Nintendo Switch 2 は、従来のNintendo Switchの特徴をさらに進化させたゲーム機です。あざやかな大画面ディスプレイ、マグネットでの取り外し可能なJoy-Con 2 など、ハードウェアの機能強化に加え、新機能として、ゲームプレイ中に離れた場所のフレンドと気軽にチャットできる「ゲームチャット」を追加しました。この機能の開発にあたり、私はUI/UXデザイナーとして携わりました。
社内のUI/UXデザイナーが関わる領域は、ゲームソフトにとどまらず、本体機能、スマートデバイスアプリ、Webサービスなど多岐にわたります。私の場合も、入社当初はゲームソフトを担当し、その後は本体機能に携わるなど、異なる領域のUI/UXデザインを経験してきました。
領域が変わっても、UI/UXデザインで大事にしているのは「お客様にとって、わかりやすく使いやすいこと」です。たとえば本体機能の場合、「主役はゲームであること」「明快でシンプルな見た目」「軽快な操作」を実現することを心掛けています。「ゲームチャット」のデザインも、こうした視点を踏まえて検討を進めました。
「ゲームをしながらチャットする」という新しい体験を、ストレスなく楽しんでいただくためには、いつでも気軽に使えるシンプルな操作が必要だと感じました。そこで、チャットをワンアクションで開始できるよう、コントローラーに専用の「ボタン」を搭載するアイデアを考えました。
一般的にはハードウェアの開発はプロダクトチームの領域ですが、社内ではお客様にとってわかりやすく使いやすいUIを実現するため、チームを横断して意見を出し合う文化や機会があります。今回もその一環として、UI/UXデザイナーの私もハードの仕様検討に関わりました。
ハードウェアのデザインは、製造工程の制約上、ソフトウェアより早く確定する必要があります。短期間でハードとソフトの両面から総合的に判断するため、UI/UXデザイナー、プロダクトデザイナー、ディレクター、プロデューサーが毎日のように議論を重ね、「ボタン」の必要性、サイズや配置、押し心地、アイコンのデザインなど、細部にわたり検討しました。
最適な案を選ぶため、多くの試作を重ね、実際に見て触れながら調整しました。ボタン上のアイコンについても、意匠面でのわかりやすさだけでなく、会話に関連する単語(Chat / Communication / Conversation…)を連想できること、お客様にとって呼称しやすいこと、本体機能内での説明が簡潔にできること、既存のA・Bボタン配置と調和することなど、複数の観点から総合的に評価し、最終的にはホームボタンの下に「C」と描いたシンプルな「Cボタン」を配置することに決まりました。
UI/UXデザインは、見た目を整えるだけでなく、ソフトとハードをつなぎ、体験全体を考えていく仕事だと感じています。親指に収まる小さな「Cボタン」にも多くの議論や試作の過程があり、その一つひとつが快適な体験につながっています。このプロジェクトでは、チームで協力しながら新しい体験を形にできたことが、大きなやりがいになりました。これからも、こうした挑戦を続けていきたいと思います。