仕事の領域を2つの軸で広げる仕事の領域を2つの軸で広げる

エンジニアとして基本を大切にする

一般的にWebサイトを制作する際のエンジニアは、主に「フロントエンドエンジニア」と「バックエンドエンジニア」に分かれます。前者は主にお客様に見える部分、つまりサーバーから取得したデータをブラウザーで表示する部分を実装する役割であり、後者はお客様に見えない部分であるサーバー側のシステムを構築する役割です。私はフロントエンドエンジニアとして、「My Nintendo Store」と「My Nintendo Switch History」の2つのプロジェクトに関わり、同時進行で制作を進めることになりました。

「My Nintendo Store」は、任天堂のさまざまな商品を購入することができる公式オンラインストアです。私は、ゲームのダウンロード版などのデジタルの商品を、パソコンやスマートデバイスから購入する仕組みの構築に関わったのですが、これは決済にも関わる要素を含み、長く使用しつづけるものでもあるため、遵守すべき事項も多い開発プロジェクトでした。一方、「My Nintendo Switch History」は期間限定で公開したサイトです。データ提供に同意いただいたお客様が、Nintendo Switchを実際に遊ばれた履歴をもとに、その年に最も長く遊んだゲームをランキング形式で表示するなどして1年間を振り返ることができるWebサイトで、ある程度自由な構築が可能なプロジェクトでした。

私が開発を任された2つのWebサイトは、それぞれ性質の異なるWebサイトです。同時並行でWebサイトの開発をするには、業務を単純に進めてしまうのではなく、工夫して効率化する必要がありました。そこで私は、二つのWebサイトのUIの部分に注力することにしました。それぞれのWebサイトでのUI開発を進めていくなかで、デザインのバリエーションの洗い出しや、アクセシビリティへの対応、テストの組み込みなど、性質の異なるWebサイトで共通している部分が、Webフロントエンド開発の基本となる部分でもあることが分かりました。これは、開発においては単純なショートカットになるような抜け道はなく、基本を大切にしながら基礎を築いて開発を進めていくことが、結果として効率的な開発にも繋がることになると考えました。

実際にこの発想によって、性質の異なる2つのWebサイトであっても、両方で同じ考え方をベースに開発を進めることができ、大きな効果を得ることができました。結果として、品質を磨きこんで予定どおりにリリースをすることにも繋がったと考えています。この経験は私にとって、フロントエンドエンジニアとして普段からUIに関する技術に注目し、基本をしっかり理解することの大切さにあらためて気づくきっかけにもなりました。現在もそれを実践するように心掛けており、今では複数のプロジェクトに同時に参加しても、スムーズに担当できるようになったと感じています。

デザインに視野を広げる

フロントエンドエンジニアは、デザイナーが考案したデザインをコードに書き起こして、実際に触れられる形にしていくことも仕事の一つです。2つのWebサイトを構築する際にも、それぞれのサイトのデザイナーと密接なやり取りをして、イメージしている手触り感やインタラクション性などを実現できるように実装を進めていました。ですが実装を進めるなかで、どうやって実現するかに苦心する場面もありました。品質を磨きこむためには、スムーズな実装と実現精度の向上はどちらも不可欠です。そこで私は、実際にお客様が触られる画面をイメージどおりに実現するために、技術面の専門性を高めるだけではなく、デザイナー職域の理解も広げようと考えました。

例えば、実際にデザイナーと同じツールを利用しながら、仕様変更の可能性がある部分ではあらかじめ柔軟な設計をするなど、デザイナーとプログラマーが一緒にWebサイトの構成を検討し、あとからでも機能を追加しやすくしました。このような制作の進め方によって、よりデザインの意図や、制作過程で発生する課題を、自分の肌感覚でも理解できるようになり、デザイナーのイメージを実現しつつ柔軟性の高いWebサイト開発を目指せるようになりました。

こうしてエンジニアとして基本を大切にすることと、違う領域にも関心を持って広い領域を理解することの2つの軸を伸ばしてきたことは、自分の仕事の幅を広げることにも繋がったと考えています。

2つの軸を意識することは、考慮する幅も広くなる難しさがあります。それに加えて、お客様体験の質をより高めるため、任天堂のフロントエンドエンジニアには、例えばNintendo Switchのニンテンドーeショップなどのようにゲーム機でのWebコンテンツの表示に対応するための専門的な知識や理解が求められる業務もあります。任天堂のWebサービスは世界中のお客様にご覧いただいており、フロントエンドエンジニアとしての腕が常に試される環境です。私はこれからも、その難しさややりがいと向き合いながら日々の開発業務に取り組んでいきたいと考えています。

社員略歴

鉾館企画制作部/2018年入社
2018年「理工系(ソフトウェア)」入社。
「My Nintendo Store」や「My Nintendo Switch History」など、任天堂のeコマース、アカウントに関わるサービスのフロントエンドエンジニアとして開発業務に携わる。
職種

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