N.O.M 2009年12月号 No.137
『530 エコシューター』開発スタッフインタビュー
『530 エコシューター』開発スタッフインタビュー
株式会社インテリジェントシステムズ ディレクター 生野敦士さん アシスタントディレクター 安藤武さん アートディレクター 法本和仁さん任天堂株式会社 プロデューサー 田邊賢輔 コーディネーション 田端里沙 デバッグ 長谷川慎
新米ディレクターの苦悩

田邊

1回だけ怒ったんだよね。

生野

どうしたいの? 自分たちのゲームでしょ? って言われたんですよね。田邊さん、田端さん、長谷川さんにも何回もこちらに来ていただいて、アイデアやアドバイスも出してもらってる。でも、こちらからはあんまり出てこないとか。仕様を決める時に悩んでばかりなことが多くて、こちらからハッキリ言えなかったり。

田端

やっぱりはじめてのご経験なんで。本来はこうしたいっていう意志があって、それの実現を目指したり、それをどうやって面白くするかとチームでがんばるというところだと思うんですが、誰がメインで動いてるのかわからなくなることがあったんですよね。それで喝が入ったみたいなことかなと。

微妙に空気が重くなってきましたが(苦笑)。確かに、はじめての世界で自信を持って「これだ!」と言うのはなかなか難しいことですよね。

生野

だって……話が通じないんですよ。デザイナーさん同士で使われている言葉だったり感覚だったり、3Dでも「フレーム数」って言われてもよくわからなくて。全部説明してもらって、すごく時間がかかりました。その中で何かを決めないといけないとなると、不安になったり迷ったり。やっぱり最終的には、この世界では安藤さんや法本さんが先輩ですし、これってゲーム的に大丈夫ですか? って聞くんです。本当にみなさんのおかげだと感謝してます。

生野さんのように、いきなりディレクターというのは珍しいんでしょうか?

安藤

あることはあるんですけど、だいたい前職はデザイナーとかプログラマーですよね。ゲームを作ったことがない人と一緒にというのは、私ははじめてですね。何らかの形でゲームの制作に関わっていれば、なんだかんだ横で見ていたりして、話は通じるものですからね。まあ今回は、生野が考えているピュアな(一同・笑)部分をどうやって実現しよう、というところからスタートした企画ですし。みんなで協力しようと。

無茶なお願いもあったりは?

法本

生野さんの頭の中で動いているものと、ゲームの中の世界がまったく違って、仕組み的に無理なことを言われたりはありましたね。それをどうやって実現する以前の問題で、それ入れたら大変なことになりますよっていうことも多かったです(笑)。

生野

どのくらい大変なのかも全然わかんなかったんで、「それいくらかかると思ってるんですか?」ってプログラマーさんも超怒ってましたね。「ごめんなさい、わからないです。教えてください……(頭を垂れる)」みたいな。最後には予算と時間がいくらでもあったら何でも全部作りますよって言われてました(一同・笑)。

安藤

オートスクロールのカメラの動きなんかでも、右の方向に動きはじめるところで「ヘリコプターが飛んでるみたいな感じで」って言われたんですよ。それって、動き出しのタイミングがわかるように、一度左にちょっとカメラを向けてから右にってことだよなと。

生野

実際にやってもらって「あ、それ!」っていう。

安藤

そやろ? みたいな。表現が難しいんで、口から出ることはあんまり信用してないんですよ(一同・笑)。

生野

敵の配置も僕がプレイしている表情とか反応を確かめようと、じっと僕の顔を見てるんですよ。そしたら途中で「あ、これダメだ」って(笑)。

安藤

こちらから説明する時も、できるだけ専門用語を使わないで。あの映画のあのシーンみたいな、とか。

生野

常に見ている映画のDVDは交換したりしてましたね。お互いに会話が成立するように。

田端

それって、海外の開発会社さんとお仕事をする時によくやるテクニックですよね。言葉も感覚も違うんだけど、映画を例にだすと結構通じるんですよ。

生野

あと僕の場合は10代の頃をアメリカで過ごしているんで、やっぱりどこか感覚が違うっていうのもあるみたいなんですよね。でも、法本に「きれいだと思うDVDを教えてくれ」ってお願いした時は骸骨ばっかりの映像で、夜寝られなくなりました(一同・笑)。

法本

『BONES』ってアメリカのテレビドラマなんですけど。骨から人物を特定して事件を解決するっていうので、毎回きっちり設定してあるというか……そこがきれいだなと……。

田端

むしろ法本さんの謎は深まった感じですか?(笑)。

生野

お互いにわかろうと努力はしました(笑)。僕は『モンスターズ・インク』をイヤイヤ見てもらって。

安藤

「えー」みたいな感じだったんだよね。

法本

いや、面白かったですよ。でも、まあ……(一同・笑)。