N.O.M Nintendo Online Magazine  No.129 April 2009
『きみとぼくと立体。』開発スタッフインタビュー
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『Dの食卓』や『エネミー・ゼロ』などを生み出したゲームクリエイター・飯野賢治さんの新作『きみとぼくと立体。』がWiiウェアで登場! 飯野さんご本人に“ゲーム”の魅力をじっくりと語っていただきました。
株式会社フロムイエロートゥオレンジ 企画・ディレクション・サウンド  飯野 賢治さん 任天堂株式会社 プロデューサー  佐藤 浩
未来のおもちゃ きみとぼくと立体の関係 意外にしっかりしたディレクション 最後に 番外編 マジックとゲームの魅力
未来のおもちゃ
── 開発の経緯をお聞かせください。
飯野 1999年以来、家庭用ゲーム機でのゲーム作りを離れていて、自動販売機や自動改札機をプラットフォームにしたサービスを手掛けていました。それが2005年に、たまたまインターネットで岩田社長が講演している映像を見かけて、「これはすごいな」と。
佐藤 初めてWiiリモコンを公開したときですね。
飯野 気付いたら写真を印刷して自作Wiiリモコンを作っていました。開発機材も全くない中、紙のWiiリモコンを握って「こんなゲームを作ったら面白いんじゃないか」と考えたりして「いい大人が何やってるんだろう」って感じですよね(笑)。それから何とかWiiでゲームが作れないかと、任天堂さんにコンタクトを取ったんです。
佐藤 そこで飯野さんと初めてお会いしたのですが、そのときはDSでマジックのソフトを作っていたことと、飯野さんもかなりマジックに詳しいこともあって、当初はマジックの話ばかりしていましたね。
飯野 しばらく試行錯誤を繰り返していたんですが、あるとき、佐藤さんに企画をお見せしました。「立体に人間がぶらさがっている絵」を紙に描いてもっていったんです。雰囲気としては「未来のおもちゃ」。机の上に大きな四角いキューブがあって、何かの力で空中に浮いている。その立体の上に人形を投げ込んでいくような遊びを考えていました。
佐藤 飯野さんとは、「斬新かつシンプルで、遊ぶと奥が深いものを作ろう」という話をしていたのですが、この1枚の絵を見たときは、まず斬新だと思いました。最初に会ってマジックの話で盛り上がったときに、面白いと思うポイントが自分と似ていることが分かりましたし、プロジェクトを一緒にやりたいという気持ちになりました。
── 「斬新でシンプルで奥が深い」というテーマがあったんですね。
飯野 「斬新さ」ってすごく難しいんですよ。そうですね、考えるので10秒待ってください。……たとえば髪の毛がどんどん伸びていく主人公がいて、移動や戦闘をしていくと髪の毛が増えて、それを振り回して敵を倒すというゲームはどうでしょう。最後のほうは画面いっぱいに髪の毛(笑)。斬新な設定かもしれませんが、僕や佐藤さんが作りたい面白さとはちょっと違うんですよ。どこに独特の面白さが感じるかが、佐藤さんと僕でその感覚が近かったのが今回は良かったんだと思います。
佐藤 『きみとぼくと立体。』を作っていて何かで迷ったときの判断基準は、必ず「ユニークかどうか」「斬新かどうか」でしたね。
飯野 「シンプルさ」や「奥深さ」については、1度ゲームから離れたことが幸いしました。ゲームを5年10年と作り続けているうちに、細部の面白さばかりを追求して、プレイヤーの感覚を忘れてしまいがちだったんですよ。単純に「それ面白いね」とノリで話せるようなことがゲームでは大事なんだと思います。加えて、1日に1回だとか何日かに1回のペースで遊んでいて、たまに「今日はゲームじゃなくてマンガでも読むか」ってマンガに負けてしまってもいいのですが、遊んでいるうちにだんだんその世界にハマっていけるようなものが重要なんだと思います。
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N.O.M 2009年4月号