世界観/ストーリー

バックグランドストーリー 前編

ヒトが不在となって久しいその地球に、今、ひとつの不自然な存在が降り立った。黄昏に沈む無人の都市に光を灯すのは星明りのみではあったが、巨大な建造物上に照らし出された凛として立つその輪郭は、明らかに人間の少女の姿を模していた。しかしぶっちゃけてしまえば、彼女はヒトではない。ヒトの少女の姿に擬態した存在であり、生物であるかどうかさえ怪しかった。星明りの下、窓が割れ、鉄骨の突き出ているビルの上に佇むには、あまりに華奢なその姿は、違和感をありありと醸し出していたが、当の本人はまったく意に介する様子もなく、ただ小首をかしげていた。

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