開発スタッフインタビュー 『ドンキーコンガ』 ゲームキューブソフト
株式会社ナムコ CTクリエイターグループ任天堂株式会社 業務本部業務技術部
プロデューサー 五十嵐 博さんサウンド担当 小沢 純子さんコーディネーション 東山 潤
ゲームディレクター 小野田 裕之さんサウンド担当 自営山(じぇさーん)さんコーディネーション 芳賀 貴行
ゲームデザイン 遠藤 洋海さんドンキーコング イラストディディー イラスト


ナムコ×任天堂の強力タッグで生まれた『ドンキーコンガ』。
新感覚の試みが随所に活かされ、さらには老舗メーカーならではのアイディアや経験が盛り込まれた仕上がりになっています。
このゲーム、いったいどんな経緯で出来上がったのでしょうか?
楽しさいっぱいの開発エピソードを教えてもらいました!

タルコンガの開発は試作に試作を重ねて

N.O.M ソフト開発までの経緯を教えてください。
  五十嵐さん五十嵐 今回は任天堂さんから「ドンキーコングを使ったゲームを作って欲しい」という打診がありました。最初は音楽ゲームという限定はしていなくて、「みんなで楽しめるもの」ということだけが決まっていたんですね。音楽というのは、あくまでもそのなかで模索した結果です。それで、「ドンキーコングと言ったら、やっぱりタルを使わないとねぇ」という話になって、色々と話し合った結果、このタルコンガというハードができ上がりました。


N.O.M "タルコンガ"のインパクトは強いですよね。
  ドンキーコンガ五十嵐 ドンキーコングのイメージでタルがあって、どうせならそれをふたつ並べちゃおうと。そんなイメージを任天堂さんの方へ出したのがきっかけです。

芳賀 今回はハードとソフトを同時進行で作っていたんです。初めの頃には手拍子という要素はなかったんです。でも、最後の最後に宮本が「手拍子を入れて」と提案してきたので、左右入力+手拍子という形になりました。

五十嵐 手拍子センサーの導入の話を聞いて、いい意味で「やられた」と思いました。これはぜひ、入れるべきだとも。

小沢 話だけは事前に聞いていたのですが、仕様変更は大変なので現物を見るまでは納得できないというのがありました。でも現物を見たら、みんな納得したんです。ただ、ミニゲームにその影響がきて、変更で苦労しましたが。


N.O.M 新しいゲームということで、苦労されたポイントがあると思うのですが。
  東山東山 ハード開発側としては、やはりタルコンガですね。ゲームのハードは無機質なイメージですが、これは木ダルのイメージにどこまで近づけるかというテーマがあって。初めは茶色の塗装だけで、単なるプラスチックという感じだったんですが、これには木目の質感を出すために特殊な塗装を施してあります。『ドンキーコング』のなかに登場するタルをリアルな形にしたことで、玩具と楽器のちょうど中間のものができたと思います。

タルコンガ五十嵐 あまりにもオモチャっぽくしたくない、と(任天堂の)ハード開発の方からの希望がありまして。リアル指向でいこうと。初めの試作品は、本当に木でできてるんじゃないかというほどに、リアルなタルコンガが出来てきたんですよ。この技術力やこだわりは本当にすばらしいです。

芳賀 タルコンガの打面に関しては、柔らかくしすぎると内蔵のスイッチが分かってしまうし、固くしすぎると叩いているうちに手が痛くなってしまいます。その加減はかなり試行錯誤して、試作品を沢山造りました。

五十嵐 手触りは、実際の楽器を見てかなり本物に近くこだわったつもりです。あと、タルコンガのスタートボタンは真ん中にあります(笑)。これをどこにつけるかで色々とありましたので…。

選曲は、好みとリズムと間口の広さ

N.O.M ソフトの面ではいかがですか?
  左から:小野田さん・遠藤さん小野田 僕は音符の決定や左右の叩き分け、手拍子をどうわからせようかという見えない苦労がありました。難易度もマニアックプレイと遊びやすさの調整、音符の見やすさのブレンドという面が大変でした。

遠藤 『ドンキーコング』は任天堂のキャラクターだけど、それが『ドンキーコンガ』の世界観に合っているか、ということで試行錯誤がありました。動きの修正なんかも結構ありましたし。音楽ゲームはやはり音楽や操作関係が先に来て、キャラはその後から…という作り方になりますので、スケジュールもきつかったです。

左から:小沢さん・自営山さん自営山 サウンドとしては、「間口を広くする」「挑戦的なフレーズをいかに入れるか」という部分にかなり力を入れました。打楽器の経験がある人なら、にやっとしてしまう部分があると思いますので、『マンボNo.5』なんかぜひ挑戦してほしいですね。あと、右利きの人が多いと思うんですが、意識して左手を使わせるようにもしてあります。

小沢 私はタルコンガを叩くパターンの音符を作っていたんですが、1曲につき1人から4人用まであって、難易度を分けて…という数の多さで苦労しました。パターンに関しても正解というものがないわけですし。やる度にアイディアが出てくるので、調整が大変でした。


N.O.M 選曲は、みなさんの好みが反映されていたりするんでしょうか。
  会議風景小沢 これはみんなで案を出し合いました。選曲会議で最も時間を使ったと思います。

芳賀 こちらからは、"We are the ONE〜僕らはひとつ〜"(注釈:爆竜戦隊アバレンジャーのエンディングテーマ)を強く推しました。全体的には年齢層が高めの選曲だったんですが、低年齢層にも受け入れられる曲を入れた方が、間口が広がると思いまして。

東山 というか、開発に「うちの息子が『あの曲がないなら買わない!』って言ってるから入れて」と言ってきた人間が(笑)。

芳賀 ほかにも去年は阪神タイガースが強かったこともあり、「ぜひ六甲おろしを入れて欲しい」という声が多かったですね (笑)。

東山 曲に関しては、やはりリズムに乗りやすいことが大前提ですよね。そこから選んでいって、たまたま自分好みの曲になっていったりというのもあります。

小野田 全体的には、メジャー度や親子みんなが知ってる曲、という意識で選んでいるんですよ。


N.O.M "音ゲー"というジャンルはすでに確立されていますが、このゲームはどういった部分で差別化をはかっていますか?
  プレイ風景五十嵐 やはり手拍子です。これはいままでにないアクションですから。

遠藤 4人でプレイできるというのも初めてでしょうね。あと、ポーズで中断できて、そこから再開できるというのも画期的だと思います。

みんなで集まって楽しくプレイしてほしい

N.O.M リズム感が養えそうですね。
  遠藤 リズム感のある人がプレイすると、やっぱりハイスコアが出るでしょうね。"お手バナナ"ではリズム感が養えると思います。あとは、これがもし面白かったらそれぞれ単体でリリースできるかなと(笑)。

五十嵐 やっぱりタルコンガを使ってプレイするので、叩き方の練習でもあるんですよね。音楽のテストの前にこれで練習してくれれば、いい結果が出るんじゃないかなと思いますが(笑)。


N.O.M 次回作の構想はありますか?
  左から:芳賀・東山・五十嵐さん東山 ええ、考えてます! …と、前向きに。

芳賀 年末年始にドンキーコンガを買っていただいた方々のためにも頑張りたいですね。


N.O.M こういう風にプレイしてほしいな、というのはありますか?
  遠藤さん遠藤 やはり4人プレイでワイワイ遊んでほしいですね。4人プレイ用の曲は、スケジュールの都合で8曲しか用意していなかったんですが、なんとか頑張って全曲を4人プレイ用に仕上げることができました。全てのモードに対応させるとなると、1曲につき15種類の楽譜が必要になるんです。それを全曲となると、450くらいの楽譜を作らないといけないので、サウンド担当の人は本当に大変だったと思います。

芳賀 友達や家族が集まる時はドンキーコンガで決まり!老若男女みんなで楽しんで下さい。

東山 『マリオパーティ』からドンキーを奪ってごめんなさい!と言いたいです(編集長注:『マリオパーティ5』では、それまでプレイヤーキャラクターとして使用できたドンキーコングが、ボーナスキャラクターに変更されている。が、決して『ドンキーコンガ』が奪ったせいではない)

集合写真小野田 任天堂とナムコの共同開発という点だけでも、大きくて新しい試みです。それだけでなく、新感覚のゲームを生み出せたと思います。この辺りをご賞味いただきたいですね。

小沢 『正しい叩き方』はないので、画面に出てくる音符にとらわれないプレイもいいと思います。それからみんなでプレイしたい時、タルコンガ1個あれば叩き分けで3人まで遊べます。ぜひ家族で遊んでください。

自営山 お年玉をもらって、金額が6,800円しかない!という場合はぜひ『ドンキーコンガ』を買ってください。

五十嵐 学校などゲームキューブのないところでも音符のパターンを覚えてシャドウプレイをしたり、踊りながらプレイ…みたいに発展して広がっていったら、本当に嬉しいです。


N.O.M どうもありがとうございました!


編集長のプレイレポート 目指せ『タルコンガ』マスター | 開発スタッフインタビュー


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