1-2 キャッチ!タッチ!ヨッシー! 開発スタッフインタビュー
任天堂株式会社 情報開発本部 ディレクター 木村浩之任天堂株式会社 情報開発本部 ゲームコンセプション、プログラムディレクター 太田敬三
『キャッチ!タッチ!ヨッシー!』というゲーム、見た目はとってもカワイイのですが、やってみると奥の深い遊びがギュウギュウに詰まっています。なぜなら、スタッフの職人並みに強い意思とこだわりをもって丁寧に作られているから。というわけで、今回はそのこだわりと完成するまでの道程を伺ってきました。ヨッシーの生みの親からのメッセージもあるので、お楽しみですよ!ヨッシー&ベビィマリオ

まずは直感したイメージの世界から
−おふたりはこれまでどのようなソフトに関わっていたのでしょうか。

木村 木村:最近では『スーパーマリオアドバンスシリーズ』の制作に携わっていました。携帯機つまりGBAのゲームを主に制作していました。ヨッシーが登場するゲームは今回で3作目です。

太田:私は主にNINTENDO64やゲームキューブの開発が多いですね。最近では『ドンキーコンガ』の企画や『ドンキーコング ジャングルビート』の技術などへ関わっています。ヨッシー関係につきましてはスーパーファミコンの『ヨッシーアイランド』に関わっていましたので、2作目ですね。

−『キャッチ!タッチ!ヨッシー!』ができるまでを教えて下さい。

木村:企画としては、2004年のE3(米国のゲーム展示会)に出展するDSのソフトを作ろうという所からですね。このソフトの元になるコンセプトはその時に生まれました。

太田:E3で出展した『バルーントリップ』が始まりなのですが、その発想は2画面ある所に、タッチペンでなにかを描いている自分の姿をイメージすることから始めました。そのうち、下画面に描いた線が上画面に流れていく映像がイメージできて、そして上画面でその流れてきた線に翻弄されるキャラクターがイメージされて…という感じです。その後、元々別チームだった木村のチームと合流しまして、『キャッチ!タッチ!ヨッシー!』は木村のチームと自分のチームの連携で生まれたソフトなんですよ。

−会議などではなく、イメージから出来たものだったんですか。素晴らしい発想ですね。

太田 太田:例えばゲームキューブならコントローラを持った自分の姿をイメージして、そこからなにが見えてくるかですね。今回の場合は自分が描く道があって、キャラクターには良いモノに取らせて、悪いモノには触らせないように導いていくというアイデアが浮かびました。そしてキャラクター自体は操作せず、プレイヤーがキャラクターのためになにかをしなければいけないということから、そのキャラクターは、かばったり守ったりしてあげたくなるもの…ということで、ベビィマリオという設定が生まれてきました。

木村:E3ではベビィマリオの縦スクロールだけでしたが、宮本の方から「ヨッシーを横スクロールで歩かせたら」とアイデアをもらい、新たに横スクロールも作ることになりました。ゲームの開発は、まず太田がゲームキューブで横スクロールの試作版を作るところから始まりました。

−わざわざゲームキューブで作っていたんですか?

太田:考えたものがどの程度の手応えなのかを知るために、やはり実際動かしてみたいんですよね。それで、普段から使い慣れているゲームキューブで試作版を作ったんです。縦スクロールの手応えはE3版で掴めていましたので、横スクロールのゲームを作ってみました。その後、設計がある程度できてからスタッフにお願いしました。

無欲がハイスコアの鍵! 自分次第で変幻自在なプレイスタイル
−新ハードでの制作ということで、なにかしら苦労があったのではと思いますが。

インタビュー風景 太田:いえ、新ハードゆえの苦労というものはありませんでした。逆に、タッチスクリーンという新しいインターフェイスを使うことができるので、私としてはとてもワクワクしていたんです。チームにはいいスタッフが揃っていますし、不安も感じませんでした。

木村:確かに本体と同時発売のソフトを作っていたら時間的に大変だったと思いますが、このソフトはスムーズに制作できた方だと思います。それは、タッチ操作だけでヨッシーがタマゴを投げて敵を倒したり、描いた雲で敵を倒すというゲームの核となる遊びが早い段階で明確になりましたからね。

−視線が2画面を行ったり来たりで、ちょっと忙しい印象ですが、より高得点を狙うためのコツってあるんでしょうか。

太田:まずは欲を出さないことです(笑)。これってクリアだけを目指すなら、本当に単純で簡単なゲームなんです。でも目の前にコインがある、敵がいる、それをどうにかしてやろうとすると、自ら難易度を高める結果になるんですよ。コインを見過ごせばクリアはできるけど、高得点のためには取らねばならない。その欲との戦いでしょうか(笑)。

木村:難易度については、多少高いと思われる方もいるかもしれません。でも、それを理不尽だとは感じさせない作りになっています。

太田:要するに、難しくしているのは遊んでいる本人なんです。「先に進めない」というのは、制作側が意図して与えたことではなくて、プレイヤーが招いたことになります。自分がミスをしたということに、納得せざるを得ない作りにしてあるんですよね。

木村:スコアアタックは、ゴールまでに何点取れるかが目的なので、敢えてコースのボリュームは抑えてあります。クリアだけなら本当に簡単なんですけど(笑)。

−このゲームはボタンを一切使わないんですよね。

太田:やはり描くことに集中して欲しかったんですね。例えばヨッシーをコントロールすることも可能ですが、やはり描くことに集中してシンプルにしたかった。キャラクターは動かせないけど、世界を自分が仕切ってる感覚が楽しめ、退屈感を感じないようにできたと思います。ボタンをひとつも使わないというのは、もはや意地です(笑)。本当はスタートボタンも使いたくなかったんですが、ポーズには必要なので…納得いかないけど渋々という感じですね。ゲームそのものには使用しないので、仕方ないかと(笑)。

木村 木村:今回はタッチペン1本で、年齢に関係なく気軽に遊べるというのが魅力だと思います。操作がシンプルなので、逆に色々な遊び方ができます。最近のゲームは操作が難しいものが多いですが、それによってゲームを触らなくなったという人でも、ニンテンドーDSならできるということをタッチペンを握って実感してもらいたいですね。

太田:ニンテンドーDSならではというアピールをしたかった、そのためにボタン操作は一切なしというのにとにかくこだわったんですよね。

遊ぶことに対する新しい価値観そのものを提供
−モードがいくつかありますね。

木村:ゲーム開始時はスコアアタックとエンドレスのみですが、クリアしていくことでモードは増えていきます。それぞれ違った味つけをしましたので、いろんな楽しみ方ができるはずです。私はチャレンジが好きなのですが、POWブロックを利用して大量のコインを取っていく攻略がおすすめです。

太田:それぞれ脳の使い方が違うというか、気分によって選べるのがいいと思いますよ。

−ところで、以前よりヨッシーがかわいくなっているような気がするのですが、気のせいでしょうか(笑)。

木村:やはりヨッシーを誘導してより良い方向に導く遊びですから、間接的という意味ではペットにふれる感覚に近いのではないでしょうか(笑)。

−マイク入力で雲を吹き飛ばすというのは、どういう発案だったんでしょう?

太田 太田:プログラムをしていて、マイクを使ってなにかできないかと考えました。
言葉を入力すると、認識のために相当の技術力が必要になります。では息を吹きかけよう、と。それによってどうしようか、そうだ雲を吹き散らしたら間違って描いたものが消せる…ということになったんです。


−ほかにも、ならではという部分は?

太田:VSバトルはソフトが1本あれば遊べるんですが、その対戦相手を探すためにピクトチャットで遊んでいる人をさがす機能がついています。この機能を使うとスコアアタックなどで遊んでいる時に画面にアイコンが出て知らせてくれますので、そこでゲームを一度止めてピクトチャットに参加して対戦に誘うなんて事ができます。

−ということは、見えない所にいる全く知らない人とも対戦ができるんですか!

太田:はい。話が合えば…(笑)。もちろんそのままピクトチャットを楽しんでもいいです。

木村:ほかには、左利きの人でも遊びやすくしたという点が大きいですね。VSバトルだけは右スクロールですが、それ以外の横スクロールはヨッシーの進む向きを変えられます。
それとスコアアタックですが、実は横コースの長さが変わるんです。縦コースの得点によって助けてくれるヨッシーが変化して、マップや敵の出方などが変わっていくという仕掛けになっています。ヨッシーの色も数パターンがあって、色によって足の速さやタマゴの飛んでいくスピードが変わるんですよ。

−そこも自分次第なんですね。

インタビュー風景 太田:全ては遊んだ人によって左右される、ということですね。ゲームってステージとかボスキャラのボリュームで判断しがちですが、これは新しい価値観そのものを提供していると思っています。一度遊んで終わりではなく、沢山遊んで上手くなっていく過程を、末永く楽しんで欲しいです。

木村:自分が上手くなっていき、プレイの新しい部分を発見することを楽しんで頂きたいゲームです。ぜひ遊んで下さいね。

−どうもありがとうございました!

ヨッシーの生みの親・プロデューサー手塚よりメッセージ
情報開発本部 手塚卓志
手塚卓志
今回は、次々と新しいコースやボスキャラを攻略していくタイプのヨッシーゲームではありませんが、『任天堂らしいゲーム』が出来たと思っています。これまで我々が培ってきたノウハウが、ニンテンドーDSという媒体を通して活かされたものになったと自負しています。ビデオゲームが登場した頃の誰もが単純に楽しめたような…そんなふうに感じて頂けたら制作者として非常に嬉しいです。また、遊ぶうちにだんだんと夢中になって頂ければ、さらにさらに嬉しいです。

ヨッシー

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