安心してゲームを楽しむための『年齢別レーティング制度』
CERO(特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構) 専務理事 : 渡邊和也さん

1

2

3

4

2.レーティングの審査基準

CEROさんは年齢別レーティング制度の実際の審査を行っていらっしゃいますが、この審査の基準についてお聞かせください。

渡邊

年齢別レーティング制度は、導入当時に世界で最もうまく運用されていると言われていたアメリカのESRB(※)が行っているものをモデルにした経緯がありますが、これは結果として非常に良かったと思います。それは、彼らが行っている審査というものが、感覚や気分ではなく、サイエンティフィックなものだったんですね。
※「ESRB」…Entertainment Software Rating Boardの略称。アメリカ合衆国およびカナダのレーティング審査団体。1994年に設立。

審査には曖昧な部分がないということでしょうか?

渡邊

審査員の個人差が出ないような方式なんですね。常にしっかりとメンテナンスしている審査基準がありまして、あとはそれと照らし合わせるチェック作業になるんです。したがって、誰が審査をしても、ほとんど同じ結果になります。審査員の判断に委ねられる部分が大きい方式ですと公平性にも欠けますし。例えば審査員が今朝、奥さんとケンカしてきたなんてことがありますと、判断に影響する恐れがありますからね(笑)。

なるほど。より公平で客観的な審査ができるわけですね。

渡邊

この制度がはじまる前に、私はCESAで倫理委員長をやっておりましたが、当時はリファレンスがないものですから、時期によって出した結論が違ったりしたんですね。あと、やはり業界内部の人間で審査をやりますと、審査の公正性に疑義が持たれる可能性もありますし。そこで、外部にCEROを設立しまして、こうした基準を設けて制度をはじめたという経緯があります。

制度ができてから、審査基準などに変化は?

渡邊

年齢別レーティング制度も丸7年になりますけれども、Z区分ができた際には、新たに作ったD区分との間の調整が多少ありましたが、この間に基準を上げたり下げたりということはほとんどやっていません。比較的頻繁に改良はしておりますけれども、あくまでも文字での表現が曖昧なところや、誤解を生みやすかったところを直すということだけです。ただし、何が良くて何が悪いのかといったことを決めるのは、一般のユーザーさんや世論でもあるわけですから、このままの基準で良いのかというところも、われわれなりにチェックしていかなければいけないところだと考えております。

チェックのための具体的な取り組みなどは?

渡邊

そうした一般の認識というのは誰も調べたことがないということで、昨年度は小学生の親御さんであるとか、先生であるとか、ヘビーユーザーであるなどの12の属性で無作為抽出された100人ずつ合計1,200人を対象に、アンケートなどで調査を行いました。性表現系に関しては、世の中の平均からすると少々きつすぎるのではないか、それ以外の暴力表現や反社会的行為表現、言語・思想関連表現は逆で、今の基準をゆるめる必要はまったくないという結果で、全体としては、今のところ基準の大きな変更は必要ないという結論が出ています。

公正な審査のため、業界外部の方だけで構成されているとのことですが。

渡邊

一党一派に与していてはいけないということで、メーカーからも、ユーザーからも、行政からも独立した団体となっています。私もCESAにおりましたが、その前はパソコン業界の人間でして、家庭用ゲーム業界とは直接の関わりはありませんでしたし、理事には弁護士や大学の教授などがおります。

CEROの運営の費用というのは、どういう形で出ているんでしょうか?

渡邊

基本的にはメーカーさんからソフト1本いくらという形でいただくレーティングの審査料と、あと会員制を採用しておりますので、現在約130社の会員様からの会費で全体をまかなっています。やはり業界団体が運営していると、どうしても色つきになってしまう面もありますし、特定の会社が出資するというのも手前味噌じゃないのかという目で見られてしまうということもありますので。こういう部分は世界でも例がない、誇れるところではないかと考えております。

ほかにもそうした日本独特の仕組みはあったりするんでしょうか?

渡邊

年齢別レーティング制度のZ区分は、どんな表現でも良いという青天井ではなく、その上に禁止表現の領域がありまして、Z区分を超えるような過激な表現を含む場合は、そもそもレーティングのマークを付けることができないことになっています。また、アメリカでわれわれのD区分に当たる「M(Mature)」のゲームを日本に持ってきたときに、Z区分の基準を超えてしまって発売できないということもあります。やはり文化の違いがありますので、当然そういったこともあり得ることなんです。