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2011年6月29日(水) 第71期 定時株主総会
質疑応答
Q 7  3DSをWiiのコントローラとして使うようにはできないか。また、Wii Uのタッチパネルは1台だけになってしまうと記事では読み取れるが、Wii Uについても、もし3DSをコントローラとして使うことができれば、複数の人が同時に使ってもタッチパネルを同じように使うことができるのではないかと思うが、どうか。
A 7

岩田:

 まず、技術的に可能か不可能かということでお答えしますと、技術的には可能だと思います。ただし、実は少し制約がありまして、ニンテンドー3DSとWiiまたはWii Uが通信をすると、その間WiiまたはWii Uはインターネットと通信をすることができなくなってしまいますので、インターネットにつなぎながら、かつ3DSとWiiをつなぐ、3DSとWii Uをつなぐということは、何か特別なハードを新しく追加しなければできないというのが、まず技術的な制約です。

 それから、二つ目のポイントとしては、もちろんそういう作り方をすることが最も自然だと判断したら、私たちは躊躇なくそれをすると思うんですが、一方で、任天堂が出す「Wii U用ソフト・Wii 用ソフトが、3DSがないと楽しめませんよ」というものになると、「われわれに両方買ってくださいというのか」と感じてしまわれるお客様も出る可能性がありますので、「両方買ってもらいたいから無理やり3DSをコントローラにした」と見られることのないように、両方をつなぐことが最も自然にできる場合に限って採用していかないとうまくいかないのではないかと思います。複数のゲーム機をつなぐことは、ゲームキューブの時代に、ゲームキューブとゲームボーイアドバンスを連動させるという、当時「コネクティビティー」と呼んでいましたが、そういう遊びを任天堂は10年ほど前から何度か提案をして、一定の手ごたえのある面白い遊びはできたのですが、やはり敷居が高いものはなかなかお客様の中で広がっていかないと感じました。当時はケーブルが別売で必要だったりと、別の問題もありましたので、今のように無線で通信できるようになると可能性の一つとしてもちろん考えるのですが、お客様から「両方買わせるつもりか」というようなご意見をいただくことのないように展開したいと思います。

Q 8  3DSの現状への対策について、まず「すれちがい通信」に関して、ほとんどやり尽くした方にも持ち歩く価値を見出せるような、何か新しい案を具体的に聞かせてほしい。また、任天堂製のゲームの立体視と、サードパーティー製のゲームの立体視の間に大きな品質の違いというのを感じている。サードパーティーに対する任天堂からのサポートとして何か考えてるか伺いたい。
A 8

岩田:

 まず、3DSをお持ちでない方もおられると思うので、少しだけ説明させていただきますと、ニンテンドー3DSというのは、ふたを閉じて持っている間も、いつでもほかの3DSと通信できる機会を探していて、時々通信をするようになっていて、これを「すれちがい通信」といいます。3DSの中には「すれちがいMii広場」という遊びが最初から搭載されており、そこに自分のMii、Miiというのは似顔絵のキャラクターのことでWiiにも出てくるのですが、そのキャラクターを登録しておくと、別の3DSに行き来をします。別の3DSからキャラクターがやって来ると、それを使って二つの遊びが楽しめるようになっていて、一つは違う人と会えれば会えるほどうれしいというタイプの、どんどんピースを集めていって絵を作るという遊びで、もう一つは、同じ人と続けて会うと、その人はだんだんレベルが上がっていくので頼もしい味方になるというRPG風の「すれちがい伝説」という遊びです。今、株主様がおっしゃっていたのは、この二つで用意した遊びを、そろそろ遊び尽くしたのでやることがないという話です。実は、任天堂の社内というのは大変特殊な環境でして、3DSを持った人が社内にいっぱいいるため、実はものすごい勢いで「すれちがい伝説」は終わってしまいまして、結果、「次が何かほしいよね」という話はたくさん出ています。宮本も「すれちがい伝説2の企画は誰か出さないの」ということを何カ月も前から言っていますし、いくつかの部署で、そういう可能性の検討をしています。なので、どういうものがいつ配信できる、どのような形でお届けできるということは申し上げられませんけれども、いま一時的に「何か持ち歩く意味が最近あんまりないよな」とお感じの方にも、「いや、また持ち歩いてやろう」と言っていただけるように改善したいというふうに考えていますので、それはご要望にお答えできる方向でわれわれは動けるんじゃないかと思っています。

 また、任天堂製のゲームと他社さんのゲームとの立体視の質の違いについてですが、他社さんのゲームでも「この3Dすごくいいなあ」と思える例もありますので、任天堂と任天堂以外で線を引くのは、私はもともと(外の会社で)開発をしていた人間として抵抗がありますが、質の高いものと低いものが存在するということは事実だと思います。それを前提にお答えしますと、やはり当然のことながら皆さん魅力的な立体視を求めてゲームを購入されるわけですし、その立体視にはやはりある種のノウハウがあります。任天堂製ゲームも最初は立体視があまりうまくいかなくて、(開発の)序盤で苦労したという話を聞いたこともありますので、ソフトメーカーさんとの窓口を対応している専務の波多野とも相談をしまして、ソフトメーカーさんに対して何らかの有効なサポートができるのであれば、積極的にすることがお客様の満足度を高めて、かつ最終的に3DSが勢いを得るために良いかと思いますので、そのような方向で考えたいと思います。

Q 9  ニンテンドー3DS vs スマートフォンについて、私が今使っているスマートフォンでは、カーナビになったり、ビデオ機能、カメラで撮影してそれを加工してインターネットにアップをして自分の友達に見せるというような、1台10役ぐらいの機能があるが、ニンテンドー3DSでは、スマートフォンのように1台で何役もこなす機能を付加することは考えないのか。
A 9

岩田:

 最近は携帯電話の機種変更をされる方も、昔ながらの携帯電話ではなくて、スマートフォンと呼ばれる携帯電話を選ばれることが多くなっていますが、この流れは、大きくはアップルさんのiPhoneが作られた流れで、私自身もユーザーの一人ですので、どんなことができるかはもちろん存じています。かつてであれば、パソコンを使わないとできなかったようないろいろなことを、手のひらの中に収めて使えるようにした点が評価されていると思います。一方で、スマートフォンにできること、スマートフォンが得意なことで、ニンテンドー3DSが競争いたしますと、スマートフォンの作られている台数、あるいはスマートフォンに向けて開発をされている開発者の数と、任天堂はまともに力勝負をしなければいけなくなってしまいます。任天堂は、まともな力勝負をして結果を出してきた会社ではなくて、私たちがこれまで達成してきたように、多くの方が実はあまり注目していなかったポイントに、「何か条件が一つ変わるだけで、お客様にとっての価値ががらっと変わる」ということを見つけたり、任天堂だからできる価値のあることを見つけて、世界中ですごくたくさんの方に受け入れられるということで結果を出してきた会社です。1台10役のスマートフォンでできるあらゆることに、一つ一つ各個撃破的に勝負しにいきますと、当然戦力は分散し、一個一個の戦いで苦戦を強いられ、結果お客様に驚いていただくことがないまま、じりじりと押されてしまうということが起こりかねませんので、「ニンテンドー3DSは、スマートフォンをお持ちの方であっても是非持ち歩きたいものであるためにはどうするべきか」ということを考えないといけないと思います。ですから、例えば「ニンテンドー3DSにGPSの機能を追加すれば、ニンテンドー3DSで3Dのカーナビが作れるはずだ」というのは理屈の上ではその通りですけれども、それを作るためにエネルギーを注ぐよりは、「ニンテンドー3DSでしか絶対に楽しめない」、iPhoneやその他のスマートフォンでは逆立ちしても楽しめない何かを作ってご提案し、そのソフトの要素の中から何かが真似されたり、取り入れられたり、参考にされたりして、スマートフォン用のアプリケーションができる頃には、さらに任天堂はその先の提案をしているというような順序で物事を運びませんと、なかなか明るい未来につながらないと思います。iPhoneやその他のスマートフォンをお使いの方でも、ニンテンドー3DSは持って歩く価値があると言っていただけるような、そういう商品、そういうソフトの提案ができるように努力したいと思います。


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