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2008年10月31日(金)経営方針説明会/第2四半期(中間)決算説明会
質疑応答
Q 6  DS、Wiiのユーザー分析について教えてほしい。一般的に御社の商品はライトユーザーが多いと言われている。定義自体が非常に難しいと思うが、ライト、ミドル、ヘビーユーザーという区分や、地域別に、現状、どれくらいの割合かというのが一つと、数年後の理想的な構成比をどういうふうに思っているかについて、教えてほしい。
A 6

岩田:

 いまの質問にお答えするのは非常に難しくて、カジュアルゲーマーとコアゲーマーとか、ライトユーザーとヘビーユーザーというのは、定義がほとんど明確でないんですね。また個々それぞれ非常にばらばらなイメージで思っておられるんです。

 ちなみに一つの考え方として、ゲームの情報を自ら能動的に集めるような人をヘビーユーザーと定義することにしましょうか。たとえば、自らゲーム雑誌を買われたり、あるいは任天堂やその他ゲームソフトメーカーさんが開かれているウェブページを能動的にアクセスしたり、それはゲームに対する興味関心が人より強くないと能動的には動かれないわけです。それに対して、世の中の大多数の人は、受動的です。すなわちテレビの広告は見るけど、わざわざ雑誌を買ったり、わざわざホームページを見たりはしない人が多いわけです。これを一つの定義としてお話ししようと思います。

 その意味でいきますと、実は日本は他の国以上に、ゲームを遊ぶ人の中で能動的に情報を集める人が少ないようです。もちろん男女によっても違いがあります。どちらかというと男性のほうが、能動的に情報を集める人が多く、女性は大半の方がゲームに関する情報は受動的にしか受け取らないようです。

 もう一つは、「あなたは上級者なのか、初心者なのかどちらですか」の問いに、自己申告で答えたらどうなるかということも調べてみたことがあります。これも上級者と答える人というのは実はそんなに多くありません。だいたいですが、海外、アメリカやヨーロッパでゲームを遊ばれる方の4分の1ぐらい、日本だと8分の1ぐらいです。そのデータがあまりに日本とアメリカで上級者(と答えた人)の割合が違うので、私は、「日本人は奥ゆかしいのかな」とか思ったりするんですけれども、それが国民的気質なのかそうでないのかは正確にはわかりません。

 で、もう一つ、任天堂の機械をお持ちのお客様と他社さんの機械をお持ちのお客様の差ということで言いますと、任天堂の機械をお持ちのお客様のほうが、上級者比率が少し低くて、そして情報を能動的に集める人の割合が少し下がります。また他社さんとの差が日本よりアメリカのほうが小さいですね。逆にいうと日本のほうがはっきりと性格に違いが出ているというのが、だいたいの傾向だと思います。

 ただ、一方で、カジュアルゲーマーとか、コアゲーマーという言葉が、非常に一人歩きしているんですけど、じゃあ私たちは、「これはカジュアルゲーマー向けのソフト」で、「これはコアゲーマー向けのソフト」というふうに、単純に区別してつくっているかというと、必ずしもそうではありません。どうも世の中には分類好きな人がおられて、「これはカジュアルゲーマー向け」、「これはコアゲーマー向け」と、まるでこちらのゲームは反対側のタイプの人が遊んだらまったく楽しめないかのように分類されてしまうんですけれども、全部のゲームがそうかというと、必ずしもそうではなくて、おそらく「初心者でないと楽しくないソフト」、それから「上級者でないと楽しくないソフト」、「どっちの人も楽しいソフト」、「どっちの人も楽しくないソフト」ときっとあるわけで、われわれはなるべくお客様の幅を狭めずに世の中にいろんなものを提案しようと思っています。

 ですから、「脳トレ」をつくったときも「Wii Fit」をつくったときも、コアゲーマーとかヘビーゲーマーといわれる人の中で、「あんなのはゲームじゃない」というような反応をされた方がいらっしゃった一方で、「いや、「脳トレ」で計算20をやっていると、レースゲームでタイムアタックしているときとそっくりの快感があって、すごいおもしろい」と言っていただいたすごくゲーム好きの方もいらっしゃいました。ですから、私は、単純に「カジュアル」と「コア」という分け方をすることは危険だと思っていまして、そういうステレオタイプなものの見方でつくると、ものが同じ軸での競争に陥りやすくなるんです。さっきの話とつながるんですけど。ですから、私たちはなるべく幅広く見よう、幅広く見ようとしています。ある程度曖昧な定義なりに、お答えしましたけれども、また傾向としてそういうことは言えるんですけれども、単純に(「コア」と「カジュアル」の)二律背反の二つがあって、どちらかに分類されるというふうに考えないほうがいいというのが、私の基本的な見解です。

Q 7  12月からNHKオンデマンドが始まったり、Wiiをプラットフォームにして富士ソフトさんが「みんなのシアターWii」を始められるが、そういった放送系のサービス、VODの端末としてのWiiの将来性というのをどのように考えているのか。
A 7

岩田:

 まずWiiという箱が、非常に高い確率でリビングルームに置いていただいていて、(購入された方の)8割以上の家庭でリビングルームのテレビに接続していただけています。これはゲームキューブやNINTENDO64のときよりもはるかに高いんですね。以前は子ども部屋にあったり、寝室にあったりした分も、リビングルームに置いておこうということだと思います。

 それは、以前もご説明したことがあるんですが、家庭内ユーザー数が多い機械ですから、家の中で、自分に関係あると思っている人が多い機械です。リビングルームには、いま大画面の薄型テレビがどんどん普及していく過程にありますが、そこにつなぐとWiiは楽しいというふうに言っていただけているので、まずそこがWiiの一つの強みです。

 それからインターネットの接続。これは、インターネットの接続は、われわれがいろいろなことにトライしているんですが、なかなか劇的にインターネットの接続率というのは上がりません。NTTさんと協業もさせていただいて、インターネット接続率は少しずつ上がっていくんですが、それでも最初にゲーム機を買っていただけるお客さんよりも、あとからゆっくり買っていただくお客さんのほうが、そういうことには興味が薄い方のほうが多いので、たぶん何もしなかったら(インターネット接続率が)ずるずる下がっていくはずなのを食い止めて、微増にできているというのが現実かなというふうに思っています。

 あともう一つは、Wiiのリモコンというものは、おそらくいままでのゲーム機の中で最も家族全員が抵抗なく手に取りやすいかたちをしたコントローラです。そして画面の中から何かを選んでポイントするということに関しては、これ以上ない直感的な操作ができるという点で、先ほどおっしゃっていたような放送系のサービスについても、もちろんポテンシャルがあると思います。ただ私たちは、これをやるとすれば、やるときなりに、もっともっとその前にいろいろなことの準備が進まないと、そこまでは世の中に大きなインパクトが与えられないだろうというふうに思っています。

 一方で、富士ソフトさんが始められるサービスは、私たちが「Wiiウェア」という仕組みで、Wiiの本体保存メモリにダウンロード販売する比較的小規模なソフトのライセンスモデルの門戸を開いたときに、(富士ソフトさんが)手を挙げられたものですから、これは私たちが「こういう条件で、ここでソフトをつくっていただいていいですよ」という状況の中で生まれてきたものですので、そういうものの一つというふうに私たちは見ております。もちろんこういうかたちのものが、どういうふうに受け入れられていき、どんなふうになるのかは、私たちも大変楽しみにしているんですけれども。

Q 8  そうすると任天堂としては、まだ放送系サービスに乗り出すには時期尚早だと見ているということか。
A 8

岩田:

 放送系サービスに乗り出すというのは、そもそもそれは任天堂の仕事なのかということもありますし、それをやるうえで必要なことが整うことが先決ですし、われわれがWiiというプラットフォームでやるべきことの優先度を考えたとき、今日現在はそこは最優先ではないということです。

Q 9  ニンテンドーDSiの米国と欧州での発売は2009年ということだが、社長の中で投入したい目処、時期を教えていただきたい。あとDSiは、いまのところ白黒2色というちょっと保守的な色だが、今後カラーバリエーションを拡大するつもりはあるのかということと、当初の月産台数、出荷台数、販売目標を、伺いたい。
A 9

岩田:

 海外の発売の予定は、それぞれの現地の会社で私は発表しようと思っていますので、今日、日付を申しあげることはできません。ただ、来年の秋や暮れに出すのでは私は遅すぎると思いますので、まあ来年の春から夏にかけてじゃないのかなというイメージを持っています。そのどこになるかは、現地が発表します。


波多野:

 明日発売をいたしますDSiの国内のこれからの展開についてですが、明日の発売日に用意した台数は20万台です。あと売れ行きにもよりますけれども、4日の週に10万台を一応予定しております。できるだけ市場で品切れをしないように、また品切れするぐらいの好調であってほしいというふうには一方では思っておりますが、この数量を当初は考えております。将来的にということについては、これはまだまだちょうどスタートしたばかりなので、海外の予定数も含めて生産体制は考えていくということになりますが、今日ここで私がいくつと言うことではありません。

 それからカラーバリエーションですが、ご指摘のとおり2色、しかも白と黒という2色が落ち着いた感じではあるんですが、まず2色でスタートして、順次カラーバリエーションは進めていく計画で、いまそれぞれ開発とデザインのことについても協議を進めております。

 ただ、いつ出すかというのは、市場の動向や、タイミングを見て出すということもありますし、生産能力との兼ね合いも併せて考えると、すぐに追加で新色を出すことはできません。今日いつということは言えませんが、将来までずっと2色でいくということではなく、将来的な展開としては、カラーバリエーションは当然考えております。

Q 10  DSiの、月産台数はどれぐらいか、50万ぐらいになるのか。
A 10

岩田:

 月産台数についてお話し申しあげるのはまだ早いと考えています。また、これは昨日、大阪北浜で決算発表を行ったんですけれども、その席で、「DSのハードの年間販売予想3050万から変えていないが、これはDSiが出た分、Liteが減るということなのか」というような質問をいただいたのですが、「現状ではDSiが出ることで、販売数がどうなるかということを申しあげるのがまだ早すぎます。なにせまだお客様に1台も手に取っていただいてないわけですから。」ということを申し上げました。

 私たちは当然、DSiが出ることでマーケットが大きくなってほしいですし、今年大きくならないとしても、来年以降、DSiを出したことでよりマーケットが大きくなるようにしたいんですけれども、今日現在で「これは月何台つくって、年度内にDSiを何台出荷します」ということを申しあげるには、まだわれわれも材料が足りませんので、これについてはもう少し時間をいただいて、まあそうですね、年が明けてからぐらいのお話になるんじゃないかなというようなことを昨日も申しあげました。


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