社長が訊く
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社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

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第17回:『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D』

目次

6. そして『X』へ・・・

岩田

では最後に『ドラゴンクエストモンスターズ』を
過去に遊んだことがある方と、はじめての方と両方に、
犬塚さんからメッセージをお願いします。

犬塚

過去に遊んでくれた方には、
最近『モンスターズ』を遊んでいない方はとくに、
「モンスターズバトルや育成がここまで進化しているんだ」
ということを知ってもらいたいです。
また、ストーリーの「思い出補正」を最大限に、
スパイスつきでたっぷりふりかけていますので
そこをぜひ感じていただきたいです。

岩田

『ドラゴンクエストモンスターズ』を
遊んでない方でも、『ドラゴンクエスト』本編を
遊んだ方はたくさんいらっしゃるので、
その方たちからすれば、おなじみのモンスターが
思い出とともに、違うかたちでよみがえりますからね。

犬塚

はい。なので、いち3DRPGとしても、
『テリー』は非常にフレンドリーで、
より本編に近い、楽しいお話になっていますので、
全年齢対象のみなさんに楽しんでもらえると思います。
広い間口と深い奥行きになっていますので、
ぜひぜひ、遊んでいただきたいと思います。

堀井

あと、セーブデータ引き継ぎの話は
言わなきゃだめだよね。

犬塚

あ、そうですね!
エンディング後なんですが、
『ジョーカー2』、『ジョーカー2 プロフェッショナル』から、
セーブデータを引き継いで、
育てたモンスターを今作の『テリー』に送れます。
エンディング後に新しいモンスターを生み出すとき、
けっこう使えるんですよ。

岩田

エンディング後の遊びの深さが広がり、
より多重化していきますね。
堀井さんからはいかがですか?

堀井

『ジョーカー』シリーズは、
モンスターの強さに上限値がありました。
そのへん『ジョーカー2 プロフェッショナル』では、
「最強」などのシステムを入れましたが、
『テリー』のほうは、もともと全モンスターを
強くできるシステムだったんですね。
だからその部分の感覚は活かして、
今作の『テリー』でも全モンスターが
すごく強くなっていく可能性を秘めています。
モンスターのパーティのバリエーションが広がるし、
みなさんが、どういうモンスターの組み合わせを
育てていくのか楽しみですね。

犬塚

どんなメンバーが大会に出るか、楽しみですよね。

堀井

あとはボク、Wi-Fi通信やすれちがい通信で戦っていると、
パーティを通して、相手の人柄が見えてくるのが好きなんですよ。
「あ、こういうモンスターで挑んでくるか!」みたいなね。

岩田

確かに、自分で思いつかなかったことを考えて、
「こんなふうにするのか」と思うのは刺激的です。

犬塚

そういう意味では、
全モンスターが頂点に立てるように調整したつもりです。
思いがけない伏兵が現れたりするといいですよね。

堀井

『モンスターズ』はいつもそうなんです。
「うわー、モンスターのこういう部分を突いてくるんだ!」って
おどろきがある。

犬塚

お客さんが戦いかたを見つけてくるんです。

堀井

それがすごいんですよね。
「これが最強のパーティ」っていうのだったり、
でもそれもブームがあって、
「もうそのパーティは古いよ」みたいな話もあります(笑)。

岩田

すごくいい戦術があっても、
それに対して有効な別の方法が発見されて、
どんどん、はやりすたりがあるんですね。

堀井

はい、それを見るのが楽しいです。

岩田

初代の『テリー』の時代だと、
ある戦術が生まれても
なかなか全国レベルで伝播しませんでしたが、
いまはネットなどの技術が進歩したので、
その移り変わりのサイクルがよりダイナミックに
見えるようになったんでしょうね。
そういう意味では、脳内補正が現実化した
新しい『テリー』がお客さんにどう受け入れられるか、
楽しみですね。

犬塚

そうですね。

岩田

そしてこれが一段落すると、世の中に『X』も・・・。

堀井

そう、『X』がありますから。

岩田

『X』というのはまた、
『ドラクエ』にとってすごく大きなチャレンジですよね。
今日は『X』の話は主題ではないのですが、
堀井さんにとっては、「こんなことをやってみたい」と思ってから
『X』ができるまでの時間って、けっこう経っていますよね。

堀井

かなり経っていますねえ。
時代もいろいろと変わっちゃったんで、
出すまでどうなるか、本当にわからないです。
ただ『X』に関しても“さわればわかる”ところは
外していないとは思います。

岩田

逆に、オンラインゲームで“さわればわかる”を
ここまで徹底しているのは、多分はじめてなのではないでしょうか。
RPGが大衆化するキッカケが
『ドラゴンクエスト』であったように、
オンラインゲームの面白さを幅広い人にわかってもらえる、
すごく大きなキッカケになるのでは、
という気がしています。

堀井

多分「オンラインゲームって面倒くさそう」
っていう思いがあると思うんです。
でも「『ドラゴンクエスト』だったら
遊ばせてもらえるんじゃないか」という気持ちも
きっとお客さんにはあると思うんですよね。
そこは裏切らないようにしたいと思っています。

岩田

実際、ベータテスト版(※34)
遊んでいる方たちは楽しそうですね。

※34
ベータテスト版=開発途中のゲームのこと。『ドラクエX』では公式サイトなどでプレイヤーを募り、開発中の『ドラクエX』をテストプレイしてもらうことで、不具合や不都合などを発見して解消している。

堀井

ボクもときどき入っていますけど、楽しいですよ(笑)。

岩田

あまりにも普通に“ゆうぼん”(※35)がいるので、
「本当にこれは本物なのか?」と
言われているらしいですけど(笑)。

※35
ゆうぼん=堀井雄二氏がゲームのキャラクターによくつける自分のニックネーム。

犬塚

でも偽物もいるんですよ。

堀井

ボクは人見知りなんで、
見つかると逃げちゃいます(笑)。

一同

(爆笑)

犬塚

つまり、逃げたら本物ということですね(笑)。

岩田

いやあ・・・やっぱり『ドラクエ』の話は面白いです。
さあ、『X』の話をこのままつづけていると、
今度、訊けなくなってしまうので、
今回はこれぐらいにしようかな(笑)。

堀井

(笑)

岩田

今日はどうもありがとうございました。

一同

ありがとうございました。