4. 自分なりのDSに

岩田

さて、三田さんにうかがいます。
まずは自己紹介をお願いします。

三田

三田です。
私は今回のプロジェクトでは、
部門間を横断する形で集められた
「本体機能検討会」と呼ばれる、
ニンテンドーDSiの本体機能を話し合うチームの
サポート役として参加しました。
具体的には、ある部署から出てくる案件を
ほかの部署につないでいったり、
開発技術部側から出たアイデアを
しかるべき部署に持ち込んでいったりという、
部署間の潤滑油になるような仕事をしてきました。

岩田

三田さんは、
足を使って情報を展開させ、
先回りして動いては、
心配のタネを片っ端からつぶすという、
フットワークの人として働いた感じですかね。

三田

そうですね。
ひとつの部署だけでは
到底仕上げることのできないプロジェクトでしたから、
いろんな部署のいろんな人のところに行って、
情報を引き出しては持ち帰って共有する、
というくり返しでした。いままでは、
ひとりでプログラムをコツコツ書くような、
どちらかというと閉じた作業が多かったので、
かなり新鮮でしたね。

岩田

社内に知り合いが増えましたか?

三田

それはもうずいぶんと(笑)。
これまでは自分の部署から
あまり出たことがなかったんですが、
いまはもう、どこの部署にでも
だいたい気兼ねなく入れるようになりました。

桑原

ずっと社内を回ってるので、
話したいときに席にいなくて(笑)。

岩田

なるほど(笑)。
本体に内蔵する機能にかかわっていた
三田さんの目から見て、
ターニングポイントに感じたのは
どういった出来事でしたか?

三田

やはり、ショップ機能の追加ですね。
ニンテンドーDSi本体で
ソフトをダウンロード購入できるという機能。
これを入れることになったのが、
大きな転機だったように思います。

岩田

かなり、議論がありましたよね?
この機能を入れることで
はじめて「マイDS」というコンセプトが
実現できるようになったわけですからね。

三田

そうですね。
「あとから本体内蔵ソフトを追加できる」
ということの魅力と、
「それに耐えうるスペックにする」
ということの難しさがあって、
限られた時間の中で本当に実現できるのか、
なかなか答えが出なくて。
技術的な裏づけを集めたり、
経験者の意見を聞きに行ったり、
集めた情報を報告したり、
そういうことをずっとしてましたね。
結果的には、ハードに内蔵される
本体保存メモリが入ったおかげで
本体に内蔵されるソフトが豪華になり、
あとから追加されるソフトで
自分なりのDSにカスタマイズすることが
できるようになって、
とても魅力的になったと思います。

岩田

桑原さんは、このショップ機能について
どんなふうに感じてますか?

桑原

パッケージソフトとしては
売りづらかった規模のソフトが
たくさん出てくるんじゃないかと期待しています。
たとえばいちばん簡単なものだと電卓とか路線図とか、
これまでのパッケージソフトにはない
商品が生まれると思いますし、
新しい市場も広がるんじゃないかと。

岩田

お店で何千円か出して電卓や路線図だけのソフトを買って、
そのカードをDSにさす人がいるかというと
おそらく、いないでしょうからね。
でも、たとえば、「ゼルダ電卓」とか、
「どうぶつの森時計」とか、
いろんな大都市の路線図とか、
あるいは『テトリス』のシンプルモードだけとか、
そういったものをつくって
低価格でダウンロードできるようにしたら
きっと新たな需要は生まれるでしょうし。

桑原

その人の個性がDSに反映されて、
手放せないようになるといいですね。
朝、急いで家を出たあとで
「DS、忘れた!」って
取りに帰るようなものになればいいなと(笑)。

岩田

やっぱり、「マイDS」として、
持って歩くようなものになってほしいですね。
で、ほかの人は何を入れてるのかなって
気になったり、オススメしたりされたり。

三田

「マイDS」という点では、
写真を撮って保存できるのが大きいですね。
携帯電話よりも大きい画面で見られますから、
フォトスタンドのようにして
机の上に置いておくこともできますし。
だから、カバンの中に入れておくんじゃなくて、
つねに机の上にあるような
デバイスになってほしいと思います。

桑原

自分の写真が保存できるとなると、
やっぱり「お兄ちゃんのDS」じゃなくて
自分専用のDSが欲しくなりますよね。
うちの子どもとか、絶対そうなるんじゃないかと思う(笑)。

岩田

データによると、日本の、
DSが存在する家庭においては、
平均2.8人のDSユーザーがいらっしゃるんです。
一方、その家庭が所持している
DSの台数は平均1.8台。
ニンテンドーDSiの登場によって
平均台数が平均ユーザー数に
近づいていくといいなと思うんですけど。
江原さんは、ニンテンドーDSiの
「マイDS」というコンセプトについては
どんなふうにとらえていましたか?

江原

やっぱり、DSの中に
たくさん自分らしいものが詰まっていて、
人によって中身がぜんぜん違う、
そういうものが魅力的だろうなと思います。
今回の筐体のデザインが
あまり強い個性を主張していないのは、
ある程度、お客さんにゆだねているというか、
「マイDS」として扱ってもらうことを
想定しているというのもあるんです。

岩田

なるほど。
じゃあ、最後に、ひと言ずつお願いします。

桑原

はい。今日、ここにいない人を含めて、
関わった人、ひとりが欠けても
できなかったと思います。
地味な仕事も含めて、
みんながフルスロットルで
がんばってつくったハードです。
いいものをつくったつもりですので、
ぜひ、買って遊んでください。

三田

本体保存メモリやカメラを使い倒して、
自分の好きなように、
好みにカスタマイズして遊んでください。

江原

DSファミリーとして、現時点では
なかなかよいものができたと思ってるので、
ぜひ使っていただいて、長く愛着をもって
つき合っていただけたらなと思います。

岩田

はい、ありがとうございました。
なにか、言い忘れたことはないですか?

三田

あの、最後につけ足すような
ことじゃないかもしれませんけど、
今回のニンテンドーDSiには、
本体にリセット機能がついたんですよ。
ボタンとしても、電源ボタンと兼用の
リセットボタンがあるんですけど、
ボタンを押してリセットするだけではなく、
ニンテンドーDSi用のソフトでは、
ソフトからメニューに戻ったり、
別のソフトに飛んだり、
そういうふうな動きを、
いちいち電源を落とさなくても
行き来できるような形にしていて、
なんというか、ひとつのゲーム機として、
すごく一体感がつくれたような気がしてるんです。
細かいところですが、そのあたりのことも
体感してもらえるといいなと思います。

岩田

私は、そういう地味なところでいうと、

今までは、ソフトを差し替えるときには
一度電源を切る必要があったんですが、
ニンテンドーDSiでは、
電源ボタンをチョンと押してメニューに戻れば
電源を切らずにソフトの入れ替えができるんです。
ほかに、つけ足すことはありませんか?

江原

今回、本体の機能と内蔵されるソフトが
増えていることもあって、
取扱説明書も充実してるんです。
もちろん、そういうものがなくても
遊べるのがベストなんですけど、
担当者が熱心に取り組んで
すごくいいものをつくったので、
ニンテンドーDSiを十二分にたのしむうえでも、
きちんと読んでもらいたいです。

岩田

なるほど。
桑原さんは、なにかありませんか?
これは言っておきたい、ということがあれば。

桑原

あ、三田くんが結婚するんです。

一同

(笑)

岩田

それは、おめでとうございます。

桑原

今週の土曜日なんです。

江原

ぼくが海外の工場に出張に行って、
製造中のニンテンドーDSiを
チェックしている間に
気がつくとみんな結婚してるんですよね・・・・・・。

一同

(笑)

桑原

でも、結婚式までに
ニンテンドーDSiが仕上がって、
ほんとによかったです。
結婚式にかぶったらどうしようかと・・・・・・。

一同

おめでとうございます!

岩田

こういう終わり方でいいのか・・・・・・
まぁ、いいかな(笑)。
ありがとうございました。

一同

ありがとうございましたー。