任天堂のゲーム専用機で遊べるゲームは、世界中で数多く販売されています。これらのゲームは、対応するゲーム専用機の全モデル(同一モデルの部品違いを含む)・全バージョンで正常に動作すること、そして任天堂が定めたガイドラインに適合していることを確認して、はじめて販売できるようになります。この確認工程を「ロットチェック」と呼び、製品の安定性と信頼性を保証するための重要な検査として、私たちソフトウェア品質管理部が責任を持って実施しています。
私が入社した2021年は、「Nintendo Switch(有機ELモデル)」が発売された年でした。新入社員だった私は、10月の発売に向けて「Nintendo Switch(有機ELモデル)」をロットチェックに導入するチームに加わることになりました。
ソフトウェア品質管理部における私の役割は、検査用本体を用意するだけではなく、開発部門から正確な情報を収集し、それを検査内容に落とし込むこと、検査の担当者であるテスターを支援すること、そして不具合が見つかった場合には開発部門へ報告することなど、多岐にわたります。
特に難しかったのは、情報の整理と最適化です。ゲーム専用機の開発は、多くの社員が関わる大規模なプロジェクトであり、担当者や情報の入手先もひとつではなく、待っているだけでは必要な情報は集まりません。そこで私は、開発担当者に積極的に声をかけ、ソフトウェア品質管理部の視点から気づいた点を伝えることで、必要な情報が自然と集まるような環境づくりに努めました。
しかし、情報が多方面から集まると混乱を招くこともあります。そこで、開発部門の協力を得て、ロットチェックの内容を検討する専用の相談スペースを立ち上げ、窓口を一本化することで、情報収集をスムーズに行えるようにしました。
集めた情報はテスターにもタイムリーに伝える必要があります。ただし、日々更新される膨大な情報をすべて伝えると、テスターが混乱し、負担にもなります。そこで私は、「検査に絶対に必要な情報」と「あれば便利な情報」に分類し、前者はマニュアル化して確実に伝え、後者は必要に応じて参照できるナレッジとして別途まとめることで、メリハリのある情報発信を工夫しました。
特に苦労したのは、アメリカやヨーロッパの子会社に検査内容を展開する際です。翻訳者を介することで、どうしても誤解が生じやすくなります。そこで、複雑でわかりにくい部分については、事前に翻訳者と丁寧にすり合わせを行い、共通理解を得たうえで、テスターとのミーティングに進むようにしました。一つ一つ段階を踏みながら、確実に情報を伝えることを心がけました。
無事に新しいゲーム専用機をロットチェックに導入できたときはほっとしました。しかし、導入した後も各部門と連携しながら、検査内容のアップデートは継続して行います。そのため、導入後も気を抜かず、継続してコミュニケーションをとることが重要です。
仕事を通じて日々実感するのは、「一人だけ」「一部署だけ」で解決できることはほとんどない、ということです。さまざまな立場の人と協力し、コミュニケーションを円滑にするためには、相手の立場に立ち、サービス精神旺盛に自分からアクションを起こしていく姿勢が何よりも大切だと思います。
情報を受け取る際には、「多分こうだろう」と思い込まずに、「自分はこう理解しました」と一つ一つ確認することで、行き違いを防ぎます。また、こちらから情報を伝える際には「意図」と「目的」を明確にすることを心がけています。ここがあいまいだと、どれだけ詳しく伝えてもよい結果につながりません。
質問しやすく、質問されやすい関係づくりも大切です。文字だけのやりとりではどうしてもドライになりがちなので、海外の子会社とのやりとりでは、定期的なリモートミーティングを設定するなど、できるだけ顔を見て直接話せる場を設けるようにしています。
ソフトウェア品質管理部が責任を持つロットチェックは、お客様が安心して遊べる、という「当たり前」を守る仕事です。できて当然、できないと大問題になるため責任は重いですが、ゲームが好きな私にとっては、たまらなく楽しい仕事でもあります。
社内外を問わず任天堂のゲーム専用機で提供されるすべてのゲームに関われることにワクワクしますし、ゲーム専用機やゲームの仕様を知れば知るほど「この機能はこうやって実装されているのか!」という発見があり、ゲームがますます好きになります。そして何より、お客様がゲームを楽しんでいる様子を見るたびに、大きなやりがいを感じます。