると、そのまま朝まで、ということも何度もありました。最後には手振り身振りで説明しましたね。あとは、絵コンテなど仕様にも、直接手を入れながら作業しました。次第に、スタッフもチームの一員として私を見てくれるようになりました。彼らも海外のスタッフにはめずらしく、残業や休日出勤もいとわず働いてくれたんですね。熱心に取り組んでもらった結果、非常にいいゲームが出来たと思います。
−−全体を見るというよりは、かなり具体的にディレクションをしていった感じですね。
インタビュー風景 大谷 そうですね。僕らのチームは基本的に外部の会社をコーディネーションしていくんですが、深く関わる場合とそうでない場合があります。今回はかなり深くかかわったほうですね。実際、仕様書までこちらで書いたケースはめずらしいと思います。
−−仕様書まで! 任天堂がそこまでしっかり監修していれば、「メトロイド」ファンも納得ですね。
大谷 実際にアメリカ版の評判もいいので、そのへんを評価してもらっているんではないかと思いますね。
−−アメリカ、ヨーロッパ版が先に出ましたが、日本版との違いはありますか。
田邊 この作品はめずらしく、アメリカ版より日本版のほうが難易度が高いんですね。ヨーロッパ版は日本版と同じ難易度で同じ仕様なのですが。そのほかに日本版・ヨーロッパ版のほうがアイテムの種類も増えていますし、一部のシネマも変更されています。具体的にはエフェクトが追加されたり、アニメーションが変化したりしていますね。中にはグラップリングビームのように、シネマ自体が丸ごと追加されているケースもありますよ。
−−ファンは海外版、日本版ともにプレイしてみたいでしょうね。プレイ時間は何時間くらいですか。
田邊 初プレイで20〜30時間くらいですね。
−−ということは、かなりの大作ですね。プレイするのが楽しみです。では、最後に読者のみなさんにひとことずつお願い致します。
大谷 日本ではあまり受け入れられにくい主観視点のゲームですが、初心者にも遊びやすいようにアレンジしています。従来の主観視点ゲームとは違った新しいカタチの主観視点ゲームとして楽しんで下さい。
田邊 1人で惑星を探索しているという孤独感みたいなものもひしひしと感じられると思います。また、海外制作のゲームは操作性が悪いという印象があるかもしれませんが、このゲームでは操作性にもかなりこだわっていますし、技術的にも非常に高いものがあります。ぜひ買ってください。
田端 私も個人的に主観視点のゲームはあまりプレイしたことがなかったんですね。でも、この作品は、触わってみると、すごくプレイしやすくて楽しく遊べるんです。とにかく触わってもらえれば、よさがわかると思います。みなさんもぜひ、一度手に取ってみてください。

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