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3.「『面白い』とはなんですか?」

大澤

『さるバンド』では、「面白い」というのはどういうことなのかで結構もめましたね。

N.O.M

ずいぶん根源的な問いですね(笑)。

大澤

森川さんから「自動生成で面白い歌ができます」とは言われていたんですが、最初のころのバージョンでは面白く感じなかったんですよ。そのことをお伝えしたら、「大澤さんの考えている『面白い』とはなんですか?」と聞かれまして。
「歌詞に意味が通っているということですか? でも、人工知能の面白さは、むしろオチがあるとは限らないところですよ」と言われたんですが、なかなか納得できなくて。やはり僕自身が関西人なので「オチをつけてくれ」というのがありました(笑)。
そこで、私たちの提案したとおりに調整してもらったんですが、今度は意味が通り過ぎて全然面白くないんです。それでまたちょっと元に戻していただいたりとか。

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森川

僕としてはバラバラな、ギャップの多い歌を作ってほしいなと思うんですが、はたしてそれがメジャーな遊び方かと言われると自信がないわけです。僕は好きだけど「みんなも好きですよね」とは言えない。かといって、完全に意味が通っているのは、腑には落ちるんだけど面白みは少ない。
両極端はなくて、どこかにチューニングすることで落ち着くのかなと。それが決まるまではもめるだろうなと予想していました。

大澤

こちらとしては実際にわざわざ作ってもらったものを元に戻したりしたので、時間をかけ過ぎてしまったかなと反省しています。

森川

でも、ちょっとずつ意味を通るように寄せていくよりも、両極端を作ってから次第に幅を狭くして調整していく方が早いんですよ。

N.O.M

そうして最終的には決着したわけですね。

森川

ただ、感じ方は人によって全然違うと思うんですよね。

N.O.M

お客さんの反応が予想できないわけですね。

森川

面白さって、ギャップなんですよね。そこは人によって違う。

大澤

予想できるオチからちょっとずれたところにある面白さですね。『さるバンド』はそこを狙ってできた……ハズです(笑)。あとは実際にお客さんに面白がっていただけるかというところです。もう調整はできませんから(笑)。

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N.O.M

今回ははじめてのDSiウェアの開発でしたが、いかがでしたか。

森川

容量が小さいというのは、思ったより面白いなと思いました。
今ってお店で売っているソフトの形だといくらでもデータを入れられるじゃないですか。そうすると、入れちゃいけない理由がないと入れちゃって、ボリュームは増すけどフォーカスが甘くなっちゃう場合がある。
最初は一品の弁当だったのに、トンカツも入る、サラダも入るからとやっていたら幕の内弁当になっちゃうような。
DSiウェアだと、このゲームで何が一番大切かというところにしぼらざるを得ない。それってものづくりの原点としては正しいなと。あと「ニンテンドーDSiショップ」ができたことで、発表の場ができて助かった部分もあります。

大澤

ちょうど『さるバンド』に合ったプラットフォームがあったというのは、幸せなことだったなと思いますね。

森川

DSはやはり、コミュニケーションのフットワークが軽いので、携帯できるゲーム機という部分の興味は大きいです。

大澤

やっぱり人に見せたいですよね。僕も同僚の歌を作って、ひそかに見せあったりしてますし。

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