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2009年1月30日(金)第3四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文
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さらに違う角度から考えますと、私たちのビジネスは、人口に対して同じ割合まで普及を進めることがもし実現できれば、最後は人口比率でビジネス規模が決まるはずです。日本の人口は1億2,700万人、アメリカは3億800万人、ヨーロッパは任天堂が直営の子会社や支店を持つ国々、つまり直接ビジネスをしている国々だけでも3億3,500万人、EU全体では4億9,300万人を超えています。
日本で、既に2,500万台を超えるDSが普及し、ニンテンドーDSiにより今後さらに普及を目指していくわけですから、究極のポテンシャルとして人口比で考えれば、


アメリカには日本の2.5倍の市場が実現できるポテンシャルがあり、ヨーロッパにはさらに大きな市場の潜在的なポテンシャルがあるということがいえます。もちろん、この数字はポテンシャルであって実需要ではありません。現時点でのヨーロッパのゲーム市場のポテンシャルは、まだアメリカの市場ほどの大きさはありません。それは、ヨーロッパでビデオゲームを親しまれている人々の割合がアメリカや日本よりもまだ小さいことがわかっているからです。しかし、この2年でヨーロッパの市場が急拡大し、携帯型ゲーム機市場がアメリカ以上の規模に成長してきたことで、このことは変わりつつあると認識しています。そして、EUの国々全体のポテンシャルを考えると、さらに拡大のチャンスがあるわけです。ここにDSiのポテンシャルが加わり、中期的には新興国の市場拡大も加わっていきます。DS市場がプラットフォーム末期で、来期以降市場が飽和してしまうと決めつけることは、決して妥当ではないように私は感じています。


この間の経済環境の激変、特に輸出比率の高い当社においては、為替レートが円高方向に大きく振れたことで、当社の経営環境にも大きなインパクトがありました。大変幸運なことに、任天堂は世界中の多くのお客様のご支持をいただくことができ、DSやWiiのビジネスの足下は堅調です。このような経済環境においてもしっかり利益を生み出す構造が維持できています。
しかし、私たちのビジネスは、そもそも景気変動の影響よりも、お客様に驚きを感じていただき、「どうしても遊びたい」と興味を持っていただけるような新しい製品やサービスを、お客様に飽きられるよりも速いスピードで次々と提案できるかどうかが成否を決めるビジネスです。「娯楽のビジネスには天国と地獄しかない。中間はないんだ」、「お客様に飽きられてしまえば、一瞬で地に墜ちるんだ」という前社長・山内の言葉をしっかりと胸に刻み、より一層多彩で驚きある提案を、次々と速いスピードで出し続けることを目指すことで、この厳しい環境を乗り越えたいと考えています。


ご清聴、ありがとうございました。


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