『スライドアドベンチャー マグキッド』開発スタッフインタビュー
スライドアドベンチャー マグキッド 「スライドアドベンチャー マグキッド」
「スライドアドベンチャー マグキッド」パッケージ ●ニンテンドーDSソフト ●発売日:2007年8月2日 ●希望小売価格:5,800円(税込) ●ジャンル:スライドアクション ●プレイ人数:1〜4人
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任天堂株式会社:ソフトウェア担当 チーフディレクター 清水 一伸任天堂株式会社:ハードウェア(スライドコントローラ)担当 ファーム設計 上村 裕隆任天堂株式会社:ハードウェア(スライドコントローラ)担当 機構設計 秋田 規子任天堂株式会社:ハードウェア(スライドコントローラ)担当 回路設計 伊藤 卓郎

1.キッカケは……テレビ石!?
N.O.M まず、みなさんがどのようにこのソフトに関わったのか、役割を聞かせていただけますか?

上村:スライドコントローラのプロトタイプの監修や、スライドコントローラの動きをキャラクターの動きに変換するためのファームウェアというソフトウェアの作成に関わっていました。また、基本的な仕様や、スライドコントローラでどんな遊びが試せるかテストプログラムなども担当しました。

清水:私は今回のゲームソフトの企画を担当しました。

伊藤:スライドコントローラの中にある基板の設計をしております。基板に乗せるパーツの選抜も担当しました。

秋田:スライドコントローラの機構設計を担当しました。デザイナーが決めたスライドコントローラの外観を元に、筐体の設計や基板外形の設計などをしていくのが機構設計の役割です。


N.O.M 『マグキッド』とスライドコントローラはどのように生まれたのでしょうか?

当時のプロトタイプ上村:まずスライドコントローラが先に誕生しました。当時はニンテンドーDSがまだ発売されておらず、ゲームボーイアドバンスSP用の機器として開発していました。

秋田:これが当時のプロトタイプです。市販のパソコン用マウスを改造して、その上にゲームボーイアドバンスSPを乗せた形なんですよ。

上村:私が所属している部署は、従来のゲーム機とは別の新しい遊びを探す部署でした。当時はコンピュータと何かを組み合わせた遊びを模索していて、例えば『ポケモーション』などを開発していました。

清水:『まわるメイドインワリオ』に使われている回転センサーカートリッジも上村の部署の製作だったかな。私は違う部署の所属だったのですが、外から見ていて面白そうなことをやっていたので、ちょくちょく遊びに行っていたんです。彼らのところへ行けば、何か面白いものが見つかるという具合でした。

秋田:ゲーム以外のものにもアンテナを張って新しい遊びを探していましたね。部署内には色々なおもちゃが転がっていたりして。

伊藤:とりあえず色々なメーカーさんの新製品は必ずありましたね。

テレビ石を文字や絵の上に置くと……上村:スライドコントローラを思いついたのは、電気製品ではないのですが、
テレビ石(※)と呼ばれる鉱石がインスピレーションの源でした。このように文字や絵の上に置くと……のぞき込んでみてください。
※ テレビ石・・・正式には、曹灰硼石(そうかいほうせき)という名前の鉱物。


N.O.M あっ、文字が浮き出て見えます。不思議です。

上村上村:光ファイバーが縦に並んだような構造になっていて、石の下にある図柄が鉱石の表面へ浮き出てくるんです。この不思議な感覚を、携帯型ゲーム機を使って表現できないかと考えた結果できあがったのが、このスライドコントローラなんです。

清水:で、あるとき上村たちが「こんなものがある」とスライドコントローラのプロトタイプを見せてくれて。そこで遊べたのが「金魚すくい」というテストプログラムでした。

上村:『マグキッド』の製品版の方にもこのテストプログラムと同じ名前のミニゲームが入っているのですが、当時は社内の色々な部署へプロトタイプを持ち込んで、面白いソフトができないかと売り込みをしていました。

清水:上村が持ってきた「金魚すくい」を遊んでみると、何か自分の心へ響くものがありました。ゲームボーイアドバンスSPを動かしながら実際に金魚すくいを遊んでいる気分になれたんです。いわば液晶画面にのぞき窓みたいなイメージを抱いたんですね。実際の世界では机の上なのですが、こののぞき窓の奥にはバーチャルな水槽がたしかにあるという印象でした。

上村:元々はパソコンのマウスだったのですが、マウス自体に画面がくっついたことで、全く新しいものができあがりました。

清水清水:例えば、パソコンでマウスを動かすとき、視線は画面の中のマウスカーソルに向いていて、マウス自体が動いていることは気にしませんよね。それがマウス自体に画面が付いていることで、マウス自身の動きと画面の中の動きがリンクする。バーチャルな世界の動きと現実の世界の動きに一体感が生まれることで、バーチャルな世界に現実感を与え、また直感的な操作感を生むことにも繋がっていきます。ニンテンドーDSの中に違う世界があって、その世界を直感的に体験できる。もう、そこがスライドコントローラの肝だと思うんですよ。

上村:清水からその例え話を聞いた瞬間に「きたっ!」と思いましたね。

清水:「金魚すくい」を触ったあと、自分の中に思い浮かんだ企画が『マグキッド』の始まりです。


N.O.M ゲーム内容・テーマが今回のものに決まった具体的な経緯は?

清水:子供の頃の体験が影響していましたね。机の上でスライドコントローラのプロトタイプを滑らせていると、子供の頃に磁石で遊んでいた原体験が蘇ってきたんです。当時の私にとっては磁石がミニカーであり、おもちゃの電車でした。そして走らせている場所がどこであろうと、そこは街であり、線路の上だったのです。
おそらくミニカーなどで遊んでいるお子さんも、どこで遊んでいようと街の中でミニカーを走らせている気分だと思うんです。

上村:こうして清水が作った企画が、私の上司の目にとまり、スライドコントローラとそのソフトの制作が始まりました。

清水:じつを言うと、私自身は昔から今回のようなパターンでソフト制作をすることが多かったんです。バーチャルボーイ用のソフトなど、当時から新しい遊び、面白そうなものにすぐに反応してました。


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