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任天堂カンファレンス Q&A セッション
質疑応答
Q 9  SNSに関して、「すれちがい通信」の話も出ているが、人間がすれちがえる数には限界があると思う。「いつの間に通信」を使って世界中のMiiとコミュニケーションできるような仕掛け作りというのが今後出てくるのか。グローバルで同じゲームや、興味があるものをみんなで遊べるようにするための仕掛け作りについて、どう考えているか。
A 9

岩田:

 Miiが搭載されていること、それから「すれちがいMii広場」があることなども含めて、お客様とお客様が何らかの形で、相手が機械ではなく人であるということで何かつながりを感じられるというのは非常に重要な要素だと思います。ある意味、任天堂が取り組んできたことで言えば、『トモダチコレクション』や『ポケットモンスター』の対戦や交換も含めて全部ソーシャルな遊びだと言えます。あるいは、『Wii Sports』や『Wii Fit』も、ソーシャルな遊びという側面も持っているわけです。
 最近「ソーシャルゲーム」という言葉が急に世の中で使われるようになったわけですが、ソーシャルな要素をゲームと関連づけるということは、任天堂はずっと前からやってきているつもりですし、それは今後、ゲーム機に新しい仕組みができれば、当然もっといろんなことができると私は思っておりまして、そういう意味では、今後、「ソーシャルゲーム時代に対応するために今まで任天堂がやっていなかったことを急に始める」というよりは、「任天堂がもともと『人と人とがつながるのは面白い』と思っていたことを、これからできるようになる仕組みでもっと拡大していく」のではないかと思います。
 先ほども申し上げましたが、今日1日で『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』のお客様と100人以上すれちがった人がいらっしゃるという話は、それだけを取ってみても、もう既に十分ソーシャルな遊びと言えるのではないでしょうか。

Q 10  ニンテンドー3DSの「いつの間に通信」は接続拠点の増加も見込めるということで、ビジネスモデルの拡大のポテンシャルになるというふうに感じている。ユーザーからの収益という意味では、一般事業会社からの収益モデルというのも考えられるのではないかと思うが、この点について岩田社長の考えを聞かせてほしい。例えばNTTさん、マクドナルドさんの広告以外でも、事業会社からの広告というものはあり得るのか。
A 10

岩田:

 今回、テレビ局さんとの3D映像配信のトライアルをいたしますけれども、民放のテレビ局さんは広告で運営されているわけですから、基本的に今回のトライアルも、短い尺の魅力的なアテンションのある3D映像と広告との関係にはどのようなポテンシャルがあるか、という一つの実験的な取り組みといえます。
 一方で、広告について非常に注意しなければいけないのは、「いつの間に通信」は非常に魅力的な可能性を開き得る新しい仕組みですが、使い方を間違えますとスパム広告(※)が山のように届くプラットフォームになってしまいかねません。いわば、お客様が「こんなものはいらない」「こんなものを次から次へと届けられたら不愉快だ」と思われたら、もう価値はなくなってしまうわけです。ですから、届くものの価値と、お客様がそれを受け取りたいと思われるか否かということのバランスが非常に重要だと思いますが、ただ、忙しい現代において、お客様が能動的に行動しなくてもいろんなものが届くということとお客様の嗜好がしっかり噛み合った時には、非常に面白い可能性があると思いますので、今後様々な会社さんと可能性を追求していきたいと思います。

(※)スパム…営利目的のため、無差別に大量配信される電子広告。

Q 11  Wi-Fi通信について。ネット環境が整うということから、ネットによる海賊版への対策を考えることはできるか。例えばファームウェアを新しく自動的にアップデートさせることはできるか。
A 11

岩田:

 「いつの間に通信」の機能の中に、ネットワークを通じて本体の自動アップデートをすることも検討しております。これは海賊行為を防止することだけが目的ではありません。任天堂がしたいことは、例えば新しくもっと魅力的な機能が加わったのでお客様に使ってほしいと考えたとしても、今までのやり方だと、お客様はゲーム機を起動してアップデートというのを手動で動かさないとシステムのアップデートは起こらないので、なかなか使っていただけません。これが、これまでの私たちの経験です。ですから、その意味で、ネットワークを使って本体の機能のアップデートが(自動的に)できるようになればと考えているわけで、海賊行為の防止ができるというのは、どちらかというと副次的な問題で、メインは私たちがお客様に提案したい新しい機能をなるべく多くのお客様に使っていただきたいということで、こちらが主眼です。
 それから、念のため申し上げておきますと、新しい(パッケージ)ソフトを買ってきた時に、ソフトのROMカードからも本体の機能がアップデートできるような仕組みも、ニンテンドー3DSでは併せて搭載します。これは、ニンテンドー3DSで使えるROM容量がかなり大きくなりますので、十分それが可能であろうという見通しがついているからです。このことも、新しい機能をお客様に確実に使っていただくということになりますし、併せて副次的な効果として海賊行為の抑止にもつながると思います。

Q 12  「すれちがい通信」、「いつの間に通信」というのは、今できるベストソリューション、現実解だと思うが、前回、「3Gネットワークを安い値段で利用するためには何らかの大きなイノベーションが必要」だと言っていた。恐らく今日の時点では、まだ見つかっていないのかなと思うが、見つけようとする模索は今後も続けていくのか。それは他力本願なのか、御社からも何らかの働きかけを行っていくのか。
 また、ソフト会社の収益性について。収益性というのは、開発費と価格と販売本数の関数だと思う。ハード価格についてはE3後の手ごたえや原価や価値を総合的に勘案してという話だったが、今日のパンフレットではソフトの価格については一切触れられていない。御社のソフトの価格に対する現時点での考え方を教えてほしい。
A 12

岩田:

 まず、今のWi-Fi通信を使って「いつの間に通信」という新しいインフラを作るというのは、現状でお客様が経済的な負担をされずに、かつ任天堂側もリーズナブルな負担の範囲で実現できる現時点での解だと思っていますので、3Gネットワークかどうかはわかりませんが、将来何らかの形でもっとお客様に利便性のある提案ができないかということは当然いつでも考えています。これは、「新しいゲーム機は常に作っていますよ」というのと同じくらい、いつでも、この面をもっと前進させる方法はないのかということは考えています。ただ、大前提は、お客様に毎月お金を払っていただかなくても、ある程度のことをちゃんとできるようにする、ということが成り立つことだと思っています。
 ニンテンドー3DSの場合、ソフトに関しては、DSと同じくらいの開発費から、ニンテンドーDSよりずっとお金をかけて非常にリッチなソフトを作るということまで、ダイナミックレンジ(上限と下限の幅)が広がると思うのです。(開発費の)ダイナミックレンジが広がるということは、ソフト価格のダイナミックレンジも多少広がるかもしれません。一方で、今の世の中でソフトウェアの価格が高いものがどんどん受け入れられる状況だと私たちは思っていませんので、今のDS用のソフトとかけ離れた価格帯になるという認識は持っておりません。


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