1. すべてはちゃぶ台からはじまった

岩田

2009年の春からスタートした
Wiiチャンネルのひとつ『Wiiの間』ですが、
11月21日より、バージョンアップすることになりました。
そもそも「社長が訊く」は京都でやることがほとんどで、
いつも本社のなかの決まった会議室で訊くことが多いんです。
それ以外の場所となると、
何度か外部の方と京都のホテルでしたことがあるのと、
東京支店でやったことがあるんですが、
このページの上の写真を見た方は「どこだ、ここは」と、
たぶん思ってると思います。
今回は「Wiiの間株式会社」のなかにある「Wiiの間」で(笑)、
「社長が訊く」をさせていただきます。
よろしくお願いします。

一同

よろしくお願いします。

岩田

「社長が訊く」と言えば、
商品開発者に話を訊くものだろうと
多くの方はそう感じてらっしゃると思うのですが、
実は今日は商品開発者ではない人ばかりが並んでいます。
「場違いじゃないの?」という表情をしながら
座っているみなさんに自己紹介をしていただこうと思います。
まずは別府さんから、Wiiの間(株)に来る前は
何をしていたのか、話を訊かせてもらえますか?

別府

Wiiの間株式会社の社長をしています別府です。
わたしはWiiの間(株)に来る前は、
任天堂の編成情報室という部署で仕事をしていました。
そこでは、ひとりでも多くのお客さんに
満足して遊んでいただけるようにするには、
どのような商品やサービスが必要なのかを
提案していく部署で仕事をしていました。

岩田

では、湯川さん。

湯川

わたしはここに来る前は、広告代理店の電通で
放送局さんを担当するテレビ局というところにおりまして、
広告の番組枠を販売したり、購入したり、
あるいはお得意さまに提案したりと、
放送の枠を仲介するビジネスを展開する立場におりました。

岩田

ある意味、広告代理店の
本流中の本流の、
ど真ん中で仕事をされていたんですね。

湯川

そうですね。
ただ、放送局のビジネスもひじょうに多角化をしておりまして、
2年ほど前には映画の出資をさせていただく部署や
放送局さんといっしょに番組をつくらせていただく分野など、
テレビの広告枠を販売すること以外の仕事も
担当しておりました。

岩田

じゃあ、鈴木さん。

鈴木

鈴木です。僕はもともとフジテレビにおりまして、
ドラマのプロデューサーをやっておりました。
Wiiの間(株)には、2009年4月1日に入社したんですけど、
その直前の3月22日に放送する番組が最後だったので
本当にギリギリまで現場でやっておりまして、
社員番号1番で会社に入れていただきました。

岩田

鈴木さんが関わったドラマの名前を言えば、
ほとんどの方が知っているようなものばかりで、
そのようなドラマをつくられていた方が
ここに座ってるのも不思議な感じがするのですが(笑)。

鈴木

楽しくやってます(笑)。

岩田

じゃあ、トニーさん。

トニー

トニー・エリソンです。
Wiiの間(株)に来る前は、
NOA(Nintendo of America)のニューヨークオフィスに勤めていました。
向こうではWEBページとか
『みんなのニンテンドーチャンネル』(※1)の編成、
それにアメリカ版のクラブニンテンドー(※2)
立ち上げまでやっておりました。
で、Wiiの間(株)に来るキッカケというのは、
ある日突然・・・。

岩田

「日本に行け」と(笑)。

トニー

突然「日本に行け」と言われまして(笑)。
ただ、別府さんとは
クラブニンテンドーの仕事を
いっしょにやってましたので、
1万キロ以上離れて連絡を取り合っていたんです。
でもまさか、このちゃぶ台の横で仕事をすることになるとは(笑)。

別府

(笑)

岩田

1万キロ以上も離れていたのに
数メートルの近くでいっしょに働くことになるなんて。

トニー

思ってませんでした(笑)。

※1

『みんなのニンテンドーチャンネル』=WiiやDSに関する映像など、さまざまな情報を見ることのできるWiiチャンネルのひとつ。ニンテンドーDSに体験版などをダウンロードすることも可能。

※2

クラブニンテンドー=日本では2003年からはじまった、任天堂の会員制ポイントサービス。対象のゲームソフトやゲーム機を購入し、シリアルナンバーをインターネットで登録したり、プレイ後アンケートに回答すると、ポイントが加算される。ポイント数に応じて非売品のオリジナルグッズと交換ができる。登録費・年会費は無料。

岩田

ところで、別府さん、
Wiiの間(株)という会社をつくって、
どうしてこの「Wiiの間」という部屋をつくったんですか?

Wiiの間

別府

この部屋をつくった理由は、
テレビモニターのなかの『Wiiの間』と
実際に体験できるリアルな「Wiiの間」の
両方をつくりたいと思ったからです。

トニー

最初にこの部屋ができたとき、
「こんな部屋でミーティングなんかできないよね」
という話をしていたんです。
ここに座ると、家庭のリビングのような居心地のよさで、
仕事とはぜんぜん違う会話になるんです。

別府

それは大きなポイントで、
会議室のモニターでいろんな映像を見るのと、
ここで見るのとでは・・・。

岩田

気分が違うんですか?

別府

なぜか違うんですね。

湯川

それに、お客さんがいらっしゃったときに
この部屋にご案内すると、和やかな雰囲気になるんです。
しかも、テレビモニターには『Wiiの間』が映っていて、
それとそっくりな部屋があるわけですから
必ずみなさんが笑顔になるんですね。
だから「この雰囲気がまさに『Wiiの間』なんです」と
ご説明するようにしているんです。

岩田

なるほど。
『Wiiの間』そっくりそのままじゃないですけど、
ちゃぶ台が部屋の中央に置いてあって、
観葉植物があったり、時計までありますよね。

トニー

ちゃぶ台は別府さんが見つけてきたんです(笑)。

別府

これを探すのがすごく大変で(笑)。

岩田

え、どういうことですか?

別府

いまはソファーが普及していますので
床に座ってちょうどいい高さのちゃぶ台は
あまり売ってないんです。

岩田

ああ、ふつうはイスに座るための高さになっているんですね。

別府

ええ。ちゃぶ台がたまに置いてあっても、
四角だったり、バランスがよくなかったり、
なかなか思うデザインのものがなかったんですけど、
たまたま神戸のインテリアショップで
イメージ通りのちゃぶ台を見つけたんです。

岩田

これぞ求めていたちゃぶ台だと(笑)。

別府

はい(笑)。
その場で写真に撮って、
すぐにメールでデザイナーに送って
「これでデザインして!」とつくってもらったのが、
『Wiiの間』に登場するちゃぶ台なんです。

ちゃぶ台

岩田

というと、
ここにあるちゃぶ台のほうが先なんですか?

別府

はい。こっちのほうが先です。

岩田

へえー。

湯川

足の向きも微妙に開いていたりとか。

岩田

確かに足が微妙に開いてますね。

トニー

だから、関連性があるんです。
まずこのちゃぶ台が現実にあって、
『Wiiの間』のなかにちゃぶ台ができ、
『Wiiの間』がWiiのなかにできたから、
リアルなこの部屋があるんですね。
何がオリジナルなのか、
何がリアルなのかまったくわからないんですけど(笑)。

鈴木

でも、よく見ると
ちゃぶ台の形がちょっと違うんですよね(笑)。

湯川

まん丸じゃなくて楕円なんですよ(笑)。

別府

写真を送ったときに
デザイナーにはまん丸に見えたんでしょうね。

湯川

楕円でも、すべてはこのちゃぶ台からはじまったんです(笑)。