社長が訊く
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社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

第22回:『エクストルーパーズ』

目次

3. 「動かしたらかっこいい」

岩田

『モンハン』と『バイオ』という
ふたつの看板タイトルにかかわってきたおふたりが、
『エクストルーパーズ』ではどのような関係で、
プロジェクトをはじめられたんですか?

小嶋

それで言うと、
『エクストルーパーズ』の
いちばん最初の立ち上げの段階では、
安保はディレクターではなかったんです。

岩田

えっ!? 今回も助っ人だったんですか?

安保

ははは(笑)。

小嶋

そういう意味では今回はわりと、
早い段階で入ってもらっています。

安保

もう、さっきからすごい
ぶっちゃけトークですよね(笑)。

一同

(笑)

小嶋

『エクストルーパーズ』は当初、
「アクション・シューティングを
 もっとカジュアルに楽しめるものに」
というコンセプトで、
いろいろ試していたタイトルだったんです。

岩田

そのとき安保さんは、
どういうかかわりだったんですか?

安保

一応、チームには入っていたんですが、
いわゆるプロジェクトマネージャーみたいなポジションで、
スケジュール面などをフォローする立場でした。

岩田

その立場だと、つくる部分に関しては、
観察者として、一歩引いたかたちですね。

安保

そうですね。
打ち合わせなどには参加していたので、
ときどき意見も言っていました。

小嶋

とはいえ、煮詰まった状況を打破するために、
チーム的に抜本的なテコ入れが必要だったんです。
そこで竹内と話しているうちに
「よく事情を知っているのがいるじゃないか」と、
安保が呼び出されて・・・。

岩田

「ご飯でもいきませんか?」ということですか(笑)。

安保

はい(笑)。

岩田

竹内さんがご飯に誘うというのは、
もはやカプコンさんの“様式美”なんですね。

一同

(笑)

小嶋

そこからもっと
「勢いのあるゲームに」ということで、
安保ディレクターといろいろな策を講じて、
「カジュアルに遊べる間口の広さ」を持ちつつ、
「飽きさせず、より集中できる没入感」を
どうやったら実現できるか、詰めていきました。

岩田

「カジュアルな人に遊んでほしい」という
狙いは最初からあったんですね。

安保

ありました。
ただ本当の最初の段階では、
シューティングの要素が色濃くて、
「狙う」という要素が入っていたんです。
それで、「そこがカジュアルな人がつまずく
 要因じゃないか」ということになったんです。

岩田

2本のスティックを駆使して
「動きながら狙う」ということは、
ゲームに慣れた人には楽しいものですけど、
初心者にはそれだけで相当難しいですからね。

安保

そこで自動で敵をロックする
“カジュアルロック”システムを入れてみたんです。
「狙う」という行動を簡略化することで、
「よけて、撃つ」というふうに行動をシンプルにして、
動きに気持ちを持っていけるようにしました。

岩田

間口を広くするという意味で、
あのマンガチックデモなども
大きな役目を果たしていると思うんですが、
最初からああいった表現だったんですか?

安保

いえ、もともとは、
もう少しリアルなビジュアルでした。

小嶋

マンガデモは、じつはどちらかというと、
工数の手間を省くために発案したものだったんです。
物語にかなりのボリュームがあって、
そのイベントシーンを普通につくっていくと
とんでもない時間がかかるので、
「何とかできないか」と考えていたんですね。

岩田

なるほど。

小嶋

そんなときある映画のプロローグで
マンガからスッと実写に導入されていく演出を見て、
そこからヒントを得たんです。
「かっこいいし、一枚絵で効率もいい」って
考えてはじめたんですが、
気がついたらスタッフがおもしろがって、
全コマ動かしはじめちゃったんです。

岩田

節約するつもりではじめたはずなのにですか?(笑)

小嶋

ちょくちょく見せてはもらっていたので
「あれ、このコマ止めないの?」って聞くと、
「動かしたら、かっこいいじゃないですか」って言われて(笑)。
「まずい、このままだと時間が倍かかる!」と思って
やめさせようとしたんですけど、
実際たしかに、すごくいい感じに仕上がってくるんです。

岩田

さきほど安保さんがおっしゃっていた、
「現場のノリは大切に」っていう視点で言うと、
それはもう「止められない」わけですよね。

安保

そうですね。
「こうするとおもしろい!」っていうのが出はじめると、
いろいろプラスの連鎖がはじまるんです。
実際、マンガデモが確立できたあたりから
ほかの面でもいろんなアイデアが出てきて、
そこからチームが急速に温まり、
一気に流れが変わった手応えがありました。

小嶋

プロデューサーとしては心配でしたけど、
同時に「これをやり通せば戦える」っていう
確信となった部分ではあったんですね。
それでもう「徹底的にやるしかないか・・・」と。
ドキドキしましたけどね・・・(笑)。

岩田

はい(笑)。

小嶋

あとは「気持ちいいアクション」は
徹底的にこだわりたかったので、
さきほどお話しいただいた『スマブラ』の、
「誰が遊んでも楽しい」感覚を大事にして。

岩田

そこは、口で言うのは簡単ですけど、
どうつくっていくかが、
けっこう難しいところなんですよね。

安保

そうですね。
自分たちがある意味、
ゲーム慣れしすぎているので、
ふだんゲームにあまりふれてない人に
テストプレイしてもらったりしました。
たとえば、あまりゲーム慣れしてない人は、
距離や間合いを詰めることをしないで、
わりと遠くから狙って撃っちゃうんですよ。

岩田

ああ、ゲームのうまい人とそうでない人は、
間合いの取りかたがちがいますよね。

安保

すると、画面のキャラは小さくて迫力が出ないから、
倒したときの気持ちよさも得られないんですね。
そこで、近づいて攻撃したときに
漫画的に「ドドドッ!」みたいな擬音を出して、
「近くから撃ったほうが効くし、気持ちいい」って
気づいてもらえるようにしたんです。

岩田

そうあってほしいことにご褒美をちりばめて、
自然に気づいてもらえるようにしたわけですね。

安保

そうです。
さらに、一瞬で間合いを詰められるように
「ジェット」という、
高速移動アクションを取り入れました。

小嶋

「ジェット」は使うだけでもかっこよくて、
気持ちいいんです。
ステップで敵弾をよけて、
「ジェット」で急接近して近接攻撃、
さらに銃撃を打ち込む・・・といった、
組み合わせで動きに立体感が生まれ、
格段にテンポ感が出るものになりました。

岩田

最初はある目的のためにつくったものが、
別の意味でも活きるものになったんですね。
その一連のテクニックを自分のものにするには、
どのくらいの時間が必要なんですか?

安保

わりとすんなり慣れると思います。
気持ちよく2、3ステージ使っているうちに、
いろんな使いかたを習得できるようになっています。

小嶋

チュートリアルも含めて、
たぶん1時間も遊んでもらえれば、
「ひととおりの操作感覚はつかんでいただける」と思うので、
そこから自分でいろいろ、
「組み合わせて遊んでいただければ」と思っています。