N.O.M2006年1月号 No.90
『東北大学未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修 もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』
開発スタッフインタビュー
外見ばかりを作るよりも、人間やはり中身で勝負したいもの。
特に多大な魅力として作用する“知性”は、あなたの脳年齢にかかっているのです!
見た目は○歳、脳は±何歳? 実年齢とのギャップに驚くことうけあい。そして必死のトレーニングで若返りを!
★任天堂企画開発部/ディレクター:河本浩一 アシスタントディレクター:境野真道 デザイン:松下幹 プログレスマネージメント:西田勝

『醤油』と書けるようになる? 漢字書き取りに注目

--前作が非常にいい評判だったと伺っていますが。

河本:お陰様でかなり高い評判を頂き、品切れが続いていたという状態も一時あったようです。特に中〜高年齢層の皆さんからも大変好評でして、続編を作ることになりました。クチコミの成果か一作目は未だに売れ続けています。

境野:以前より、ユーザーの方々から「もっとトレーニングをしたい」というご要望を頂いていたんです。さらに新鮮な気持ちで脳を鍛えたい、と。ということで、全てのトレーニング、脳年齢チェック、イベントを入れ替えて一新しています。ボリュームも前作より多いですよ。

西田:コンセプトが『大人なら誰でもできるように』というもので、手書きのトレーニングが多く、書いたらすぐ次の問題へ移れる、というような部分が既存のゲームとは違うと思います。その点がご年配の方にもかなりいい評価を頂いたのではないかと。

--今作で注目すべき部分はどこでしょう?

河本:漢字の書き取りをする所が一番ですね。書き取りのデータを延べで約900名分ほど収集しまして、認識データとして取り込んでいます。約3000種類の漢字を認識できるんですよ。

--急いで書くとつい崩して書いたりするのに、意外と認識しますよね。

西田:一応、正しい書き順に則っていれば認識するようになってるんですが、データ元になっている人の筆跡がいい加減であればあるほど、崩しても読み取られるという感じですね(笑)。

--漢字認識を実装したのはなぜですか?

境野:川島先生のドリルに漢字書き取りがあったからです(笑)。

西田:書き取りができないとかなりショックを受けますね。

松下:知ってるつもりでも、いざ書くとなると手が動かなかったりします。いまはパソコン入力が主流ですから、変換できても書くことは忘れてしまっているんじゃないでしょうか。
漢字書取
境野:これのお陰で、『醤油』とか書けるようになりましたよ。

松下:漢字を取り戻しました。

河本:いい感じに、ですね(笑)。

--企画自体はいつ頃からだったんでしょう。前作が発売されてから、あまり時間が経っている印象がないのですが。

河本:大体、夏頃だったと思います。あまり長い時間がなかったので、がんばりました。

境野:やはり前作同様、普段ゲームをしない方にも広く楽しんで頂けるように、制作を進めていきました。

西田:川島先生にもご協力頂けることになり、実現しました。

--ポリゴンで登場されるだけに、ちょっと先生のことも気になりますよね。

河本:こちらが「こういう感じで作ります」と伝えると、「こうしたらどうでしょう?」というようにアドバイスをして下さって。

西田:それがまた、先生の(メールでの)返事が早いんですよ。こちらが送信して10分経たないうちにすぐお返事下さったりするので、「お忙しいのにメールのご返事が早いですね」とたずねたら「忘れてしまうと困るので、早く出すようにしているんです」とおっしゃられていました。

松下:お返事が早いので、かなり助かりました。

対戦なら最大16人までがプレイ可能 ダジャレを見せ合って突っ込める

--ところでトレーニングに使われている問題ですが、やはりネタ出し会議のようなものを?

境野:しました。まず脳が活性化することが大前提なので、ただ面白いだけではダメなんですよね。

河本:普段はしないような刺激のあること、特に読み・書き・計算をすることが活性化につながるので、そこを中心に考えました。

松下:問題は30種類ほど試作しました。面白かったけどボツになったものも結構ありますよ。

--やはりユーザーさんの年齢層は高めですか。

西田:高いですね。我々の親世代の方にもたくさん遊んで頂いているようです。

松下:お父さん・お母さんが買ってプレイして、そのご家庭の小学生くらいのお子さんがつられて遊ばれたりもするようですね。ほとんどの問題は大体小学校くらいで学ぶレベルのものですから、難しいことではないですし。

対戦お絵描き --通信モードについてお願いします。

河本:ぜひみんなで遊んで欲しいです。『対戦お絵描き』『対戦漢字合成』『対戦5×5記憶』『対戦釣銭渡し』など、大幅にパワーアップしていますから。

--どんな風に遊んだら楽しいでしょう?

境野:例えば『対戦お絵描き』なら、お題が出るのでみんなでお題に合った絵を描きます。それをみんなで見比べて、一番いいと思う絵に投票して結果を決めるんです。最大16人まで同時に遊べますから、かなり楽しいと思いますよ。

西田:通信対戦ではありませんが、オヤジギャグ(ダジャレ)を考えるのもオススメです。お互いの作ったダジャレを見て、「なに書いとんねん」と突っ込んだり(笑)。

松下:筆跡診断も入っていますから、これも楽しいと思いますよ。漢字あってこその機能ですね。元々、河本がサンプルを別個に作っていたんですが、「これを入れたら面白いんじゃない?」という話になって入りました。もちろん、前頭前野の活性化も証明されています。

河本:他にも『細菌撲滅』というものが入っているので、それもオススメです。脳を活性化させるだけではなく、リラックスも与えることが大事だと先生がおっしゃるので、特にリラックス効果が高いとされているタイプのパズルゲームを入れました。

--任天堂+細菌+パズルというと、某ゲームを連想するんですが。ド……ド……。

細菌撲滅 西田:『細菌撲滅』です。

境野:『細菌撲滅』ですよ。

松下:『細菌撲滅』なんです。

--あ、そうですか。失礼しました。

河本:あるユーザーさんのお話なんですが、前作を頑張ってしまい夜眠れなくなる事があったそうなんです。で、川島先生いわく「逆にクールダウンするものが入っていてもいいんじゃないですか」ということになったわけです。

境野:これをプレイした結果を測定したところ、ちゃんとリラックスを示すデータが取れたので、間違いないと思います。寝る前はかなり効果的ではないでしょうか。

--ところで脳の活性化を測る機械ですが。わざわざ東北大学まで?

西田:そうです。血流、ヘモグロビンの量を測定するんですが、問題を作るたびに大学まで伺って測定して(笑)。そもそもその機械自体が全国に数えるほどしかないようで…京都には2台しかない、と聞きました。なので借りることができないんです。

ゲーム界に新しい需要が登場 家族みんなでプレイして

--今回、絵は相当シンプルだと思うのですが、どういった点を考慮されましたか?

松下:ご年配の方も遊ばれることを想定していましたので、まず文字を見やすくすることです。要するにかなり大きくしたんですね。無駄なものを省き、とにかくシンプルな画面に。今回は前作から半年ほどでのリリースですから、また、前作をプレイされた方にもスムーズに移行できるようにというのを心がけて作りました。

--字は確かに読みやすいですね。

松下:元はもっと小さい字だったんですよ。でも河本が「もっと大きく」「もっと」「もっと」と言い続けまして、現在の大きさになりました。見続けていたので自分はその大きさに慣れていたんですが、ふと違うゲームを見たら、あまりのギャップに小さく感じたこともありました。

川島教授 --教授の顔については?

松下:けっこうお茶目な動きをするんですけど、色々考えて動きを盛り込んだのですが、川島先生からNGと言われたものもありました(笑)。

--今作はどういう方に買ってもらいたいと考えていますか?

境野:前作の時は『敬老の日需要』というものがありまして、敬老の日にお祖父さん・お祖母さんやご両親へ贈られる方が多くいらっしゃったようです。なので、今回の第2弾もそのような感じで広まるといいなーと。

西田:発売が年末なので、お正月に盛り上がって頂ければ嬉しいです。お正月に親戚一同が集まって、そこで今回の第2弾の話が出て、さらにクチコミで広がって、皆さんが買って下さるといいですね。

--ゲーム業界に新しい需要ができましたね!

河本:他にお盆の頃にも同じような需要がありまして、グッと売り上げが上がったんです。お盆って家族や親戚が集まることが多いですから、どうもその時に話題になって売れたんじゃないかと……。これまでゲームをされたことがなく、興味も無かった、ちょっと遠巻きに御覧になっていたようなユーザーさんにも買って頂けたのではないでしょうか。

--ではユーザーの皆さんへメッセージをお願いします。

松下:一所懸命にやりすぎず、毎日ちょこっとずつ遊んで欲しいです。1日1回のお楽しみとして遊んでもらえたらいいですね。誰でもできるのが魅力だと思います。

オヤジギャグ 境野:4つまで個人データが作れますから、ぜひ家族みんなでプレイして下さい。オヤジギャグは企画開発部のダジャレ名人数名のギャグが見本で入っていますから、ぜひそれを上回るダジャレを考えて下さいね。

西田:トレーニング全般に言えることですが、いい意味でショッキングなものが多いですから、楽しんで頂きたいです。前作のユーザーさんだけではなく、購入を迷っている方もぜひ手に取って頂いて、その驚きを体験してもらえたら嬉しいです。

河本:もちろん、前作をまだプレイしていない方も、両方買って遊んで頂ければ楽しいと思います。毎日少しずつでいいので楽しみながら、前頭前野を鍛えて下さいね。

--お正月に期待ですね。ありがとうございました!


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