社長が訊く
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社長が訊く『Wii U』

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社長が訊く『Wii U』

ZombiU(ゾンビU) 篇

目次

7. 「Congratulations!」

岩田

最後に、みなさんにひとつずつ・・・
いやふたつずつ、お訊きしたいと思います。
ひとつ目は『ゾンビU』のアピールポイントを、
そしてふたつ目はWii Uで気に入っている点を
お話しいただきたいと思います。
今度は順番を逆にして、
ガブリエルさんからいきましょうか?

ガブリエル

え、わたしからですか?
いきなり女性からなんて、
ちょっといじわるですね(笑)。

岩田

レディーファーストですよ。
言いたいことを他の人に先に話されてしまうことがないので、
話しやすいでしょう?

ガブリエル

ではまず『ゾンビU』についてですが、
今回ゾンビという、一見
アイデアが出尽くした感のある題材で、
「新しいストーリーをつくり出せるかどうか」
みんな懐疑的だったと思いますし、
それをくつがえすことが、
わたしたちにとってのチャレンジでした。
それはとても難しい挑戦でしたが、
わたしとしてはいちばん楽しいことでもありました。

岩田

こうやってできたものを見ると、
このゾンビゲームとWii U GamePadの相性が
あまりにも自然に見えるんですが、
本来この体験は、いままでにはないものなので、
ちょっと不思議な感じがしますね。

ガブリエル

Wii Uについては、わたしにとって
「ストーリーを根本からつくり直す」という、
「自由度をもたらしてくれた」と感じています。
自分の手の中で新しい世界が生まれて、
自分のすぐ近くで物が形づくられる、と気づいた瞬間、
わたしたちの物語の見せかたが変わりました。
それと今回、Wii U GamePadがあるおかげで
テレビ画面側の情報がすっきり整理できているので、
クリーンな世界をテレビ画面に映し出すという
アートディレクターの夢が実現しています。
これはシナリオをつくる者から見ても、
「新しい物語を生む手段になっている」と思います。

岩田

はい。ありがとうございます。
では、ギオムさん。

ギオム

わたしが『ゾンビU』で好きなところは、
Wii U GamePadを使いこなしている気になって、
「余裕、余裕」と自信に満ちた状態が一転、
絶体絶命な状況におちいるときの、
ギャップに満ちたスリリングな時です。
このゲームでは本当に何度も、
そうしたことが起こるんです。
たとえば、3体のゾンビが目の前にいるとします。
2体はスマートに倒して、
残る1体の頭を追撃し、その頭にトドメの一発!
・・・というときに、
「カチッ、カチッ、カチッ・・・」という音が。
銃弾が、なくなっているんです。

一同

(笑)

ギオム

その瞬間、さっきまでの自信が恐怖に変わります。
もう、パニックですね。
「まずい・・・立て直さないと・・・」とか、
「どこかに弾はあったか?」と
さまざまに思いをめぐらせても
判断力はますます鈍り、あせりがつのる。
そんな感情をゲームで抱くのは、
本当にひさしぶりなんです。

岩田

もう完全に絶体絶命なんだけど、
「それでもまだどこかにチャンスはある!」
みたいな、まさに緊張の瞬間ですね。

ギオム

Wii Uについては、もう、
わたしはいちユーザーとして、
任天堂から人気シリーズが出るのを、
心待ちにしています。
とくに『ゼルダ』はもちろんですけど、
『F-ZERO』も期待しています!(笑)

岩田

ありがとうございます(笑)。
ザビエさん、どうぞ。

ザビエ

まず『ゾンビU』の恐怖の表現というのは、
ビデオゲームにおいてはけっして
目新しいものではありません。
ただその体験は、「新たな限界まで
押し上げられたものになっている」と思います。
今回わたしたちが、その新しいゲーム体験を
Wii Uのローンチタイトルとして
お見せできることを、誇りに思います。
そのカギは、まぎれもなくWii U GamePadです。
現実の世界とゲームの世界をつなぐ、
同一のサバイバルキットとして、
プレイヤーの唯一の助けとなるものです。
E3でプレイヤーの方が
Wii U GamePadを落としそうになったのは、
実際、その世界にプレイヤーが
「没入していたからだ」と思いますし、
その点において、とても自信を持っています。

岩田

はい。

ザビエ

Wii Uに関しては、
さまざまな機能を集約した
新しいシステムがしっかりと
つくられていると確信しています。
現在、人々はテレビの前でiPhoneや
iPadといった2つ目の画面を
すでに日常的に使っています。
Wii Uはそこを新たに推し進める、
「革新的な一歩を踏み出すだろう」
と思っています。

岩田

別々ではない、統合された、
“2画面の体験”ですからね。

ザビエ

そのとおりです。Wii Uは最初から
2画面を内包したシステムですので、そこに
「新たな可能性を生み出している」と思います。
わたしたちはまだまだ
その新しい遊びかたを研究しはじめたばかりです。
今回の『ゾンビU』はもちろん『ラビッツ』や
『JUST DANCE』シリーズなど、
ユービーアイソフトが発売するあらゆるゲームでは、
これからさらに、新しい楽しさが
生まれてくることと思います。

ガブリエル

あの、イブが答える前に
ちょっとだけ付け加えていいですか?

岩田

はい、どうぞ。

ガブリエル

ちょっとゲームから離れるんですが、
わたしはWii U GamePadで
「Netflix」(※38)を見たり、
テレビのコントロールができるのがいまから楽しみなんです。
こういうことは、あまりふだん
わたしたちの立場では言わないんですが(笑)。
そういったゲームだけにとどまらない、
Wii Uの“収束性”(※39)にとても胸が高鳴っています。
収束性こそ、いま起こっている
「偉大な時代精神を表す言葉だ」と思うのです。
そしてみなさんこそが
「イエス」と言える最初の人たちだと思います。

※38
Netflix=1997年に創設されたアメリカ合衆国のオンラインDVDレンタル会社。北米版のテレビ番組ガイド『Nintendo TVii』を通じ、Wii U GamePadで利用・視聴することができる。
※39
収束性=別々に分かれていたものが、まとまって収まりがつくという意味。

岩田

ありがとうございます(笑)。
どうか、楽しみにしてください。
では最後に、イブさん。

イブ

わたしからは本当にシンプルですけど、
『ゾンビU』をはじめ、今後わたしたちが
リリースするゲームは、家族や親しい人たちと
「一緒に楽しむきっかけになる」と思います。
Wii Uは「家族や友達を一緒にしようとしている」と思いますし、
『ゾンビU』もそのひとつになれば、幸いです。

岩田

はい。今日、わたしはみなさんのお話を訊いていて、
以前からユービーアイソフトさんとの間に感じていた
「共感」の多さの秘密が、少しわかった気がします。
そして、いいゲームができるときに、
たくさんのことがスーッと集約されて
いろんなピースがカチッとはまっていく感覚は、
本当に「世界共通のものだ」とも感じました。
 
『ゾンビU』がこのような形で完成したことは
ある意味、自然な成り立ちではありますが、
そこにいたるまでにいろんな試行錯誤があり、
生まれたアイデアの積み重ねが、
きれいにひとつにまとまった感じがしています。
ですので、今日は最後に、
「Congratulations!」と言わせてください。

イブ

ありがとうございます。

ガブリエル

同じくわたしたちからも
心から「Congratulations!」と
言わせていただきます。

ザビエ

チームにも伝えておきます。

岩田

これからも、よいゲームを一緒につくりましょう。
そしてたくさんの、世界中の人を笑顔にして、
それと同じくらい怖がらせましょう(笑)。

ギオム

そうですね!

ガブリエル

あまりやりすぎるとまずいですね。
Wii U GamePadを壊したくはないので。

一同

(笑)

岩田

みなさん、ありがとうございました。