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社長が訊く『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』

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社長が訊く『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』

オリジナルスタッフ 篇 その1

目次

8. 13年後

岩田

それでは最後に、『時のオカリナ』が
13年ぶりによみがえるということで、
みなさんからひとことずついただくことにします。
岩脇さんからいいですか?

岩脇

はい。じつは今回の
ニンテンドー3DS版『時のオカリナ』を
ちょっと触らせてもらったんですけど、
スケールの大きな『ゼルダ』の世界に、
スーッと引き込まれるような感じがしたんです。

岩田

手のひらのなかに広大な世界があったんですね。

岩脇

ええ、まさにそのとおりで、
「そこに世界がある」と思いました。
なので、みなさんにも『ゼルダ』の世界を
たっぷり遊んでほしいと思います。

青沼

僕は、さっきも言いましたけど、
『時のオカリナ』をつくっていたときは
毎日のように手ごたえが増していって、
そこにある世界がどんどん構築されていって、
それがすごく楽しかったんです。
で、そのような楽しい気持ちは、
たぶん遊んでくださった方々にも
感じていただけたんじゃないかと思っているんです。

岩田

つくり手の気持ちが
伝わったような気がしてならないんですね。

青沼

そうです。
そして今回の3DS版では、
13年前に僕らが思った気持ちが、
そこでさらに増幅されている感じがするんです。
なので、そういったことを
お客さんにもぜひ感じてほしいですし、
3DSで広い世界を冒険すれば、
また新しい発見も生まれるのではないかと思います。

岩田

N64版を遊んだ方でも、
たぶん遊び尽くしてないでしょうからね。

青沼

だと、思います。
いろいろ変なことをやっていますから(笑)、
みなさんにそれぞれ見つけていただきたいですね。

河越

今回はリメイクというかたちなんですけど、
リメイクとはいってもいろんな方向があって、
単に絵をキレイにして、豪華にしても、
それだけで、あのときの感動が
もう一度味わえるのかというと、
それは違うんじゃないか、とわたしは思っているんです。
ところが、今回のリメイクは、
3Dという新しい軸が伸びていて、
N64でつくられたときの輝きが
新しい視点で見られるのがすごくいいと思っています。

岩田

河越さんも3DS版は触ってみたんですか?

河越

はい、触ってみました。
それで驚いたのが、自分たちがつくった地形が、
「ああ、こんな形だったんだ」と。

岩田

それは、3DSになることで初めてわかったんですか?

河越

ええ。N64のときは、
なんとなく地形がわかるような、
実際の形を頭のなかで補完するように見ていたんですけど、
3DSだと、たとえばハイラル平原を見ただけでも、
こんな地形で、こんな距離感だったんだ、
ということが、すごくよくわかったんです。

青沼

そうそう、僕もそれは驚きました。

岩田

つくった人たちも驚いたんですね。

河越

それは13年後の発見でした。

岩田

なるほど。
はい、小泉さん。

小泉

じつは今回、僕は3DS版を触るのが
怖くてたまらないんです。
それはなぜかというと、13年前にやった自分の仕事に、
いま向き合うと、「あちゃー」と思うようなことが、
たぶんいっぱい見つかるような気がしているんですね。

河越

あ、それは僕も同じでした(笑)。

小泉

ただ、今回の3DS版は東京でつくっていますので、
「チェックしてよ」と言われるんです。
そこでイヤイヤというか(笑)、触ってみたのですが、
リンクがすごくイケメンになっているのがうれしくて。

岩田

はい(笑)。

小泉

リンクのデザインは
『時のオカリナ』のときに、大きく変えたんですけど、
もともと団子っ鼻だったんですよね。

岩田

ええ、鼻の形に特徴がありましたよね。

小泉

それで当時、うちの奥さんから
「任天堂のキャラクターはみんな鼻に特徴があるのね」
「男前のキャラクターはいないの?」とか言われて、
それがすごくショックだったんです。

岩田

(笑)

小泉

そこで、『時のオカリナ』をつくるときに
リンクのキャラクターデザインは
僕が担当していましたので、ちょっとイケメンにして・・・。

青沼

え? じゃあ、あのリンクは奥さん好みなの?

小泉

そうです(キッパリ)。

一同

(笑)

岩田

13年後に明かされる真実ですね(笑)。

小泉

もみあげをちょっと刈って、
鼻はすらっと高くして・・・。

岩田

鼻がしゅっとしましたよね。

小泉

はい。それでピアスとかをしたりして、
ちょっとおしゃれにしたんです。
でも、あんまりかっこよすぎると任天堂らしくないので、
下にはババシャツを着ているという(笑)。

青沼

え、あれ、ババシャツなの?(笑)

小泉

そうです。緑の服を着て、
かっこいいグローブとかをはめてますけど、
下に着てるのはババシャツで(笑)。
でも、3DS版のリンクを見たら、
「すごく垢抜けたなあ」とうれしくなったんです。
なので「さらにかっこよくなったリンクを見てください」
と言いたいです。

大澤

僕は今回、3DS版の『時のオカリナ』を
まだ一度も触っていないんです。
それは小泉さんのように「怖い」からではなく、
いちユーザーとして買って、
いちユーザーとして遊びたいと思ってるんです。
13年前に、自分たちがつくったものが、
今回どのように変わっているのか、
それを見るのがすごく楽しみですし、
そもそも13年前につくったものを、
別の人たちに光を照らしてもらって、
それを楽しむことができるのは幸せだと思います。

岩田

大澤さんはきっと
タイムカプセルを開けるような気持ちなんでしょうね。

大澤

そうですね。
『ゼルダ』にかかわったのは、
あとにも先にも『時のオカリナ』だけでしたし、
自分としても、やりきった感があったんです。
それでも、13年後のいま、改めて見なおしてみて
「やりきってないなあ、ここは」というところを
いくつ気づかしてくれるかな、
ということも含めて楽しみたいと思っていますので、
正直、発売日がすごく待ち遠しいです。

青沼

(しみじみと)・・・いいな。

一同

(笑)

青沼

僕は『時のオカリナ』以降、
シリーズの全部にかかわってるので、
そんな気持ちにはなれないですから。
もう、「ちぇっ!」という感じです(笑)。

大澤

でもね、それが青沼さんの役目だから。

小泉

青沼さん、一度、『マリオ』と交代しますか?

青沼

あ、いいですね、それ・・・。
あ、「いいですね」じゃないよ。

小泉

僕がつくりますよ。
そしたら楽しく遊べますよ?

青沼

イヤです(キッパリ)。

一同

(笑)

岩田

なんだか今日は
同窓会みたいなノリになってしまいましたが(笑)。

大澤

本当に同窓会ですよね(笑)。

岩田

今日はいろいろなお話が訊けて楽しかったです。
みなさん長時間、ありがとうございました。

一同

ありがとうございました。