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──古のギリシア。
何百年とつづく平和な世界。
人々の心の中には、「苦しみ」、「悲しみ」などという感情が、何代もの祖先にまでさかのぼらなければ見出せないほどに、安穏な時代はつづいていた。
何百年も前からずっと……。
天界に住まう神々も、人々が穏やかに、平和に暮らす地上の楽園を眺めるにつけ、自分たちが創造した世界が、正しい歴史を刻んでいることに、
大いに満足していた……。

しかし、そのような時代にも、常に地上に、そして、そこに暮らす人間たちに、じっと目を凝らす神がいた。オリンポスの神々の最高神であり、全世界の偉大な創造主である大神ゼウスである。
彼は片時も離すことなく見開いた目で地上を見降ろし、たとえ小さな変化といえども見過ごすことなく、常に地上界を注目していたのだった。
そして、ゼウスの目は、平和の楽園に、徐々にではあるが、変化の兆しが訪れていることを見逃さなかった……。

生命のほかにも、人間たちは多くのものを神々より授かった──愛、夢、希望、勇気……、──が、しかし、人間の心を揺るがし、人間を動かしていたものは、ほかならぬ神々より受け継いだ“欲望”であった。そして、“欲望”の行きつく先は──当然のことだが、──神々自身はよく知っていた……。

大地の女神・ガイア──外に「生の世界」を、内に「死の世界」をもつ母なる大地は、人間の欲望のために病み、傷つき、その結果、二つの世界の境界を維持することが困難になりつつあった。

傷ついたガイア!?
激しく動揺する大地。地上にはいくつもの穴があき、それはいつの間にか「死の世界」にまで届いてしまっていた。そして、そこから這い出した魔物ども──彼らは「死の世界」の住人!? ──が、人々を襲い始めたのだった!!
ゼウスは地上を見降ろしながら、思いをめぐらしていた……。
人間たちへの愛情は否定できない。しかし、それはガイア──母なる大地があればこそのこと。ガイアは今、傷ついている。そして、そのガイアを傷つけたのは、ほかならぬ……。
ゼウスは決断をくだした。
今、もっとも重要なこと、それは大地を救うこと、人間はもう一度創造(つく)ればよい!!
心を決めた“すべての支配者”は、オリンポスの神々を集め、話しを始めた。
“ガイアを救うのだ!!”

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