2-2 スターフォックス アサルト 開発スタッフインタビュー
左から、任天堂株式会社 スーパーバイザー 池端良仁、任天堂株式会社 プロデューサー 今村孝矢左から、株式会社ナムコ プロデューサー 小林毅さん、株式会社ナムコ オールレンジモードディレクター 中西俊之さん、株式会社ナムコ バトルモードディレクター 吉田豊さん
“本当のコラボレーション”から誕生
任天堂×ナムコのコラボレーション企画、そのビッグプロジェクトの結晶とも言える『スターフォックス アサルト』。完全コラボレーションということで、お互い綿密にコミュニケーションして生まれたソフトだけに、完成に至るまでのエピソードは盛りだくさんなよう。両社の熱いやりとりの過程と、広くアピールしたい思いを伺ってきました!ファルコ・ランバルディ
「かっこいいスターフォックスが見たい」から
−まずこの企画が始まったのはいつからなんでしょう。
今村
今村:スターフォックスシリーズとしては4作目にあたるのですが、前回がアクションアドベンチャーゲームだったので、原点に帰ろうということでシューティングになりました。ユーザーさんからも「シューティングの『スターフォックス』をやりたい」という声がたくさんありましたし。そして、『任天堂・ナムコのコラボレーション』の一環として、今回の話が浮上したわけです。これは開発の流れで、自然に出来た形ですね。

吉田:開発は2002年の6月頃からスタートしました。最初は5名ほどで、そこからどんどん人が増えていったという感じですね。

今村:アドベンチャーを作った時も評価はあったんですが、シューティングを求める声がやはりあって。とはいえその頃のシューティングゲームは、時代と共に消えつつあるポジションでした。だからアドベンチャーということになったのですが、今回は宮本(任天堂情報開発本部長)の方から「かっこいいスターフォックスを見たい」と言う要望があったんです。そこでナムコさんとのコラボがあったので、着手することになりました。

−そこから始まったんですね。

今村:私自身、NINTENDO64の時にオマケ的要素としてあった対戦モードをグレードアップしたい!と言う気持ちが強く、「乗り換えアクション」を駆使した“戦争ごっこ”というのがナムコさんの企画のなかにあったんです。両者の想いが一致して対戦を軸に作って行こうと言う事になりました。

−作品コンセプトはどういうものでしょう。

中西:今回は「乗り換えアクション」というキーワードがありますね。

小林さん 小林:バトルモードに関して言いますと“戦闘機と人の戦い”って、普通はあり得ないじゃないですか。アーウィンと人が対決するというのが、やはり難しいんですよね。スピード一つとっても全然違いますし、スケールや攻撃要素なども全く異なります。まさに異種格闘技戦ですね。とにかく沢山の要素があって、微妙なパラメータのバランスで成り立っているんです。

吉田:乗り換えアクションと言えば、開発初期頃に『アーウィンに乗り込む際にハッチを開く演出を入れよう』と言う案がスタッフからあがっていたのですが、乗り換えた時の気持ち良さとゲームの流れを損なわない様にしたかったので、それらの演出を少なくしてもらって1ボタンでスピーディに乗り換えれる様にしました。この辺りはスタッフに一歩譲ってもらったと言う感じですね。

小林:今回の開発スタッフにはNINTENDO64版の『スターフォックス64』が好きなメンバーが多くて、色々な意味でこだわりが強いんですよね。例えば「このキャラはこんなこと言わない!」とか(笑)。スターフォックス64を好きなメンバーが開発チームに多かったので、64版のファンの方にも喜んでもらえるはずです。

中西:そこは狙って作っていますしね。

小林:後は、今回の新要素の白兵戦なんですが、ファーストパーソン系のシューティングゲームって、日本ではあまり普及してるとは言えないですよね。私自身も実際に遊んでみたら難しくて出来なくて、悔しかったんですよ。今回のフォックスは、日本でもこういうスタイルのゲームが受け入れてもらえるように作ったつもりです。例えば、照準は簡単に合わせられるとか、より直感的に動かせるであるとか。そういう部分を意識して作りました。
また、操作タイプなんですが、最終的には3つも用意することになりました(笑)。これに関しては開発内でも様々な意見がありましたし、決定まで凄く時間がかかった大きな部分です。最初に触る人に向いている操作から、ファーストパーソン系に慣れている上級者、64版の操作を意識したものまでフォローしたつもりです。是非、自分の好みを見つけて下さい。

スタッフも楽しんでしまうほどのいいゲーム
−3Dシューティングゲームって、ちょっと敷居が高いイメージがあるんですが、こちらはどうなんでしょう。

今村、小林さん 今村:一方向にスクロールして、勝手に進んでいくものなので、ゲームの構造としては非常に単純です。このシリーズのきっかけは元々、宮本の中に「ちゃんと遊べる3Dスクロールシューティングゲームを作りたい」というイメージがありました。ちゃんと作れば万人に受け入れられるジャンルになると。

小林:簡単に言うと、Aボタンでショットを撃って、左スティックで弾を避けるという単純で簡単な操作なので、誰にでも楽しめる分野だと思いますよ。もちろん、そこから様々なアーウィンの操作を習得していければ更に楽しめますし。シューティングゲームって最初簡単に入れて、更に遊んでいくと奥が深くなる分野ですよね。スコアアタック等の仕様も入ってますので、一度クリアしたステージでも何度でも楽しめますよ。

−モードがそれぞれ充実していますよね。

小林:今回のスターフォックスは“シューティングモード”、“オールレンジモード”、“バトルモード”、と3本の違うゲームを作ったようなものです(笑)。

今村:64の時はいろいろ実験的にやっていました。画面の4分割だったり、オールレンジだったり、とにかく探求心を持って意欲的にやっていたんです。それがごっちゃになっていた印象もあるんですが、シューティングというベースの上で色々なことができればいいなと思っていました。やはりスーパーファミコン時代にできなかったことを、64で爆発させたという感じですね。そこから発展させて今作があります。

吉田:僕が一番最初に思ったのは、バトルモードだけでも一本のゲームとして成り立つ様な…例えば『スマッシュブラザーズ』の様に充実させたものを作りたいと言う思いがありました。そう言う意味でかなりボリュームがある物になっていると思います。

中西さん 中西:シングルモード(一人プレイ用モード)を作るにあたっては、先行していたバトルモードが面白くなっていたので、それは崩さないように仕上げていきました。序盤はファンの方が待っていたものを、そしてそれ以降はびっくりするような仕掛けがあって、誰でも自然に入って行けるような作りにしています。

−開発される上で特に配慮された点などはありますか?

中西:敵を倒す爽快感は大切にしています。敵が出てきて一発撃たれたらやられるのではなく、派手にドンパチやりたいじゃないですか。そして上手くなれば自らシビアなプレイに挑戦して遊べばいい、そんな風に作りたかったんです。

吉田さん 吉田:僕は元々『007 ゴールデンアイ』のような対戦ゲームが大好きで、スターフォックス64のバトルモードもよく遊んでいました。そこで感じたのは、出来ることに制限があるなということ。だから、そこをより深くして作りたかったというのがありますね。開発中は全ステージの配置などをやっていたので、より面白くするために、毎日対戦しながら調整してたんですよ(笑)。武器やルールもそれこそ沢山あるので、絶対に面白いと思います。

中西:横で見てると次第にスタッフが集まってきて、対戦が盛り上がって、「仕事です!」と言いつつ、普通に喜んで一日中やってるんですよ…(笑)。

今村:開発者が楽しめるゲームは、本当にいいゲームですからね。

小林:本当に上手い人にはなかなか勝てないんですが、そこはハンデをつけたりして調整すると、一緒に遊べるものになります。親子でも大丈夫だと思いますよ。更にチーム戦などもありますので、家族で楽しんでもらいたいですね。しかも、各個人のデータが残りますので、誰が誰を何回倒したとか、センサーボムで何人倒したとか、ファルコをどれだけ使っているか、等など、後でチェックして「ニヤッ」とできる要素が沢山入ってます。

フォックス −根本的な質問で申し訳ないのですが、どうして『スター“フォックス”』なんですか?

今村:元々、キャラクターを動物にしたのは宮本の発想なんですが、キャラクターウィンドウが出た時に動物だとすぐ見分けがついてわかりやすいじゃないですか。で、(旧任天堂本社の)近所には伏見稲荷もあるからキツネでいいかなと(笑)。あとは昔話に出てきそうなキジとか。

小林:で、今回は「ギャラクシアンのナムコ」とのコラボなので、敵のイメージに虫を持ってきたわけです(笑)。

「なぜそこまでゴージャスに?」というほどおなかいっぱいの内容に
−仲間がいて、戦闘中に掛け合いがあっていいですよね。

今村:仲間が「助けてくれ!」と言った瞬間、突然“SFシューティング”から“スターフォックス”に変わるんです。ここは魅力としてユーザーさんが捉えてくれていたので、力を入れました。

中西:台詞のなかには、シリーズを遊んでくれた方がニヤッとするようなものもありますよ。
クリスタル
今村:今回は女の子(クリスタル)が初めて参加していますが、個人的にはこれのお陰でゲームが盛り上がった感じがします。やはり女の子の声で「助けて」って言われると、行きたくなっちゃいますよ(笑)。

−確かにそうですね(笑)。

小林:それと、せっかくのコラボなので、ナムコが絡んだスターフォックスにしたかったというのがありまして、『ゼビウス』『バトルシティー』『スターラスター』の3本が遊べるようになっています。

今村:頑張って遊べば出てくるようになってます。これは『ファミコンミニ』で世間が騒ぐまえから実装してたんで、うちの方が先なんですよ(笑)。あと音楽ですが、今回はフルオーケストラを使っています。64の頃から“ハリウッドのSF映画”というのを意識していたので、そこには力を注ぎました。それにしても、フルオケを生で使ったというのが凄いことだと思います。

小林:シナリオモードではストーリーももちろんですが、プレイヤーの気持ちを盛り上げるために全編通してオーケストラを入れてます。また、バトルモードでもそれぞれの場面で違うオリジナルのBGMを作っているんですよ。「なぜそこまでゴージャスに?」と言いたくなるほど、ものすごい数の曲が入っています。聴き応えありますよ(笑)。

−ところで、池端さんはどの段階で合流されたんでしょう。

池端 池端:私はかなり最後に近い段階で合流しました。ラストの10ヶ月ほどでしょうか。客観的に見て、これを入れた方がいいんじゃないかとか、そういうことをさせてもらいました。

今村:後半になればなるほど、入れたい要素って出てくるんですよね。池端にはその辺をかなりきつく言ってもらいました。

池端:触ってみて感じたことを沢山言いました。役割としては技術面のサポートだったんですが、相当に色々言ったので、ナムコさんからしたら「こいつは今頃なにを言ってんだ!」と思われたんじゃないかと(笑)。

小林:いやいやそんな! 確かに時間(納期)と内容を秤にかけて、「いやもう、これ以上は勘弁して下さい」ということもありましたが(笑)。

−では最後に、ユーザーの皆さんへメッセージをお願いします。

吉田:それぞれのルールごとに、いろんな設定を変えて遊べる様になっています。全ての設定をやり尽くすのは、相当のやり込みが必要になりますし、それだけ奥深いものになっていると思います。やればやるほど楽しみが増えるのが、このゲームの素晴らしい所です。一発逆転も可能な隠しルールも沢山ありますから、ぜひ見つけて遊んで下さいね。

インタビュー風景 中西:ファンの皆さんはコラボレーションをやる、という段階からかなり期待されていると思います。本当にお待たせしました! 発売日に手に入れてもらって、末永くお楽しみください。新規で遊ぶ方も、アサルトでシリーズのファンになってもらえると嬉しいですね。

池端:動きの気持ちよさ、音の豪華さ等、とても入りやすい内容になっていると思います。ぜひとも手にとって遊んで頂きたいです。

小林:今回のフォックスはかなり充実した内容になっていますので、完成した時に「ホッ」としたのが正直なところです。開発も大変でしたが、出来上がったものを見るに本当に良かったなと感じますね。まずはシナリオモードを1人でじっくり遊んでもらって、慣れた頃に友達同士、家族や恋人同士で楽しんで頂けたら嬉しいですね。バトルモードは熱いですよ(笑)

今村:遊べば必ず「おなかいっぱい」になります。どのモードも充分に楽しめる作りですから、新規でプレイされる方も、いわゆる“シリーズの続編”ではないので、安心して下さい!手に汗握るアクションで、ひとりでもみんなでも遊べる楽しさが共存している、ゴージャスで素晴らしい作品になったと自負しています。今回もちょっと泣けますしね!

−どうもありがとうございました!

ランドマスター

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