時を超え遊び継がれる『ゼルダの伝説』

宮本茂プロデューサーが語る『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の世界

美麗な3Dグラフィックが生んだ、豊かなハイラルの大地。
 そして心に迫るオカリナの響きに魅了される瞬間…
 64ゼルダであなたはハイラルを駆け巡るリンクそのものになる!




宮本茂プロデューサー

NOM独占インタビュー!
 編集長の櫛田理子が電話でインタビューしました!!



  『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のプロデューサーであり、ゼルダシリーズの生みの親である宮本茂プロデューサーに、『時のオカリナ』の魅力の数々を、自ら語っていただきました。

こどもリンク


ハイラル城
櫛田: 『時のオカリナ』には、リンクの初めての冒険が描かれているそうですね?
宮本: そうです、こどもリンクが出てくるくらいですからね。こどもリンクには、7〜8歳くらいの年齢を想定しています。

櫛田: 『時のオカリナ』でとくに印象的なのが、沈む太陽や昇る月、緑にけむる森などに代表される、自然描写ですよね。
山の稜線やだだっ広い平原など、いつかどこかで見たことのある景色のような気さえしますが、モデルとなった原風景などはあるのでしょうか?
宮本: まさにわれわれの思うツボです(笑)!デザイナー一同、どこかにありそうな風景をそれらしく作るってことがやりたかったんです。だから、とくにモデルはありません。
ただ、たとえばドイツのお城の写真集など、世界中のいろいろな資料をみんなで見ましたので、どこかに少しは反映されているかもしれませんね。

櫛田: ハイラル地方の創造には、みなさんとくに情熱を傾けた、というワケですね。
宮本: ゲームを作るというよりは、ハイラルという箱庭を作っている感じです。その箱庭のなかで、どんなゲームができるのかと考えたら、ああいうものが生まれてきた。
ゲーム内容を優先して考えれば、もっと探偵ゲームのようなものであってもよかったワケですよね……うーん、次回作は、平和を取り戻したハイラルという舞台で事件を起こして、リンクに探偵をやらせようかなあ。

櫛田: さて、最新作では、視点が従来のトップビューから、3Dタイプに変更されていますね。
ダンジョンを冒険するリンク


敵と戦うリンク
宮本: 苦労しました。というのも、遊びやすさだけを考えるなら、やっぱり従来のトップビューが一番なんですよね。でも、プレイヤー自身がそこにいる感じ、というのをどうしても優先させたかった。水平線や地平線が見える臨場感というか。
たとえば、洞窟に入ったとして、トップビューだと最初から奥まで見渡せてしまう。それでは臨場感がありません。やっぱり、じょじょに奥へと足を踏み入れていく感覚がほしい。敵のいる位置だって、トップビューなら一目瞭然ですが、実際には頭上にいる敵、背後に迫る敵には気付かないハズ。そこにこだわりたかったんです。

櫛田: 視点が変更されても、とくに違和感もなく、すんなりゼルダの世界へ溶け込めますね。やはり宮本さんの力でしょうか。
宮本: いやー「ゼルダらしくない」って声もあるんですよ、やっぱり。それで、なんとかトップビュー感覚を取り入れようと、ミニゲームを作ったり、街のなかで視点が切り替わるようにしているのですが、どうでしょう。


櫛田: グラフィックとならんで、『時のオカリナ』の重要なキーとなっているのが、サウンドですよね。オカリナがサブタイトルになっているだけあって、音楽がストーリーと密接に結びついていますが?
宮本: オカリナを登場させよう、と決めた時点で、今回のゲームのキーは音楽だねってことになりました。イベントを起こす鍵や、事件を解決する鍵。従来では魔法が果たしていたような役割を、音楽に託そうと思ったんです。
サウンドチームのディレクターが『スーパーマリオブラザーズ』からずっと一緒にやっている近藤浩治ということもあり、音と物語が結びつくアイデアもいろいろ出してもらいました。

櫛田: オカリナ以外のサウンドも、ハイラルの雰囲気にピッタリですね。
宮本: 今回はハイラルの自然を描きたかったので、それをサウンドにも反映させたい、ということになりました。そこで、近藤と一緒に環境音楽のCD、たとえば海の音とか、小川のせせらぎとか、そういうのを一生懸命聞きましたね。
また、ハイラルの神秘的な面を表現するために、宗教音楽のような雰囲気のサウンドや、メロディーラインのない音楽を採用したり、いろいろやりました。


宮本茂プロデューサー
櫛田: ところで、NOM読者の方に、なにかこぼれ話など紹介していただきたいのですが……。
宮本: 『時のオカリナ』は、日米同時発売、少し遅れてヨーロッパでも発売されるという、ワールドワイドな作品なんです。
そうそう、ヨーロッパのビデオソフトって、そのままでは日本やアメリカのビデオデッキで再生できないってご存知ですか?
これは、方式が違うからで、実はゲームにもその影響があるのです。たとえば、秒間60フレームが50フレームになってしまうなどのスピード面や、画面の明るさなどが違ってくるんですね。
そこで、オプションモードに、“明るさチェックサンプル”というものをつけました。これを利用すれば全世界どこでも、適正な明るさでゼルダを楽しめるってワケです。

櫛田: 興味深いお話をありがとうございました。最後に、NOMの読者にメッセージをお願いいたします。
宮本: 今回のゼルダはわれわれにとって初体験、今までにないものを作ったということで、反省点もでてきました。でも、慣れると気持ちよく遊べる作りになっていますし、スグに慣れていただけると思います。
そうそう、いまはRPGやアドベンチャーといっても、プレイヤーにいたれりつくせりのゲームが多いですが、『時のオカリナ』は違います。自分自身の力で解かなければならない、久々のソフトです! クリアしたあとには、「オレも捨てたもんじゃない」って気になれますよ!
そういえば、攻略本やゲーム雑誌などで、いろいろなヒントが紹介されていると思いますが、それを最初に頭に入れてプレイすると、ちょっと矛盾が生じてくるかもしれません。たとえば、リンクは馬に乗ることができるのですが、その情報を念頭に馬のところへ行くと、「アレ、乗れるハズなのになんで乗れないの?」という結果になると思います。基本的には、ゲームを進めていくなかで、自分の興味のあることを追及していけば、先へ進める作りになっています。焦らずに、ミニゲームで寄り道なんかしながら、ゼルダの世界を楽しんでください。

櫛田: 宮本プロデューサー、今日は本当にありがとうございました。



ゼルダの伝説 時のオカリナ http://www.nintendo.co.jp/n01/n64/software/zelda/index.html





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