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2009年1月30日(金)第3四半期決算説明会
質疑応答
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Q 11 そうするとWiiの最終需要は下がっているのか。
A 11

岩田:

 国内で私たちが今年3月末までにこれだけ売れるであろうと、昨年10月末時点で想定していた数字よりは、(国内の)需要は下がりました。海外は私たちが想定したとおりに推移をいたしました。10月末の時点では、私たちは海外市場の見通しについては相当に強気の予想をしていまして、そのとおりに推移しているというのが現状です。

Q 12  アメリカのDSの販売について12月のNPDさんのデータでは300万台を超えていて、去年も250万台を超えていたのですが、12月になるとドーンと上がるという傾向は、どういう背景があるのか教えてほしい。
A 12

岩田:

 私もアメリカ人ではないので、正確にはわからないのですが、私の理解している範囲でお話します。もし今日ここにReggie Fils-Aime(米国任天堂社長)がいたらきっともっと上手に説明すると思います。

 アメリカというのは、やはりクリスマスの時期に、本当にプレゼントを皆さん買われます。それで、そのプレゼントで何を買ったらいいかというショッピングガイド的な新聞折込みの、あれはチラシというのには抵抗があるもので、新聞折込みのカタログ本みたいなものが年末になるとどんどん家に入ってくるわけです。そこにいいかたちで書かれたものは、本当にびっくりするぐらい売れます。

 その(新聞折込みチラシに掲載される写真付き広告の)ことを現地の人はロトと呼んでいるのですけど、ロトというかたちで新聞折込みのチラシに広告が出るのと出ないのとでは、売れる量がまるで違うんですね。だからアメリカのお客様というのは、ロトを見て何を買うか決めてお店に買い物に行って買いますし、そしてまたそういうふうにロトで扱ったものは、お店は大プッシュするので、店頭でものすごくビジビリティ(視認性)がよくなって、目立つ場所に大きく展示されて、集中的にものを売られるんです。それがアメリカの小売業のビジネスモデルと理解しています。これは年に10回とかアメリカに何年も行って、自分が聞きかじったり、自分がお客さんとしてお店に行って感じているので、こういうことじゃないかなと理解しています。

 12月は、そのことでゲーム機が扱われる割合が多くなるんです。そしてお店ごとに、たとえば本体とソフトをセットにして、ちょっとお買い得感を出して、「買うのはいまだ」というかたちのアピールを、それぞれにされるわけですね。すると、「そろそろいいかな」と思っていた、うっすら欲しいと思っているけど、ふだん積極的にお店に行くでもなかった人たちが「買うのはいまだ。この年のプレゼントはこれにしよう」となることを考えられて、集中的に動かれるんだと思います。

 ですから、日本ではゲーム人口拡大とともにゲームビジネスの季節性というのが薄らぐ方向に動いているのですが、アメリカではゲーム人口拡大が確かに浸透しているという手応えもあるのですが、やっぱり季節性は非常に強いと思っています。一方で、いままで任天堂のビジネスとしてあまり大きくなかった月にも底上げはなされましたから、間違いなく市場拡大の力は働いているというように感じます。

Q 13  以前話しのあったネットワークに接続すれば500ポイントをもらえるというキャンペーンの実施は、いつの予定か。
A 13

岩田:

 この春に、まだ期日は正確に申しあげられませんが、ちょうど同じくカンファレンスでお話しました(SDカードを活用した)Wiiの本体保存メモリ不足の対処についてのシステムのアップデートを検討しております。そのシステムのアップデートを始めるのと同時期に始められるように準備をしておりますので、申し訳ありませんが、いましばらくお待ちください。

Q 14  総仕入高に占めるドル建ての比率を徐々に上げていくという方針について、いまの段階で27億ドルが外貨建ての仕入れになっているが、総仕入高のうちのドル建ての比率というのはどれくらいまで上げられるものか。
 たとえば主要部品ごとに、液晶のパネルはドル建てベースであるとか、Wiiのチップ関係がドル建てベースであるとか、いろいろあると思うが、ドル建てにしにくいものはあるのか。ドル建て仕入れの割合を上げることでナチュラルヘッジが効くという構造に次第になっていくと思うので、解説してほしい。
 もう一つ、先ほど宣伝に関するアメリカのロトの話があったが、確かアメリカの子会社の人員数は、世界でも確か一番大きい会社で、『NINTENDO POWER』という雑誌を自前でつくるための部隊などが800人だか何百人ぐらいいると伺ったことがあったが、それがシアトルのオフィスからの移転計画のあとどうなったかをアップデートしてほしい。
A 14

岩田:

 まず総仕入高に対するドル建ての比率というのは、確かに上がっておりますが、一方で私どものサプライヤーさんの中には、やはり日本の会社も多いですから、日本の会社さんはやはり円建てで納めさせてくださいというところの方が多いですが、明らかに海外の会社でドル建ての方が都合がいいんだとおっしゃる方には、積極的にわれわれもドル建て仕入れということをしていますし、また国内の会社さんであっても、お願いをしてドル建てで取引をしていただいているところもあります。

 ですが、個別に何はドル建てで買っていて、何は円で買ってというのを申しあげることが必要だとは思っておりませんし、またそういうことを個別に細かく開示する予定もありません。

 ちなみにこのドル建ての仕入れをしなければいけないということを考え始めた時期と比べますと、実は任天堂はユーロ建ての売上げが当時に比べてものすごく拡大しています。当時は圧倒的にドル建ての売上げが多かったですから、ドルの売上げをドル建て仕入れでうまく消せれば、とてもよい為替のヘッジになるということで、積極的にこれを進めてきまして、かなり前進したと思っています。これは今回もドル建ての売上げとドル建ての仕入れのことが今日お配りした資料の中に出ておりますのでご覧いただくとわかるとおり、ある一定レベルのヘッジができていると思います。

 しかしながらユーロ建ての仕入れというのは、(現時点では)ほとんどございません。またそれを実現するのは、そんなに簡単なことではありません。おそらくドル建ての仕入れをさらに増やしていくよりも難易度が高いと思います。ユーロを母国(の通貨)とする会社と任天堂がいいビジネスができて、結果、ユーロ建て仕入れがうまく回れば、これはこれで一つのヘッジになると思いますし、長いサイクルでいえば、日本に対してアメリカやヨーロッパのゲームマーケットがこれだけ大きくなっていて、その中で任天堂はビジネスをしているわけですから、ドルでやれたようにユーロに対して為替のヘッジをするいい方法がないかということを、もう少しわれわれは考えていかなければいけないというふうに思っています。

 2つ目の『NINTENDO POWER』の話ですが、まず長年、Nintendo of Americaは、シアトルのそばにあるレッドモンドというところ、これはマイクロソフトさんの本社がある町でもあるんですが、そこに本社を置いて、ほとんどすべての機能をそこに持っておりました。

 一方で、私たちはアメリカでビジネスを展開するうえで、本当にすべての拠点をシアトル、レッドモンドだけに置いていてよいのだろうかという議論を社内でいたしました。その中で、一つはアメリカのテクノロジー・イノベーションが最も速いスピードで起こるシリコンバレーに拠点があることのメリット、これを考えましてシリコンバレーの中のレッドウッドシティというところになるのですが、そこにセールス関連のブランチをつくりました。それからもう一つ、やはりメディアの中心、広報であったり、あるいはメディア政策であったりという部分では、やはりシアトルに対してニューヨークという土地に一定のメリットが大きいということで、また別の部門をニューヨークに移しました。

 『NINTENDO POWER』のことは、任天堂がゼロからアメリカでマーケットを立ち上げて、Nintendo Entertainment System(日本でいうファミコン)や、Super Nintendo(日本でいうスーパーファミコン)を売っていく過程において、非常に大きな役割を果たし、よかったと思っています。

 一方で、あのころは、毎月1回雑誌が自宅に届いて、お客さんとメーカーがつながるというのが最も合理的な方法だったのですが、いまは紙媒体よりもウェブによるお客様とのコンタクトの方がはるかに頻度が高く、またコストの点でも有利で、何よりも情報スピードが全然違います。また世の中も多くが情報系のものについては紙媒体からウェブへの移行というのが進んでいますが、任天堂も紙媒体としての『NINTENDO POWER』というものを中心にする体制から、やはりウェブコンテンツでお客様とつながっていくということを軸に置いていこうという考えがありまして、ニューヨークに行ったチームの中には、任天堂のウェブコンテンツをつくるチームが移り、また新たに増員等をして動いております。

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