マイク
NOM独占インタビュー!!
加賀昭三氏(『ファイアーエムブレム』シリーズゲームデザイナー)
が語る、『トラキア776』への想い、プレイヤーへの想い





〜『トラキア776』製作秘話〜
NOMがまたまた独占インタビューに成功!!



風景今回、リコ編が突撃したのは、京都は室町通り沿いの、情緒豊かな一角に位置する(株)インテリジェントシステムズ。こちらに、あの『ファイアーエムブレム』シリーズのゲームデザイナー、加賀昭三さんがいらっしゃるというのだ! オフィスにおじゃまし、京都ならではのおいしい緑茶をいただきながら、加賀さんを待つ・・・。数分後、現われた加賀さんは、まるでゼミ生に慕われる大学教授のような、落ち着いた知的な風貌の方だ。挨拶もそこそこに、新作『トラキア776』を中心に、『ファイアーエムブレム』シリーズへの想いをタップリと語っていただいたぞ。



コンセプトについて システムについて キャラクターについて
遊び方について 背景について 進行について





コンセプトについて
----ストーリーをスッキリさせて、その分、ゲームシステムの作り込みに力を注ぎました
ファイアーエムブレムの資料 新作『トラキア776』は、シリーズ4作目にあたる前作『聖戦の系譜』を、補完する作品という位置づけなんです。前作の1部分を切り取って、深く掘り下げた物語とでも言いますか・・・。  といっても、新作のストーリーは比較的分かりやすい話なので、前作を遊んでいなくても、十分についていけるハズです。
 というのも・・・実は前作は、ストーリー部分にたいへん凝ったんですね。その分、ウォーシミュレーションとしての手ごたえは、従来の作品よりもちょっと甘めというか、もの足りなさを感じた方もいたみたいで・・・。だから、今回は逆に、ストーリーをスッキリさせて、ウォーシミュレーションとしてのゲームシステムの作り込みに力を注いだんです。
 ウォーシミュレーションとしての手ごたえやゲームシステムは、むしろ3作目の『紋章の謎』に近いですね。原点に戻ったというか。今回は、気楽にひまつぶしで遊べるゲームじゃないですね。プレイヤーの方には、覚悟して遊んでもらわないと。
 難しいというイメージが先行するのもなんですが、ひとつのマップが1回でクリアできるワケはない。あるポイント、1点を見つければ30分で解けちゃうかもしれないんですけどね。それ・・・最良の攻略法を見つけるまでには、1週間かかるひともいるかもしれない。
 ただし、パズルゲームみたいなものではないですよ。自分がその場に、その立場に実際にいることをイメージしてもらえば、必然的に解けるということです。たとえば、ゲームだと思うと、なんでもイケイケになっちゃうでしょう。力技でなんとかしてしまうとか。そうじゃなくて、現実のことを考えて欲しいんです。現実だったら、ひくときもあるだろうし、逃げるときもあるでしょう?
 
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システムについて
----プレイヤーの行動の選択肢が広がり、格段に自由に遊べるようになりました
ファイアーエムブレムの資料 では、肝心のシステムのお話をしましょうか。基本的には『紋章の謎』と同じ。いわゆるシナリオキャンペーン方式です。でも、今回の『トラキア776』では、1本道ではない。分岐するんです・・・プレイヤーに選択の余地が生まれた、と言いますか。各マップにしかけがあるんですね、かなり多くの。サブミッションが用意されているというか。それで、各プレイヤーの遊び方によって、面数が変わります。遊び方によっては見ることのできないステージもあるということです。はたして自分はサブミッションをやったのか、やっていないのかは、プレイしていれば“感じる”ことができるでしょうね。
 そして『トラキア776』では、みなさん、敵の行動に意表をつかれることでしょう。優秀なスタッフのおかげで、プレイヤーのウラをかくような、高度なアルゴリズム、思考ルーチンを実現できたんです。いままでは、遊んでいるうちに敵の行動パターンが見えてくる・・・プレイヤーの思うようにコンピュータが動くというところがあったでしょう。今回はCPU側の行動がリアル・・・かなり人間に近いかな、と。
 それにマップごとに、コンピュータプレイヤーのアルゴリズムも違うんです。よくあるシミュレーションだと、たとえば戦車ユニットがあったとして、それはそのゲームを通じて同じアルゴリズムで動くんですね。どのマップでも同じように動く。ところが『トラキア776』では、同じ敵ユニットでも、マップが違うと動きも違うんですよ。
 また、今回はシステム的に、いろんな実験を盛り込みました。作っているうちにこれがうまくいってることが分かって、ゲーム性に広がりがでてきて、新しい方向性のアイデアがそこから次々生まれてきて・・・タイヘンでした。たとえば、ドラゴンナイトというユニットが、味方をひとり拾いあげて、いっしょに空を飛ぶことができるってアイデアを採用したんですね。すると、山に四方を囲まれていて、普通ではいけない場所にも行けるようになるワケですよね。つまり、プレイヤーの行動の選択肢が広がった分、我々の予期していなかった行動をプレイヤーが取る可能性が高まる。そのとき、ゲーム上でつじつまがあわなくなるといけないので、そのための検証の作業がタイヘンだったんです。そのかいあって、自由度はずいぶん高くなっていますよ。 あと、勝利条件もそうですね。今回は、マップごとに勝利条件が異なるんです。あるマップでは無事脱出すればクリア、あるマップではある場所を制圧すればクリア・・・というように。物語の流れに、これをうまくつきあわせるのはタイヘンでしたね。
 『トラキア776』のこうした目新しい方向性は、成功していると思っています。シリーズファンのみなさんに、満足していただく自信があります。
 
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キャラクターについて
----キャラクターの性格みたいなものは、プレイヤーにゆだねているんです
 『ファイアーエムブレム』はユニットがキャラクターなので、冷静に作戦を立てているつもりでも、落とし穴があるんですよね。つまり、プレイヤーがキャラに感情移入するあまり、判断をあやまって作戦失敗してしまうという(笑)。好きなキャラだから大切に温存しちゃうとか(笑)。『ファミコンウォーズ』などに出てくる“戦車”とかの兵器ユニットなら、コレはありえませんからね。
 みなさん、従来のシリーズは、好きなキャラやとくに強いキャラばかり使って遊んでたでしょう(笑)。『トラキア776』では、そういう遊び方は難しいと思いますよ。スーパーキャラが使いにくいというか。というのも、戦っていくうちにキャラが疲れるというしかけを、新たに盛り込んでいるからなんです。だから、スーパーキャラをすべてのマップで使うことはできない。いろんなキャラをまんべんなく育てておかないとダメなんです。
 『トラキア776』には、もちろん前作でおなじみのキャラも登場するワケですが、コレは、ファンの方にはやっぱりよろこんでもらえるんでしょうかね? 各プレイヤーは、前作から受けたキャラのイメージを、それぞれふくらませていると思うんですよ。そのイメージとのギャップが生じることを考えると、どうなのかなと。
 まあ今回は、キャラクターの性格みたいなものは、プレイヤーにゆだねているんです。やさしい人物なのかドライなのか、気が強いのか弱いのかといった部分ですね。そういうのは、プレイヤーの方に決めていただきたいんです。イメージだけの話ではなくて、それがゲーム中の行動にも反映されるような、そんな遊び方を期待しています。今回は、キャラの行動によって、成長のしかたが変わるような感じがするかもしれませんよ。
 あとね、主人公は弱いですよ。アテにしちゃダメ。コレだけは言っておきます(笑)。
 
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遊び方について
----滅びの美学を、ドラマを感じとって欲しいですね
 そうそう遊び方ですが、パーフェクトを目指すのもいいし、なりゆきで遊ぶのもいいし、自由に楽しんでクリアしていただければ、コレが正解というのはないんです。ただし、パーフェクト・・・全員仲間にして、全員死なせずに、エンディングを全部見て・・・という遊び方ですか、コレは私の意図とは違うということは言っておきます。
 私はゲームのなかに、滅びの美学を反映させているつもりなんです。50人登場したとして、全員は生き残れない。誰かが犠牲になるところにドラマが生まれる。それを大切にしたいんです。コアユーザーの目指すノーリセットプレイですね。誰かが死んだからリセットでやりなおしではなく、そこでリセットせずに、倒れていったキャラの想いをひきずってプレイを続けるという。
 
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背景について
----戦争が好きなのではないですよ、戦わざるを得ない状況にロマンを感じるワケで
 私は歴史が好きなんですね。ヒロイックファンタジー・・・英雄物語が好き。そのなかで織り成される人間ドラマを表現しようとつきつめたら、ロールプレイングシミュレーションというシステムにたどりつきました。
 歴史上の人物では、明智光秀が好きですね。人間性にひかれます。繊細な部分・・・やさしすぎた、マジメすぎた、善人すぎたところですか。まさに滅びの美学ですね。彼のイメージを投影したキャラクターは、シリーズの各作品にひとりずつはいますよ。いったい誰なのか、想像してみてください。
 歴史が好きだからといって、戦争そのものが好きなのではないですよ。なにか戦わざるを得ない状況が出てくるワケですよね、そこにロマンを感じるんであって。『トラキア776』で取り上げている戦争にしても、善対悪、勧善懲悪というのではないです。そこらへんを考えて、ゲームをしているという感覚以上のものを見いだしてもらえれば幸いです。
 そこらへんは新しいシステムにも反映しているんです。いままでは、やっつけるかやられるかの世界でしたよね。今回はそこに“捕まえる”という要素を付け加えたんです。敵を捕虜にすることができる。実は、捕虜にするのはスゴく難しいんですよ。でも、そういう選択肢はある。そこになにかを感じてもらえると嬉しいんですけど。
 
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進行について
----次はゼヒ、もっとラクなゲームを作りたいですね
 この『トラキア776』には、去年の頭ぐらいからとりかかりました。当初は、こんな大作をつくるつもりじゃなかったんですよ。『聖戦の系譜』外伝って感じで、もっと小さくまとめるハズだった。製作期間も、もっと短くてすむハズだったんですけどね。作っているうちに、いろんなことをどんどん盛り込みたくなってしまって・・・。
 こんなことになるのなら、イチから新しい話にしてしまえば、どんなにラクだったか。というのは、前作との整合性にとても苦労したんです。前作を遊んでいる方に違和感を与えないよう配慮しながら、なおかつ、ひとつの独立したゲームとして成立させなければならないんですからね。
 まあ、シリーズ次回作の構想や、ニンテンドウ64用ソフトを作る計画などいろいろあるんですが、次はゼヒ、もっとラクなゲームを作りたいですね(笑)。プレイヤー的にも気楽に遊んでもらえるものを。いつか、そんな作品も世に送り出せることでしょうね。
 
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