N.O.M2006年1月号 No.90
『マリオ&ルイージRPG2』
開発スタッフインタビュー
プラットフォームをGBAからニンテンドーDSに移し、新たな可能性の模索と前作以上の期待を背負って生まれた『マリオ&ルイージRPG2』。
前作に引き続き、株式会社アルファドリームさんが全力を尽くして完成したこのソフト。
新ハードならではの開発エピソード、世界への思い、ルイージへの愛(?)など、汲めども尽きぬお話を伺って来ました!

★株式会社アルファドリーム
ゲームデザインディレクター:ゲームデザインディレクター窪田博之さんメインプログラマー:原木正志さんチーフグラフィックデザイナー:野口暁さん

★任天堂株式会社
プロダクションマネジメント:堀田拓司プロダクションマネジメント:大谷明

新ハード登場!?

--前作(マリオ&ルイージRPG)がとても面白かった記憶がありますが、あれから2年も経つんですね。

窪田:ありがとうございます。ちょうど前作を作り終わってすぐに、2の制作に着手しました。前作では(特に)ルイージのキャラクター性がユニークだとか、可愛いということでお褒め頂いていました。

堀田:前作は意外にもと言いますか、ユーザーの皆さんにはべた褒めされていましたね。

--あの時のインタビューでは堀田さんが「ここまでやったかと」と仰っていたのを憶えているんですが、今回はどうでしょう?

堀田 堀田:確かにそう言いました、憶えてます(笑)。あの時は確かに「ここまでやったか…」と思いましたが、今回もまた「ここまでやったか…」と思いました。

窪田:企画段階で『DSで作る』という前提がありまして、そうなると2画面になるからそれを活かそうと。DSは様々な要素があるんですが、なかでも2画面に特化しようということで話がまとまりました。それと、DSにはABボタンの他にもXYボタンがありますから、それを使ってもう一組のペアを出したら面白いんじゃないかと。それで、ベビィマリオとベビィルイージを出演させることになったんです。

--前作はABボタンオンリーというシンプル操作でしたが、ボタン操作が増えることで複雑さが増しますよね。そこはどう考えましたか?

窪田さん 窪田:そこは確かに考えました。ボタン操作が増えることで複雑になるけれども、必要以上に複雑化させないように気を使いました。シンプルな操作でも遊べるはずですし、もしレベルの高い遊び方を要求するプレイヤーさんがいたとしても、プレイヤー次第でそうできるようにしてあるんですよ。

--なるほど。では今作のコンセプトはなんでしょう?

窪田:4人のキャラを同時操作、でしょうか。

堀田:それと2画面を使い倒すということですね。

窪田:DSの特徴って色々ありますけど、2画面というのが最大のポイントだろうと。そこを使い倒しましょう、というのを柱にしまして。

--ほかにもマイクやタッチスクリーンもありますが。

窪田:マイクは使っていませんが、一応こっそりとタッチスクリーンは使ってるんです。どこだとは言えませんけど(笑)。

一同 堀田:こっそり×××××で、使ってます。

--教えて頂けないんですね(笑)。

一同:買って確かめて下さい!

--DSでの開発は初めてだということで、いかがでしたか?

原木:当初はDSにどういう機能があるとか、そういった具体的なことが判っていなかったんです。2画面らしいということ以外はよくわからない。だから性能なんかは手探りで開発を進めていました。開発機材すらなかったので、“プロトタイプDS”を使って……。

プロトタイプDS 窪田:「2画面でボタンが4つある」としか聞いていなかったので、具体的にどうすればいいかわからないわけです。なので、うちの社員がこういうものを作ってくれまして。
(やおら不可思議なゲーム機らしき物体が登場。ちゃんと画面が点いて動かせる)

某スタッフ:夜なべして頑張りました。

--すごい物を作りましたね!

窪田:GBAを上下に2つくっつけて通信ケーブルで繋げて、ボタンが4つあるということだったので、スーパーファミコンのコントローラをつけたんです(笑)。

堀田:これは当時、我々の間では『アルファドリームDS』と呼ばれていました。実際のDSと、画面同士の距離なんかがほぼ同じなんですよ。

大谷:僕はいま初めて実物を見たんですが、これはすごいですね。ここまでやるとは…ビックリです。

--衝撃的な機材に室内騒然ですが、これを使ってあれこれしていたわけですね。

堀田:これを去年の春くらいに見たんですが、これで手応えを感じました。それでこちらでは、カートの上にゲームボーイプレイヤーを接続したテレビを縦に2台積んで、ゴロゴロと岩田(任天堂 代表取締役社長)の所へ運んで行ってプレゼンしたんですよね。運ぶ途中でゴトッとテレビが…(笑)。

DSという必然性から登場したベビィマリオとベビィルイージ

--今回は過去と現在を行ったり来たりしますね。

マリオ&ルイージ、ベビィマリオ&ベビィルイージ 窪田:元はと言えば、4つのボタンを使うからという意味でスタートしたんですが。ベビィたちが出るということで、彼らはマリオとルイージの“昔の姿”だから、同時に出てくるのはおかしいだろうと。じゃあ大人のキャラがタイムスリップするという設定にしたら、同時に出てもおかしくない。キャラクターで言うと、前回のキャラクター性がユーザーさん達に受け入れられていたので、その延長線上で作りました。基本的に海外も意識して作っているので、そこから外れないようにということですね。

大谷:でも『タライ』は残りましたね。タライが落ちてくる場面があるんですけど、そこは残ってるんですよね。日本人しかわからない(笑)。

窪田:タライはどうしても残してくれとスタッフ言われたんで……(笑)。

大谷:海外では、マリオ達のアクションのデキの良さももちろんですが、シナリオ面でも面白さが評価されているようです。国が違っても、同じように笑ってくれるみたいですね。

--ビジュアルはどうですか? 今回も色々な表情がありますけども。

野口:任天堂さんと上手く調整をして、チェックは相当数やりました。

堀田:まずは自由に描いて頂いて、うちの監修チームが細かくチェックしていました。

野口:2Dでドットなので、やっぱり限界はありますから、そこは理解して頂いたと思いますが。

大谷:見ていて思ったんですが、本当に細かいチェックなんですよ。でもその細かさで、マリオらしさ・ルイージらしさがちゃんと出るんですね。そこは「なるほど」と感心しました。

野口さん 野口:あちらのチェックから上がって来たものを見ると「なるほど」という感じだったんですね。ドットなので限界まで頑張っています。

大谷:僕は最近はずっと3Dのゲームを担当していたので、久々に2Dのゲームを見たのですが、ビジュアルが滑らかで驚きましたね。アニメの滑らかさ、動きの面白さ、楽しさをぜひ見て欲しいと思います。

原木:2Dの綺麗さ、アニメの滑らかさがアルファドリームの売りなので、持ち味として活かさなければと思いまして。3Dはほかにも色々ありますけど、うちは2Dだろうと。でも3Dもせっかく使えるから、効果的に使ってはいるんです。ボス戦、アイテムアタックなんかでは3Dを使ってますよ。そこだけいかにも3Dだと浮いてしまうので、見た目ではわかりづらいんですけどね。

--背景はどうでしょう。

野口:前回よりバージョンアップさせました。任天堂さんからもらったイラストがあるので、それに近づけるように作りました。全体的に手書き風の絵だったので、そうなるように。

原木さん 原木:デザイナーと「内部的にはRAMでこの程度使っていいよ」とか研究してました。地形に関しても、前はゲームゲームしていましたが、今回は例えば45°の坂道にしても、自然に表現できたかなと。アニメにしてもハードの制約にあまり縛られずに表現できたので、やりがいがありました。

窪田:そこに音を載せたら、処理が重くなって危険でした。ボイスも4人分になったので、メモリが危なかったですね(笑)。

原木:DSになって出来ることが増えたんです。今回はマイク、タッチペンなどありますが、だからってなんでもかんでも詰め込んだらダメだと。それを使うからこそ面白くなければならない。マリオは「ABボタンで動いてなんぼ」ですから、DSだからって無理に詰め込まないことにしました。

窪田:2画面だと、2つあるとどっちを見たらいいかわからなくなりますよね。目線を移動するためのガイド的なものがないといけない。プレゼンを通過した年は、そういった企画の基盤を固めることに費やしてしまいました。

原木:それで、プログラム等は今年に入ってからになりました。

--任天堂側の要望はどういったものですか?

堀田:任天堂としては、『マリオはマリオ、ルイージはルイージである』という部分を大切にしてもらいました。今回はアクションのわかりやすさ、特に4人がアクションするので、誰が動けるのかをわかりやすくと要望しました。

窪田:2作目なので、基本的な所は遊べばわかるだろうと思い込んでいたんですけど、任天堂さんから「初めての人でもわかるようにチュートリアル的な要素を入れてください」と言われたんですね。見落としていました。

大谷 大谷:操作も、任天堂が大事にしているインタラクティブ性を入れてもらいたいと思いまして。僕がプロジェクトに入ったのは中盤辺りからなんですが、全体を通してのバランス、敵キャラの難易度、手に取ってもらえるようにするためのチュートリアルなどに重点をおいてチェックさせてもらいました。

子供に、大人に、世界に愛される1本

--今回も海外で発売するんでしょうか?

堀田:11月に北米、12月に日本、1月末にヨーロッパですね。
ゲラコビッツ
大谷:アメリカ版のローカライズは、前作が大好きな翻訳担当のスタッフがノリノリで。「ゲラコビッツがなんで出ないんだ、出して!」と言われたり(笑)。

窪田:だから入れましたよ、ゲラコビッツ。ほぼ業務命令に近い形で(笑)。

--そこまで愛されて、幸せなゲームですよね。

堀田:大人がやっても手応えがあるゲームを、という思いで作ってきました。それをひとつのコンセプトとして考えてるんですね。マリオとルイージのやりとりも、大人がわかるユーモアとして考えていますので。

--ちょっと大人向けのギャグも随所にありますよね?

窪田:子供だけでなく、大人にも受け入れられやすい物を目指していたので。実は、前作の方が比較的大人向けのネタが多かったんですよ。今回は完全に世界を意識していたので、わりと控えめですよー(笑)。これは裏設定なんですが、この作品ではマリオとルイージがそれぞれお父さん的キャラ、お母さん的な子守役を分担しているんです。どこまでそれが実現出来たかはクエスチョンですが、その部分が伝わっていれば嬉しいです。

インタビュー風景 堀田:シナリオの段階で気をつけて頂いたのは、ルイージです。彼は臆病なんですが、マリオと同じ所を目指してはいるんですね。マリオと同じ正義感を持ってるんだけれども、ドキドキしてしまう所があると。なんでもかんでも逃げるのではなく、大事な所ではちゃんと踏み止まるんです。

大谷:デバッグチームに、ものすごーくルイージが大好きな人がいまして。その人のアドバイスで変わった部分もあります。

窪田:最初はもう少し、ルイージのキャラクターがスレていたんです。意地悪というか。でも「ルイージはこうじゃない!」と突っ込みが入りまして。「芯は熱いものがある!」ということで、そのアドバイスはかなり助かりました。

野口:確かに最初はけっこう意地悪だったと思いますよ。ただ自分たちは開発しているので、感覚がマヒしてるんですよね。だから貴重な意見でした。

窪田:最初の頃のルイージは、ベビィを助けなかったんですよ…(笑)。ベビィマリオとベビィルイージでも性格づけは若干違って、ベビィルイージの方がよく泣く。ベビィマリオの方が積極的です。

堀田:前回はマリオとルイージで漫才的なやりとりだったんですが、今回はそこにベビィの2人が入ってきますから、それぞれの関係性があります。

--なるほど。ところでベビィたちをおんぶするというのは?

おんぶ 窪田:自然な流れでおんぶになりました。おんぶすることによって、アクションの幅が広がりますし、バラバラに操作すると面倒ですよね。あとベビィたちは赤ちゃんなので、扱いは慎重にならざるを得ないんです。おんぶの状態からポイッと投げるように見えるのも、あれはベビィたちが自主的に飛び降りてるんで、投げてるわけじゃないんです(笑)。

--では、最後にメッセージをお願いします。

大谷:とにかくシナリオの面白さ以上にセリフやリアクションが笑えます。それと、オマケ要素が入っていますが、今は内緒です。これで遊ぶとまた違った感覚で遊べますので、楽しみにしていて下さい。

堀田:一言でこのソフトを表現するなら、「一つの親指で4人のキャラを操作することの楽しさ」です。その楽しみを少しでも早く見出して頂きたいです。

野口:今回注意したのが『画面映え』です。2Dマリオのなかでは一番綺麗なゲームですから、そこを堪能して下さい。

原木:冬休みやお正月にこのゲームを堪能してください。おまけ要素も含めると3回ほどは繰り返し楽しめると思います。ミニゲームも充実しているので、コイン集めやタイムアタックなんかもぜひ。

窪田:2画面の使い方がいままでにない遊びになっていると思います。『2画面らしさ』をぜひ遊んで下さいね。

--どうもありがとうございました!
開発スタッフのみなさん


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