社長が訊く
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社長が訊く『New スーパーマリオブラザーズ 2』

社長が訊く『New スーパーマリオブラザーズ 2』

目次

7. 王道の『マリオ』として

岩田

ところで、今回のタイトルは
すんなり決まったんですか?

天野

今回はコイン押し、ということで、
『ゴールド』というタイトルも検討したんです。

岩田

『New スーパーマリオブラザーズ ゴールド』ですか。

天野

はい。でも、今回はWii版やDS版よりも、
つくっているコース数は多いですし、
新しいネタもけっこう多いので、
じつは正統派『マリオ』として、
ちゃんと面白いはずなんです。

岩田

つまり、これまでの『マリオ』のように、
たっぷり楽しめる、という手ごたえがあるんですね。

天野

はい。隠しコースというか、
ちょっとしたネタのあるコースに関しても、
けっこうな量がありますし、
王道の『マリオ』としてみても、
ボリュームがかなりあります。

岩田

「コインラッシュ」モードを抜きにしても、
ボリュームがあるということなんですね。

天野

そうです、そうです。
十分あります。

石川

なので、『2』ということになりました。

天野

でも、最初につくりはじめたとき、
王道の『マリオ』をつくることができるのか、
とても不安だったんです。
というのも、『3Dランド』が先に出て、
それがすごいプレッシャーになっていたので・・・。

岩田

『3Dランド』は、
王道の『マリオ』の部分も
しっかりつくられていましたからね。

天野

だから「負けてはいられない!」
という気持ちになったんです。

石川

しかも、あとからWii U版が出るので、
前からも後ろからもはさまれてしまって・・・。

一同

(笑)

石川

本当に「どうしよう・・・」と思いましたから(笑)。

天野

そこで、
「王道の『マリオ』をしっかりつくろう」ということで、
はじめに『マリオ』のコースの要素を再構成して、
80コース、いやそれ以上のコースをつくり、
手塚さんの言われたコインの要素とかを
どんどん足していったら、
もう1回、コースが再構成されて、
「気持ちよく遊べるものになった」と思います。

岩田

複数のアイデアが組み合わさったことで、
1個1個のアイデアでは届かないところに到達できた、
という達成感があるんですね。

天野

はい。なので今回、
「いつもよりも高い場所に到達できた」
と感じています。

岩田

天野さんはそう言っていますが、
手塚さんにとっても計算どおりですか?

手塚

バッチリ!

一同

(笑)

岩田

では最後に、お客さんに
オススメの言葉をひとことずつお願いします。

石川

今回は「 しっぽマリオ」が出るんですけど、
3Dで表現するというところで、
フォルムからアニメーションから、
いろいろこだわってつくりましたので、
そこにも注目していただきたいと思います。

岩田

しっぽマリオに変身すると、
空を飛べるようになるんですね。

石川

はい。なので難所もクリアできますし、
初心者の方でも、安心して、
遊んでいただけるものになったと思います。

天野

僕は、「今作のテーマをコイン集めにして、
本当によかった」と思うのは、
いままで『マリオ』というのは面クリア型なので、
たとえば1-3とかでミスしても、
そこでやったことは何も残らなかったんです。

岩田

残るのはデータではなく、自分の指先にある、
見えない経験値でしたからね。

天野

でも、今度の『マリオ』はミスをしても、
コインが貯まるようになっているんです。

岩田

地道に努力したことは、
たとえミスをしても、
コインという目に見えるかたちで、
ちゃんと積み上がっていくんですね。

天野

そうなんです。それから今回は、
コースの追加ダウンロードの他に、
通常のパッケージ版と同じ、
フルパッケージのダウンロード版(※17)
購入できるようになります。
これだと、SDカードに保存して、
つねに3DS本体に入っている状態になります。

※17
ダウンロード版=本作『New スーパーマリオブラザーズ 2』は、2012年7月28日より、パッケージ版と同じ内容のものをダウンロードしてお楽しみいただけます。ダウンロード版の購入は、お店で「ダウンロードカード」やオンラインショップで「ダウンロード番号」を購入してニンテンドーeショップからソフトをダウンロードする方法と、ニンテンドーeショップで直接ソフトをダウンロード購入する方法があります。くわしくは、「ソフトのダウンロードについて」をご覧ください。

岩田

ソフトを入れ替える必要がなくなるわけですね。

天野

しかも携帯機ですし、いつも3DSを持ち歩いて、
好きなときに好きなだけ、長い間、
『マリオ』を遊んでいただければ、と思います。

岩田

では最後に、手塚さん。

手塚

はい。『マリオ』というゲームは、
幅広い人たちに遊んでいただいていて、
ゲームをそんなに遊ばない人から、
すごく上手な人まで楽しんでもらいたいということを、
「永遠のテーマ」にしているのですが、
たとえ、そんなにゲームが上手じゃなくても、
『3Dランド』に登場した、
「しろタヌキマリオ」と同じような役割の
「しろしっぽマリオ」を使えば、
自力でなんとかクリアできますし・・・。

岩田

5回ミスをすると、
「しろしっぽマリオ」になれるんですよね。

手塚

ええ。すると 無敵状態になって、
初心者の方でもどんどん先に進む
ことができます。
その一方で、コインを集めるということを軸に、
ヤリコミ度も深くつくったつもりなので、
ゲームが上手な人にも、
ずっと遊んでいただける『マリオ』になった、
という手ごたえもありますし、
「永遠のテーマにまた一歩近づけたかな」
という気がしています。だから、
「たくさんの人に、ぜひ楽しんでほしい」
と思っています。

岩田

わたしは、『3Dランド』のあとに
このソフトができたことで、ニンテンドー3DSが、
史上最もリッチなマリオ体験ができる携帯機になった、
という感じがしています。
 
かつての携帯機で『マリオ』が登場したときは、
その完成度がいくら高いものであっても、
新しい変革は、つねに据置機がリードしていて、
「やっぱり主役は据置機の『マリオ』だよね」
という印象を持たれていた方が
少なくなかったと思うんです。
 
でも、3DSの世代になって、
とくに「コインラッシュ」モードというのは、
実際にそれを自分で持って歩くようになったとき、
「携帯型で『マリオ』を持って歩くというのは、
 こういうことなのか」と、
たくさんの人たちに実感してもらえる遊びになった、
という手ごたえを、わたし自身も感じています。

手塚

そうですね。
ぜひ持ち歩いてほしいですね。

岩田

ですから、空いた時間に、好きな場所で、
「コインラッシュ」モードを遊んでいただいて、
「もう遊び尽くしたかな?」というときは
配信で新しいコースを受け取って、
「さらに楽しさを感じていただくようなことが
 続いていくといいなぁ」
と思っています。

手塚

そうですね。
長い間、楽しんでほしいですよね。
でも、今回は本当に、
ハードルが上がった感じがしているんです。
「この次、どうしようか」って。

岩田

Wii U版も、よりいいものに
しないといけないわけですしね。

手塚

そうです。

岩田

それも手塚さんの仕事ですよ。

手塚

はい。任せてください。

岩田

天野さんたちも、これから
追加コースをつくるという仕事も残っていますが、
ひとくぎりとして、みなさん大変お疲れさまでした。

一同

ありがとうございました。