GAMEBOY ADVANCE任天堂ゲームセミナー2005ゲームセミナー卒業生インタビュー任天堂株式会社企画開発本部 須戸敏之企画開発本部 成澤修一情報開発本部 柴田祐助情報開発本部 平竹晋也

セミナー生が卒業して社会に羽ばたいていったなか、2004年春に、任天堂へ入社した人もいます。今回は、卒業生であり、任天堂の制作現場へ足を踏み入れた彼らのコトバをクローズアップ。当時はなにを思い、そしていまはなにを考えているのでしょうか。

セミナー生募集はゲーム業界への『天の啓示』!?
−皆さんはなにが動機でゲームセミナーに応募したんでしょう。

インタビュー画像須戸: 僕は昔から生活のなかにゲームがあったんで、自然と興味を持っていました。個人的にパソコンのゲームを作ったりしていたんですが、そのなかでゲーム音楽の仕組みなんかに対して技術的な興味がありまして。

平竹: 僕は、映像やアニメーションの勉強をしていました。その数ある選択肢のなかで、ゲーム業界がいちばん魅力的に見えたんです。アナクロ的な制作ばかりしていたので、対極にある時代の先端に触れたかったというのが大きいですね。

成澤: 僕は逆に接点があまりない生活でした。大学でも別分野の研究をしていましたし。でもエンターテイメントの世界には興味があり、今後の進路について悩んでいたときに「セミナー生募集」を見つけたんですよ。天の啓示だと思いましたね(笑)。実際、任天堂を受ける決意が固まりました。

−セミナーではどういったことを学んだと思いますか?

インタビュー画像成澤: 個性のルツボでしたから、色々と衝突して中々話がまとまらない毎日でした。でも、「面白さ」の柱がしっかり立って進むべき道がはっきり見えるようになると、すごいスピードでゲームが作られていくんですよ。ゲーム制作の苦楽を十分過ぎるくらい学びました。

須戸: いい意味で、「こうやるとダメなゲームができてしまう」ということがわかりました。雰囲気や制作チームの流れなんかもそうですし、いいものを作るには「こうなったらいけない」ということも知っておかなくてはいけないと。最終的にはバランスの取れた作品に仕上げられたけれど、失敗を経験するのはセミナーでこそ許されるわけで、そこを含めてよく学ばせてもらったと思います。いい意味で。

成澤: 確かに、内作して気が付いたことが多かったですね。自分たちが面白いと思っていることを(セミナーのなかの)他チームから受け入れてもらえなかったり、難易度調整を見誤ったり。こだわりを持つことは大切ですが、面白さの軸がずれてしまっては意味ないですからね。そのことに気が付くのに時間がかかりましたけど。こだわりと面白さのトレードオフを実感することはセミナーに対する目的の一つでしたから、味わうことができて良かったと思います。

平竹: セミナーでゲームを作っていると、色々なセオリーに縛られたり、無意識にルールを作っていたことに気付いたんですね。「パズルならここで連鎖だろう」みたいな。それでどんどんわけがわからなくなって、なにが面白いのか見失ったりもしました。セミナーは純粋に制作への欲求を出せる場所ですから、思いっきりそういう部分も出せるっていうのがありますよね。いまはその気持ちをもっと持っていかなきゃ、と毎日反省しています。

インタビュー画像柴田: 僕は「セミナーなら失敗できるだろう」、と思っていました。自分はセミナーに参加するまえに、他の色々な会社の現場を見てきたんですよね。そういった所で身に着けたノウハウが、セミナーで活かせるかどうかということも試せました。その結果、自分なりのやり方というものをセミナーでは見つけられたと思っています。


これがあるから頑張れる、プロから学んだモチベーションの保ちかた
−セミナー講師や事務局からはなにを教わったんでしょう。

インタビュー画像成澤: 体験談を交えたゲーム制作のテクニックはもちろんですが、プロだなぁと感心したのは、モチベーションの部分でしょうか。制作をしていてつまづいた時、行き詰まった時、嫌な目に遭った時に、「これがあるから頑張れる、これのためにやってるんだ」というものを持てと。そしてそれを維持することがとても大切だということです。

須戸: 談笑の中のことですが、「君は会社に入ったとしても、心が折れて3年くらいで辞めたくなると思うよ」と言われたことがあります。本来作りたかった方向からズレて、ゲームのメインテーマがあやふやになってしまう時がしばしばありました。そういう時はつい意地を張って「こうじゃなきゃ駄目だ」と言ってしまうのですが、あとで考えるとチームの連帯感を乱してゲームの鮮度を落としているのではないかと、後悔することもよくありました。そういうことが嫌になってあまり主張しないようにしようと距離を置いた時期もありましたが、「自分の仕事だけやっていればいいと思ってたら、ゲーム作りが嫌いになるよ」と講師の方に言われ、「閉じこもっていないで交わりなさい」と教えられましたね。
ゲーム作りを介して人生の生き方を学びましたね(笑)。

−現在はそれがどう活かされてますか?

成澤: どれだけ仕事をしても、それだけで一日が終わるのが嫌なんですね。必ず自分の時間を持って、それで終わりにしたい。だから音楽を聴いたり、夜中にドライブに行ったりして、必ず自分の趣味の時間を作るようにしてます。でもそれが翌日の仕事に影響してしまっては本末転倒ですので、良いプレッシャーにもなっているんですね。モチベーションについてのアドバイスのおかげで、メリハリが付いて、仕事は嫌なものではなく楽しいものであると思えるようになりました。


自分が「面白い」と思ったゲーム、制作者から直接学べるチャンスを!
−将来的にはどんな展望を持っていますか?

インタビュー画像平竹: 海外の人、異質な文化を持った人たちと共同制作をしてみたいです。いまここで話していることだけでも、自分と他人て違うんだなと思います。それが海外になると、またもっと違うんじゃないかと。最近のゲームを見ていて、自分がスゴイと思うものは海外の方が作っていることが多いので、ぜひ海外の方と制作してみたいという夢がありますね。

須戸: セミナーでやりきれなかったことを、もう一度あそこに戻ってやってみたいというのがあります(笑)。今後は少人数での制作に携わっていけたら、という思いがあります。

成澤: 同じ日本でも地域によって文化や風習が異なるので、それぞれの特性を上手く取り入れて、共感や新鮮な感覚を呼ぶようなものを生み出せたらいいですね。たとえば、渋谷をぶらっとして感じる東京独特の匂いというか雰囲気というか。そんなものを表現できたらなぁって。

柴田: 自分が実力をつけて、たくさんの経験を積んでいくことで、もっと効率的な仕事や制作をしていきたいと思っています。開発現場の改革もしたいですし(笑)。

−これからゲームセミナーにエントリーしようとする学生さんへ、伝えたいことはなんですか?

柴田: 「なんでみんな受けないんだろう」と思うくらいに、セミナーって楽しいんですよね。自分が見たこともないような一風変わった人、個性を持った人が講師を含めてたくさんいる。ほかの人からの影響や学べることが大きいので、ぜひエントリーして欲しいと思います。セミナーで学んだことは身に付いていて、どこかで必ず活かされていると思っていますから。

平竹: セミナーでは打算や欲ではない、純粋に楽しんでモノ(ゲーム)を作れる場所だということを伝えたいですね。それと、自分が面白いと思ったモノを作った人が目の前にいるんですよ。その人から直接モノを学ぶことができるというのは、本当にスゴイことです。

インタビュー画像須戸: セミナーは全体がよく見渡せる透明性があります。組織やグループがどう動いているかを見ることができる。これは会社に入ると複雑になりますし、全体を見渡せる機会ってなかなかないですよね。どんな状況になっても、見渡したり見直せばちゃんとわかるような場です。これを活かして、色々なことを学んで身に着けて欲しいと思います。

成澤: イマだからこそできることってありますよね。それを実現しようとがむしゃらに突き進んで、できれば挫折を味わってから這い上がって欲しいですね。テクニックを習得できる機会はたくさんありますが、メンタルを鍛えられることは稀ですから。貴重な体験ができると思います。そのためにも目的意識を持って臨んで欲しいですね。きっと助けになるはずですから。

−今後の活躍を期待しています。ありがとうございました!


「任天堂ゲームセミナー2005」とは?N.O.M3月号のトップページへリンクなし