ひとめでゲームボーイと分かる、シリーズ一連のデザイン。そのなかに、カラーならではの独自色も打ち出しているんです
 



杉野 憲一 杉野写真 ゲームボーイカラー
インダストリアルデザイナー
任天堂株式会社 製造本部 開発技術部


インタビュー
持ったときの感覚、感触を重視したゲームボーイカラーのデザイン
 ゲームボーイカラーのかたちをデザインしたのが私、インダストリアルデザイナーの杉野です。
 ゲームボーイポケットは小型化を目指し、削れるところは全部削ろうというコンセプトのもとにデザインしたワケですが、今回のカラーの場合は“持ったときの感覚、感触”を一番重視しました。モックアップ(原寸大モデル)をいくつも作って、実際に持ってみてフィット感を確かめながら、改良を重ねていったんです。その結果、背面に特徴的なカーブをつけることになったのですが、気がつきましたか?
 もちろん、サイズのこともいろいろ考えましたよ。ポケットよりもあまり大きくなってはダメだなというのはもちろん、それ以上小さくてもしょうがない、というのが結論です。たとえば、電卓ってどんどん小さくなっていって、カード電卓というかたちにまでなりましたよね。カード電卓は、確かに携帯には便利なんですが、使うとなるとハッキリ言って使いにくい。指のほうがボタンよりも大きかったりして、押し間違えたりしますよね。ゲームボーイカラーも、小型化ばかりを追求してしまうと遊びにくくなるのではないかと思ったワケです。
 
“制約のなかでの苦労”はデザイナー的にもありました
 岡田の話にも“制約のなかでの苦労”というのが出てきましたが、デザイナーとしても苦労しました。たとえば、いままでのゲームボーイ用ソフトも遊ぶハードなんですから、キーレイアウトはゲームボーイと同じでなきゃ都合が悪いですよね? そうした約束事のなかで、いかに新しいハードとしての新鮮味を出すか、いかに使いやすくパワーアップするかということに工夫をこらしました。
 それから、みなさんにお安く提供するために、コストの制限もありまして、それで涙を飲んだアイデアもありました。次回の仕事にこのアイデアを活かせればと思います。
 
ゲームボーイカラー独自のボディ色にお気づきですか?
 見て欲しいところはいろいろありますね。たとえばボディの色。当初はパープルのみの予定だったんです。画面がカラーになるんだから、外見は単色でいいかなって。グレーはすでにゲームボーイで使っていたからナシだし、赤ではどうしても女の子向け、青では男の子向けのイメージがあるから、その中間のパープルが無難な線として浮上したんですね。さらなる話し合いの結果、ちょっと青みがかったあのパープルができあがったワケです。世界市場に受け入れられるようにと作った、特別な色なんですよ。結局、国内ではパープルだけでなく、ゲームボーイポケットのように多色展開することになりましたが、ゲームボーイカラー独自のボディ色があるってご存じでしたか? 赤にはラズベリーやストロベリーの色を連想させるベリーレッド、青にはトルコ石色のターコイズブルーを採用しているんです。機会があったら、ゲームボーイポケットの赤や青との違いを比べてみてくださいね。
ゲームボーイカラーの赤 ゲームボーイポケットの赤
 
ユーザーの声に触発されて背面のデザインに凝りました
 それから、背面に傷がつきにくくするために、数カ所にポッチリをつけているんです。そうすれば、たとえばテーブルに本体を置いたときに、背面が直接テーブルに触れずにすむでしょう?
 こうやって振り返ってみると、今回はずいぶん背面のデザインに凝っていますよね。実はこれ、ユーザーの声に触発されてのことだったりします。インターネット経由で聞こえてきたんです、「ゲームボーイポケットって背面のデザインは結構いいかげんだよなー」なーんて声が。今回はそんなことは言わせませんよ〜。
 インターネットにはそのほかにも面白い声が寄せられ、「電池カバーに無意味な段差があるけどどうして?」なんてのもありました。これは、アメリカで問い合わせ先電話番号のシールを貼らなければならない規定があって、そのためのものなんです。でも、その声をヒントに、今回はその部分にロゴを入れてみたりしましたね。無意味なんて言われないようにね(笑)。 背面のカーブと電池カバー
 
横井さんに捧げるストラップ用の穴や安全設計にも注目してください
ストラップ用の穴  あと、ストラップを通す穴をあけているのにも注目してください。実は、ゲームボーイの生みの親である故・横井軍平さんが、ゲームボーイ開発当初から「ストラップ用の穴をあけよう」ってずーっと言ってたんです。今回は追悼の意味もこめて、穴をあけてみました。携帯電話の普及で、ストラップ自体がメジャーになったこともデカいですね。10年前はストラップなんて言っても、いまいちイメージわかなかったハズですし。それを思うと、横井さんって時代を先取りしてたんですねー。
 安全設計にも力を入れています。誤って落としてしまったり、踏みつけてしまったときにもなるべく壊れにくい設計になってるんです(実際に落としてみたりしないでね!)。また、それで万一壊れてしまったときにも、ケガしないように考慮しています。安心して遊んでくださいね!


 

 
 

 


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