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2010年5月7日(金)第70期 決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文
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さて、引き続き、2011年3月期の業績予想についてお話ししたいと思います。


主要ソフト・ハードの予測についてですが、第71期のニンテンドーDSハードは、3,000万台、ソフトは1億5,000万本を予想しております。この数量には、期中に発売予定のニンテンドー3DSを含めております。
また、Wiiについては、ハードが1,800万台、ソフトは1億6,500万本を予想しております。ここでご注意いただきたいことは、右側の第70期ソフトの実績には、海外のWii本体にバンドルされているソフトの本数を含んでいるのですが、左側の予想本数にはバンドル分を含んでいません。ハードの同梱分を考慮すると、実質的に、Wiiソフトの販売数は、対前期で増加を見込んでいます。


これに基づきまして、第71期の業績予想は、売上高1兆4,000億円、営業利益は3,200億円を見込んでおります。経常利益は、期末における想定為替レートを1ドル95円、1ユーロ120円という前提において、経常利益の予想として3,200億円、当期純利益は2,000億円を見込んでいます。


では、最後に任天堂が行っているゲーム人口調査の最新動向もお知らせしておこうと思います。


これは、1月の決算説明会の際にお示しした日本のゲーム人口推移のグラフです。
以前からご説明してきたことではありますが、任天堂は、2005年5月以来、東京・大阪で3000人規模の面接調査を年に2回行い、ゲーム人口の推移を調査してきました。このグラフにおいて青で表しているアクティブユーザーとは、最近1年以内に、自分や家族が所有する家庭用ゲーム機もしくは携帯ゲーム機で遊んだ方、黄色で表しているスリープユーザーとは、以前は遊んでおられたが、最近1年間は遊んでおられない方、ピンクで表しているノンユーザーとは、まだゲームを遊んだことがない方を指しています。2006年5月以降は対象年齢を7〜74歳で調査しているのですが、このグラフは、2005年から現在まで、同条件で比較可能な7〜64歳の日本のゲーム人口の推移になっています。

日本では、ゲーム人口拡大は、Wii発売のおよそ1年後、2007年の年末商戦後に一旦ピークになり、そこからゲーム人口が減りつつあったのを、昨年末にふたたび盛り返したということが読み取れると思います。このグラフを見るだけでは、ゲーム人口拡大は、頭打ちに感じられるかも知れません。
ごく最近、アメリカの調査、これは、今年の1月から3月にかけて調べたものですが、その結果がちょうど報告されてきましたので、アメリカとの対比をお見せしたいと思います。


これがアメリカのゲーム人口推移です。日本の調査と異なり、最初から対象年齢が「6〜74歳」で調査をしてきましたので、対象年齢もより広いということにご注目ください。
ご覧のように、ゲーム人口比率がさらに高まりました。全人口の62%の比率というのは、これまでのあらゆる調査における史上最高値になりました。
この中で、DSやWiiを楽しまれている方々を色分けしますと、


このようになります。アメリカにおけるゲーム人口拡大は、WiiとDSがその主役となって牽引しているということがよくおわかりいただけると思いますし、今でもゲームを新しく始められるお客様が新たにゲームの世界に入ってこられているということ、そして日本と違い、ゲームをやめてしまうお客様の割合が非常に小さいということがわかります。
アメリカのビデオゲーム市場が、日本との人口比率以上に大きく成長した、ひとつの理由が見えるようにも思いますし、任天堂がゲーム人口拡大戦略を掲げて、まだできることがあるということの証明ではないかと思います。


また、私たちが中期的に重視する指標としてお話しした、世帯あたりユーザー数ですが、全体として、他社さんのプラットフォームについて世帯あたりユーザー数が下がる傾向が出ていますが、WiiとDSは、日本・アメリカ共に最新の調査でも高い水準を保っています。

ゲームビジネスのことを分析される方の中には、「過去はこのようにビジネス規模が推移したから、これからも同じように推移するはずだ」とお考えになり、いわゆる「プラットフォームを5年前後のサイクルで考える」という発想をお持ちの方が少なからずいらっしゃるわけですが、時代も変わっておりますし、お客様の行動も変化していますし、WiiやDSは「ゲーム人口拡大」でお客様の層もかつてないほど広がっていますので、私たちは、きっと過去のサイクルとまったく同じようには推移しないだろうと感じています。

私たちは、これからも、まだまだゲーム人口拡大の余地があると信じております。E3でお見せするニンテンドー3DSにしても、今年の新作ソフトの展開にしても、そして、まだDSやWiiを体験されておられない方々に、これらのゲーム機や定番ソフトの魅力を伝えていくことも、全てがゲーム人口拡大という、当社の基本戦略につながっています。娯楽ビジネスにとって最も重要な、「プロダクトを通じて、良い意味で、驚いていただく」ということが今後も継続できるように、これからも努力して参ります。


ご清聴、ありがとうございました。


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