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株主・投資家向け情報

2015年6月26日(金)第75期 定時株主総会 質疑応答
質疑応答
Q 10

自己株式について。発行済株式に対して16.44%の自己株式を保有しているが、かなり多いという印象を持っている。自己株式の使い方としては、いろいろパターンがあると思う。日経新聞さんの以前のインタビューで、社長はMBO(経営陣による企業買収)を否定していたが、そういう使い方もあるだろうし、ほかの企業との提携とか、M&Aとか、あるいはここにいらっしゃる従業員さんへの報酬とか、そういう使い方もあると思う。株主としては消却してもらえば株主価値が上がるのでそういうのもありがたいと思うが、その辺りの使い方について、考え方を教えてほしい。

A 10

岩田:

 「当社の発行済株式数の中に占める自己株式の割合が世の中の水準より高いのではないか」という株主様のご質問に関して、「一般的に言われている水準からすると高い」というのは事実かと思います。特に、昨年、自社株買いを行ったあと、その割合が少し大きくなりましたので、「自己株式の扱いをどう考えるべきか」ということは、社内でも議論いたしました。今年はファミコンが生まれてから32年目になりますが、任天堂のビジネスはおそらくここ2、3年、過去にはなかった構造変化、転換期を迎えていると思っています。この転換期が起こったことの中には複数の要因があり、「『インターネットの普及』や『スマートデバイスの普及』であったり」、「ものごとのマーケティングの方法がどんどん変わっていったり」、「お客様の購買行動が変わっていったり」というようなことが急激に起こりましたので、任天堂もその構造の変化に対応しないといけない時期だと思っています。DeNAさんとの資本提携に際して、実際に自己株式を利用したのは、今年度(2016年3月期)に入ってからでしたので、(現在の)自己株式数は(招集通知等に記載の数より)減っていますが、それでも劇的に減ったかと言いますと、そうではありません。

 決算説明会や経営方針説明会の際にお話ししていることですが、今、当社のビジネスが転換期にありますので、「ここ数年の間は少し多めに自己株式を持たせていただきたい」と思っています。今後、この構造の変化を任天堂が乗り越えて、いろいろな新しい試みから実際に成果を出せた以降であれば、「自己株式をそれだけ持ち続けてよいのか」という議論は、消却も含めた検討をするべきだと思います。「自己株式を消却すると株価の上昇にプラスになるのではないか」とお考えの方もいらっしゃいますし、一方で、「自己株式をせっかく消却したけれどもちっとも株価には反映しなかった」という例もよくあったりします。「自己株式を有効に使えるのではないか」と考えるM&Aや業務提携を行う可能性がある転換期を乗り越えるまでは、今の形で保有させていただきたいと考えています。

Q 11

キャラクターのフィギュアやグッズの展開をもっと大々的に行うつもりはないか。例えば、『ポケモン』のサトシ、ハルカ、カスミ、アイリス、セレナ、ヒカリなどのキャラクターは世界中で人気があり、こういうフィギュアやグッズを展開していけば、任天堂の収益にもなる。任天堂自身がフィギュアやグッズをつくらなくても、他社と提携していけば、新たな出会い、発展があるのではないか。

A 11

岩田:

 先ほどIP(知的財産)の活用というところでお話ししたことと回答が重なってしまいますが、任天堂はこれまで確かにグッズ展開を積極的にやってきたとは言い難いと思います。これからはもっと積極的に行っていくべきではないかということは社内で議論していますし、また、そういう展開を進めるためのワールドワイドで見た体制が任天堂にとっては非常に重要です。当社は海外売上比率の高い会社ですので、キャラクターのライセンス展開を考えるときにも日米欧の地域における連携をいろいろ考えています。展開方法はグッズだけにとどまらず、例えば映像での展開かもしれませんし、映画やテレビ番組かもしれません。どういう形態になるか分かりませんが、投資効率がよいライセンス展開だけでなく、任天堂でリスクをとってでも行うべきと判断したことについては、やっていきたいと思います。一方で、世の中には短期的に大ヒットしてグッズが山ほど出たけれども、ブームが去り、その後は在庫の山という終わり方をするものも決して少なくありません。それでは任天堂のキャラクターの価値にも傷がついてしまいますし、結果的に長期の企業価値の向上という点で決してプラスになりません。ですから、単に展開数を増やすというのではなく、本当に当社の長期的な価値の向上につながるかどうか適切に判断しつつ、今まで以上に積極的に展開していきたいというのが現在の考えです。

Q 12

Wii Uの『Splatoon(スプラトゥーン)』が100万本の販売を達成したということで、続編ものではない新規のソフトがここまで受け入れられているということに対して、お喜びを申しあげる。バーチャルコンソールの売上の規模はどれほどか。また、できればすべてのソフトがいつでも買えるような状態にしてほしい。たまに配信が終わるソフトもあるので、すべてのソフトがいつでも買える仕組みというのが継続できないものなのかどうかを教えてほしい。

A 12

岩田:

 『Splatoon(スプラトゥーン)』は、最近テレビでよく宣伝をしていますので、ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、シリーズ作ではなく完全な新作です。かなり荒唐無稽な世界観でして、墨を吐くイカからインスピレーションを得ており、イカをモチーフにした人型のキャラクターが、墨を吐くのではなくインクを撃ち合って、より多く自分色のインクに染めたチームの勝ちというゲームです。新規性を非常にご評価いただいて、発売1か月未満で(実売本数で)100万本以上を達成できたことは、シリーズ作ではないだけに、事前にそれほど楽観的に考えてはいませんでしたので、ご支持いただけて大変ありがたいと思っています。

 バーチャルコンソールの売上規模というご質問については、当期(第75期)のダウンロード売上が全体として313億円であり、前期と比較すると30%増えているということは対外的にご説明していますが、バーチャルコンソールのみの売上は個別開示していません。

 バーチャルコンソール自体は、Wiiをつくったときに、「昔のゲームが新しいゲーム機で遊べたらいいのにね」ということから始まったサービスで、今もいろいろなものを配信しています。ただ、開始する時点で、私たちが、このビジネスがどれだけの大きさになってどういう展開になるのかということまで読み切れなかった点もあります。例えば、バーチャルコンソールのソフトは基本的には元のソフトをベースにつくるわけですが、元のソフトさえあれば何種類でも簡単につくれるのかというとそうではなく、各ゲーム機の上でしっかりとテストをして問題なく動作するかといったことや、現在のさまざまな基準に照らし合わせたときに不適切なことはないのかといったことなど、結構細かい手作業が必要となります。ですから、「バーチャルコンソールのラインアップの増えるペースが遅いのではないか」というご意見を一部の方からいただくことがありますが、こうした手作業ばかりに人手をとられますと新作をつくれませんので、「限られた人員の中でどうやってより効率よくつくるか」ということについて今いろいろ研究しています。「これから新しいプラットフォームができたときに、『ほんの少しずつしかバーチャルコンソールがリリースできない』ということがないようにするにはどうするか」というのは、当社のシステム開発上の一つの大きなテーマになっています。

 また、「すべてのゲームがバーチャルコンソールで揃うのか」ということに関しては、当社自身で出したソフトは自分たちである程度権利の把握ができているものが多いので、少数の例外を除いては配信可能です。しかし、ソフトメーカーさんのソフトについては、例えばほかの版権者さんから許諾を得てつくっている場合、これは今、テレビ番組の再放送とかインターネット放映などでもよく問題になるのですが、「当時の権利者の方から許諾を得られていないので簡単に今の仕組みに適応できない」ということがあります。ですから、もともとの契約にはない条項の交渉をソフトメーカーさんにしていただいた上で話がまとまらなければ配信に至らないため、「要望は多いけれどもなかなか簡単には配信できないものがある」ということはご理解ください。これから、少しでもバーチャルコンソールのラインアップにご満足いただけるように努力したいと思います。

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