社長が訊く
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社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

社長が訊く『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇

第3回:『ウイニングイレブン 3DSoccer』

目次

5. すれちがい通信で勝っていく

岩田

では最後に『ウイイレ』ファンの方へと、
サッカーは好きだけど、サッカーゲームをやっていなかった
という方へのメッセージをお願いします。

榎本

まず、いままでの『ウイイレ』ファンのお客さんは、
これまでになかった新しい体験や臨場感が味わえると思います。
われわれも精いっぱいその部分を表現したつもりなので、
ぜひとも手にとって、見て、驚いてほしいです。

岩田

榎本さんが3DSをはじめてご覧になったときと同じ驚きを、
今度は榎本さんがつくったものでみなさんに驚いてもらいたい、
ということですね。

榎本

はい。傾向的に『ウイイレ』ファンの方は
サッカーがすごく好きで、実際にフットサルなども
やっている方たちが多いんです。
そういう方たちにも、ゲームで新しい体験をしていただけるよう
つくり込んだつもりです。
だから、まずはぜひ見ていただければと思います。
 
そして、新しいお客さんへのメッセージは、
従来までは、操作スキル的にサッカーゲームが難しいと
感じられる部分もあったと思いますが、
今回はすれちがい通信での対戦機能(※10)を入れました。
だからひとりで十分遊んでいただけますし、チームを強くして、
すれちがい対戦も楽しんでいただきたいと思います。

※10
すれちがい通信での対戦機能=ニンテンドー3DSを持った人同士がすれちがったときに起こる「すれちがい通信」を利用した通信対戦。『ウイニングイレブン 3DSoccer』の「マスターリーグ」モードで育てたチーム同士で、すれちがい通信時に自動的にデータ対戦を楽しめる。

岩田

対人戦が苦手な方は、ひとりでチームを強くして、
すれちがい通信でほかの方とかかわる選択肢もあるんですね。
ちなみに、いままでの据置型の『ウイイレ』ファンの方は、
ひとりプレイと、対人戦でのプレイとどちらが多いんですか?

榎本

やはり、ひとりプレイのほうが多いと思います。
たとえば、ほかのマルチプレイやオンラインゲームなら、
自分がプレイして満足感を味わうことがメインで、
勝敗がハッキリしないゲームもあります。
でもサッカーゲームの対人戦は勝敗がすべてで、
勝ち負けが100%ハッキリしてしまうんです。

岩田

ほかのゲームなら、自分がここにこだわって満足しているから、
別のところはほかの人に譲ってもいいということがあるかもしれませんが、
『ウイイレ』には評価軸が勝敗というひとつしかないんですね。

榎本

はい。対人戦が苦手な方はなかなか勝てないんです。
なので、コンピューター相手に自分のチームを強くしていき、
すれちがい通信対戦で勝っていく、という遊び方を
今回から用意しました。

岩田

サッカーそのものが好きな方には違う切り口で、
いままでのサッカーゲームを遊んでいない方には門戸を開いて
お待ちしています、というところですね。

榎本

究極のサッカーゲームをめざしながらも、
どうやってサッカーファンの方にゲームをやっていただくか、
チャレンジしつづけています。

岩田

『ウイイレ』を極めた人がもっと満足できるようにということと、
新しい人に入ってきてもらうということは、一見矛盾しています。
でも、それを両方やっていこうということですね。

榎本

そうです。そういう意味で、本当に多様性だと思います。
リアリティと多様性の両方を持っていないといけない、
と思っています。

岩田

ただ、本当にリアルにしたら、普通の人は遊べなくなりますよね。

榎本

いや、それはそうなんです。
たとえば、サッカーゲームで本当に90分以上
試合をすることがリアルかというと、それは無理です(笑)。

岩田

集中力がつづくわけがないですね(笑)。
だから、リアリティを感じられつつ、
どこかで「自分ってすごい!」と思える要素が必要なのが
ビデオゲームですから、
ゲームで試合をした印象密度が、
90分のサッカーに匹敵するように調整するところに、
じつは芸術の匠の技があるんですね。

榎本

そういうことです。
プロのサッカー選手でないと遊べない
ゲームをつくってもしかたがありませんから。

岩田

一方でプロのサッカー選手に
「これはサッカーじゃない」と言われたら負けなんですよね。

榎本

そうです。サッカーを職業にされている方が
『ウイイレ』を遊んでくださるのは、いまでも励みになっています。

岩田

今回、3DSでごいっしょすることで
新しくプレイされる方にも、シリーズのファンの方にも、
まったく新しい刺激を提案していければと思います。
だからぜひ体験してくださいということですね。
今日は本当にありがとうございました。

榎本

ありがとうございました。