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2011年4月26日(火)第71期 決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文
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本日は、お忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。社長の岩田でございます。
決算の数字につきましては、先ほど、専務の森からお話しさせていただきましたので、私は、まず、年明け以降の世界のゲーム市場における足下の状況、ならびに、任天堂の今後の展開についてお話しさせていただきます。

 


まず始めに、世界のゲーム市場における足下の状況についてです。
任天堂は、2月に日本で、3月に海外で、ニンテンドー3DSを発売し、年明け以降は、3DS中心の展開を図ったこともあり、年明け以降のソフト面での大きな話題は、3月の海外でのポケットモンスター最新作『ポケットモンスターブラック・ホワイト』以外にはありませんでした。このため、年明け以降は、従来機であるニンテンドーDSやWiiが、市場において例年のような存在感を示すことはできていないというのは、みなさんもご存じのとおりです。
一方で、具体的な状況は市場ごとに異なっていますので、これから具体的にご説明したいと思います。

 


まず最初に、日本の市場についてお話しします。


これは、今年に入ってから15週間の日本のソフト販売上位20位までのヒットチャートです。
今、日本のゲーム市場は、世界的に見て、独自の状況になっています。今年のヒットチャートには、PSPのタイトルが9タイトルあり、また、任天堂プラットフォームのタイトルが7タイトルしかなく、ニンテンドーDSが市場をリードするようになった2005年の年末以降、最も任天堂の存在感が小さなチャートになりました。
また、任天堂が、この時期、ニンテンドー3DSの販売に向けて集中して、WiiやDS向けの新作をほとんどリリースできていないこと、あるいは3月に東日本大震災の影響を大きく受けたことなどの要因もありますが、 任天堂自身が発売したタイトルも、トップ10にはひとつもありません。

 


これは、日本の据置型ハードの販売推移です。
前年の年明けは、『New スーパーマリオブラザーズ Wii』発売直後の熱が維持された状態で、年明け以降も順調にWiiハードが売れていました。昨年末には、「集まればWii」のプロモーションで勢いを取り戻していたWiiのハードでしたが、今年の年明け以降は、高いレベルで売れ続けるタイトルを生み出せなかったことや、任天堂がニンテンドー3DSの発売に集中する選択をしたことで、年明けからの自社の新作ソフトが1本のみになり、現在の販売状況は低調と言わざるを得ません。ソニーさんのPS3が、ほぼ前年並みの実績を残されているのと比較しても大変対照的な状況にあります。
当然、Wiiの勢いを取り戻すべく、力を入れねばなりませんので、後ほど、今後の展開についてお話ししたいと思います。

 


こちらは、日本の携帯型ハードの状況です。
カプコンさんの『モンスターハンター』が大ヒットしたことで、日本の携帯型ゲーム市場では、昨年末に引き続き、ソニーさんのPSPが好調です。販売数が週ごとに大きく上下しているのは、在庫状況によって販売が制約を受けているのではないかと思います。
ニンテンドー3DSの発売が目前に控える中で、ニンテンドーDSの販売は、前年に対して低い水準で推移しました。

 


ここに、ニンテンドー3DSの販売推移を加えるとこのようになります。
発売当初こそ、順調に販売できましたが、発売3週目以降の販売が大きく減速しており、私たちが事前に想定したとおりの立ち上げ推移とはなっておりません。
もちろん、東日本大震災の影響が大きいことは明らかですが、震災の影響だけで今の状況を説明すべきだとも考えておりません。それ以外にも乗り越えるべき課題があることも明らかになってまいりましたので、普及へのシナリオを修正し、これから夏に向けて普及への軌道に乗せるべく努力してまいります。

 


次に、アメリカの市場についてお話しします。


これは、 今年に入ってからこの3カ月のアメリカのソフト販売上位20位までのヒットチャートです。
任天堂プラットフォームのタイトルが8タイトル含まれていますが、その中で3月に発売された『ポケモンブラック・ホワイト』以外は、全て昨年、またはそれ以前に発売されたタイトルで、他社さんのプラットフォームのヒットソフトとは非常に対照的です。
今回の特筆すべき大きな特徴は、ダンス系タイトルの躍進です。この流れは、ちょうど1年前の決算説明会の時にもご紹介したUbisoftさんの『JUST DANCE』というソフトのヒットがきっかけでしたが、その続編の『JUST DANCE 2』が昨年末に爆発的にヒットし、その後『MICHAEL JACKSON: THE EXPERIENCE』や『ZUMBA FITNESS』といったタイトルがWiiで次々にヒットしました。Xbox360用のソフトでも、最も売れているのは、MTV GAMESさんの『DANCE CENTRAL』というタイトルとなっていて、今、アメリカには、一時の音楽ゲームブームの時を連想させるような、ダンスゲームブームが到来していると言えると思います。

 


これは、据置型ハードがアメリカ市場で毎月どのように売れているか、1週間あたりの数値にして比較したグラフです。以前からお話ししていることですが、アメリカでは、第三者集計機関のNPDは月に一度しかデータを出しませんし、4週間で1カ月と扱う月と、5週間で1カ月と扱う月があるので、1週間ごとの平均にすることで推移を見ているものです。
濃い色が2011年、薄い色が2010年です。昨年年末には市場をリードしていたWiiですが、年が明けてからは勢いを維持できておりません。これに対して、昨年末の勢いを引き継いで、マイクロソフトさんのXbox360のハード販売に勢いがあります。このような対照的な差が出ているひとつの要因としては、今ハードを購入されているお客様の行動特性の違いによって、Wiiのお客様には、より強い季節性が出るということが影響していると思っています。
全機種が2月に販売を伸ばしましたが、これは、1月が強い寒波等、天候的な影響があって消費が縮んだことの反動があったと言われているようです。3月には、全体的にダウンしていますが、その中でも、Wiiの落ち幅が若干大きくなっています。

 


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