『DS美文字トレーニング』開発スタッフインタビュー[N.O.M 2008年3月号 No.116]

『DS美文字トレーニング』パッケージ ●発売日:2008年3月13日●希望小売価格:3,800円(税込)筆型タッチペン付き●ジャンル:美文字習得ソフト●プレイ人数:1〜6人
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画面に書いたあなたの文字をDSが添削。美文字習得ソフト『DS美文字トレーニング』の開発スタッフに、制作のきっかけや語りつくせないほどの開発エピソードなどをうかがいました。

有限会社インディーズゼロ任天堂株式会社
プロデューサー 鈴井匡伸さんディレクター 篠原満さんディレクター 渡邊浩崇さんデザインディレクター 松本義一郎さんプログラマー 中島誠さんプロデューサー 土山芳紀
※お名前の文字はスタッフの皆さんの直筆サインです。

1.楽しく学べて生活に役立つものを

そもそも、なぜ「文字」をテーマにしたソフトを作ろうと思ったのですか?
土山:

『脳トレ』の発売後、Touch! Generationsシリーズの続編として、それまでゲームと縁のなかったお客様にも触ってもらえるソフトを模索していたのですが、そこで、テーマとして「料理」と「文字」が出てきました。まず『DSお料理ナビ』(※)から制作をスタートし、一段落したところで今回の『美文字トレーニング』にとりかかったんです。
※2006年7月20日発売の『しゃべる!DSお料理ナビ』。『DS美文字トレーニング』と同様に、任天堂とインディーズゼロが共同開発。

鈴井:

我々のアイデア会議の中でディレクターの篠原が、自身の字の汚さを嘆きつつ、「文字」というテーマを提案してきたんですね(笑)。

篠原:

はい。僕は子供の頃から母親にしょっちゅう「あんたは字が汚いんだから」と言われていたんですが(笑)、今回「生活に役立つもの」で「DSならではのもの」と考えたとき、それを思い出して、文字をトレーニングできるソフトがいいんじゃないかと提案したんです。

土山:

任天堂の社内でも、『美文字トレーニング』の企画はウケがよかったですね。私はデザイナー出身で「上手な絵の描き方」って人に説明しづらいと常日頃感じていたのですが、文字の美しい書き方にはある程度ルールもありますし、コツを人に教えやすいのではないかと。それに、字をきれいに書く気持ちよさ、みたいなものもDSで体験できるはずなので、これはいけると思いました。

鈴井:

インディーズゼロの社内にも通信講座でペン字を習っている者がいまして、教材を見せてもらうと、確かに添削されたところが次に送るときには上手になっているんですよ。ただ、郵送で送って返ってくるのを待つのは時間がかかるから、DSでその場で添削してあげたら喜ばれるんじゃないかと。

土山:

ソフトの設定・味付けに関しては、最初はマジメなものからコミカルなものまでいろんな案をいただきました。

鈴井:

字を美しくというコンセプトは当初から同じなのですが「ジゴコロ道場」というタイトル案もありました。道場で字の特訓をするんです。

篠原:

他には、会社を舞台にして、重要書類を清書する「清書課」の新入社員が文字を書いていく遊ばせ方も検討しました。でも、それらの方向性のソフトで本当にお客さんは練習をする気になるだろうかと考えたら、違うなって。

土山:

「道場」のような敷居が高そうなものになっていたり、ゲームらしい味付けが加わっていてもプレイしてくれる方はいらっしゃると思いますが、けれどもそれは、「明日結婚式に行って記帳をしなければならない、どうしよう?」といった人たちのニーズに、気軽にかつしっかりと文字をトレーニングしたいというニーズに応えることはできませんよね。

鈴井:

ソフトを作っていくうちに、文字を練習するだけでも十分楽しいコンテンツになることが分かってきたので、最終的には、余分な味付けはなくして、シンプルな「トレーニング」という形になりました。


専用の美文字筆(※)ついてはどんなふうに考案されたのですか?
※ソフトに同梱される、専用の筆型タッチペン。
土山:

任天堂の社内で開発中のソフトを見せたときにもっとも多かったのが、「DSに付属しているタッチペンでは、とめや払いを意識した美しい文字を書くには不便ではないか?という心配でした。それで、タッチペンの代わりになるものを、一緒に研究していくことになりました。

篠原:

美文字筆ソフトで練習してもらったあとは、最終的には実際にペンで紙に書いて上達を実感してもらうのが目的でしたから、DSでもペンで練習してほしいと考えました。DSにあった専用のペンを作るために、ゴムやシリコンなど、あらゆる素材を買ってきてペンの先につけて試したりとか、太さ、長さもかなり試行錯誤しましたね。

土山:

書きやすさとペンとしての耐久性を追求して、最後まで結構粘って改良を重ねました。最終的には満足いくものができました。


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