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ディスクシステム誕生までの経緯を教えて下さい。 |
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もともと私はシャープ株式会社の社員で、自分で開発した半導体の部品を売り歩いていたんですね。そのセールス先のひとつが任天堂で、"光線銃"という商品の電子回路を受託したことがご縁で、その後、任天堂へ入ることになりました。ディスクシステム誕生の前に、まずファミコンがあるわけですが、それ以前にビデオゲーム開発の責任者をやっていまして。それで、社長が「アーケードゲームがテレビ画面でも遊べるようなものを作れ」ということを言いまして、そこからファミコン開発がスタートしたんです。 |

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ファミコン以前に『ゲーム&ウォッチ』が大ヒットしましたよね。 |
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そうです。社長にファミコン開発を言い渡されたのが、ゲーム&ウォッチ全盛の1981年頃ですね。人気商品は必ずコピー商品が出て市場が飽和状態になりますから、それを見越してのことでした。ファミコンにあたるものの開発には、いろいろ考えましたよ。当時アメリカでは『ATARI2600』が大ブームでしたから、それを参考にしようかなと思ったんですよ(笑)。でも、蓋を開けたらあまりにクオリティが低いので、アーケード並みのレベルを求めて一から作ろうと決心したわけです。 |

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発売されたファミコンは空前のブームを巻き起こしましたが…。 |
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もともとファミコンのソフトは、全て自社で作るつもりだったんです。でも紆余曲折あって、サードパーティーが参入することになりまして(笑)。ライバル社が増えていき、ゲーム業界はグラフィックや音の競争になっていきました。音と絵を追求するには、必然的にメモリの容量が必要になってきますが、当時使用されていたチップではもう限界という所まで来ていたんです。この頃が半導体業界のピークでしたね。ワープロやパソコンが売れ、ゲーム用にはなかなか回ってこない。そして半導体バブルで価格が高い。「じゃあどうしよう」というのがディスクシステム開発の入り口だったんですよ。大容量のゲームを求めての戦略でした。 |
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