任天堂には「デザイン制作コーディネーター」という仕事があります。ひとことで言えば、デザイナーとデザイン業務を支える仕事です。私はその中でも、主要DCCツール(※)の管理・運用を担当し、技術検証や情報収集を通じて、技術面からサポートしています。
一見すると、専門的な知識が求められる仕事のように見えるかもしれませんが、ツールや技術の知識以上に「ちょっとした違和感に気づく感覚」や「現場の状況を読み解く力」が大事だと感じています。デザイナーの皆さんが安心して開発に集中できるように、技術と人とのつながりの両面から支えることを心がけています。
現場の課題を正確に理解するため、ときにはプロジェクトにしっかりと関わりながら、ツール開発やワークフローの提案など、実践的な支援も行います。また「誰に相談すれば良いかわからない」といった、あいまいな悩みをひろい上げ、適切な対応先を調整するなど、開発がスムーズに進むようコーディネートすることも大切な役割です。
※DCCツール・・・ゲームやCG業界で使用される3DCGモデルやアニメーション、エフェクトなどを制作するためのソフトウェア
私自身、デザインに関わるさまざまな仕事を経験してきました。現場で悩んだ経験を活かし、同じ目線で寄り添うことを第一にしています。そうした経験を活かしながら、どんな状況で、どんなことに困っているのかを正確に把握したうえで、現場に根ざしたサポートを行うことを常に心がけています。
現場では、原因が特定できず何から手をつけたら良いのか迷うことがあります。そこで、開発業務でも日常的に使用しているチャットツールをカスタマイズする形で気軽に問い合わせができる「デザイナーサポート窓口」を新たに用意し、組み込みました。ツールやPCの状態、作業工程などを確認しながら問題の発生条件を特定し、社内で解決可能な内容であれば、その場で対応します。
社内での対応が難しい場合は、社外に問い合わせる必要があります。これまでは私や社内の窓口担当の皆さんを通してお伝えしていたのですが、解決までに時間がかかる傾向がありました。そこでツールベンダー様と密に連携し、やりとりをシンプルにする方法を検討しました。これも同様にチャットツール上に専用窓口を設け、現場から直接先方へ問い合わせできる環境を整えることで、結果的に問題解決へのハードルを下げられたと感じています。
また、やり取りが英語で行われる場面では、ツールベンダー様とデザイナーの双方が意図を正確に伝え合えるよう、橋渡しをする支援も行っています。しっかりと伝わり、解決に至った瞬間は、相談したデザイナーの支えになれたと実感しますし、自分のことのように嬉しい気持ちになります。
こうした取り組みを通じて、デザイナーが創作に専念できる環境づくりが、少しずつ進められているように思います。「ありがとう」と声をかけてもらえる機会も増え、皆さんの力になれていることを実感しています。
開発現場では、プロジェクトの大規模化に伴い、デザイン業務の分業化が進んでいます。その一方で、全体を見渡して課題を見つけ、解決に取り組む視点の重要性も高まっています。変化する環境と進化する技術の両方に対応するためには、私たちもサポートの工夫と改善を重ねることを大切にしています。
複数のプロジェクトから多様な相談が寄せられるため、ときには大変さを感じる場面もあります。しかし、その状況こそがこの仕事の意義を表していると実感し、皆さんと一緒にもっといい環境を作れるように「がんばろう!」という気持ちが自然と湧いてきます。
現場を支える存在として、技術と人をつなぎ、開発の質を高める一助となれること。それが、デザイン制作コーディネーターのやりがいだと感じています。