同じ建物で開発するメリット

“触り心地”や“遊び心地”を高めるために

HD振動は、Nintendo Switchの大きな特長のひとつです。これまでのゲーム機で採用されていた振動の機能は、震えるか、震えないかという、ほとんど2パターンの表現だったのですが、このHD振動によって、極めて細密な振動を生み出せるようになり、ゲームのなかで多彩な表現をすることが可能になりました。


HD振動についての研究は、Nintendo Switchが発売される、ずいぶん前からはじまりました。ですが、最初から振動にフォーカスしていたわけではなく、コントローラーを握ってゲームプレイをするなかで、いかに“触り心地”や“遊び心地”を高めることができるか、ということを研究していたのです。その過程のなかで注目したのが“触感”です。映像と音に合わせて、適切に振動を加えると、とても心地よい体験が得られることがわかったんですね。

Joy-Con™の振動部分

ところが、これまでの振動機能では、思った通りのタイミングで震えなかったり、振動の強弱を自由にコントロールすることができませんでした。そこで、新しい振動のシステムを開発するために、さまざまな部署のスタッフが集まってチームを作ることになったのです。同じ建物の中で、ハードやソフト開発者が働いているからこそ、それが可能になったのですが、そのチームで何度も試行錯誤を繰り返した結果、HD振動のデバイスや開発環境を完成させることができました。


ただ、細かな振動を発せられる機能ができたからといって、すぐにゲームに活用できるわけではありません。何かが爆発したときに、ブルブルと振動させるようなことはわかりやすいのですが、例えば、マリオがコインを取ったときに、どんな振動をさせればいいのか、私たちのチームでは見当もつかなかったのです。

思いつかなかったような使われ方も

そこで、HD振動がNintendo Switchに採用されることが決まっていない段階だったのですが、コントローラーの試作品を作り、ゲーム開発チームにプレゼンすることにしたのです。今週はこのチーム、来週は別のチームというように、順繰りにゲーム開発チームに出向いては、「こんなこともできますよ」という提案をしました。そういうことができたのも、ゲームを開発する人たちもまた、同じ建物で働いているメリットだと感じました。


その結果、いろんなゲームでHD振動に対応してくれることになり、Nintendo Switchへの搭載も正式に決まりました。そして何よりもうれしかったのは、HD振動を作った私たちにも思いつかなかったような使い方を、ゲーム開発者が生み出してくれたことです。例えば、HD振動にフォーカスした『1-2-Switch(ワンツースイッチ)』内のゲーム「カウントボール」では、まるで本当にJoy-Conの中にボールが入っているような表現が実現できました。また、『スーパーマリオ オデッセイ』は、帽子を投げるアクションが特徴のゲームですが、帽子が戻ってきたことが手の感触だけでもわかるんです。それに、バイクに乗ったときや水面に飛び込んだときに振動を感じられるなど、いろんなシーンでHD振動が使われています。

これまでのゲーム作りでは、“視覚”と“聴覚”に訴えるものがほとんどでしたが、このHD振動によって、“触覚”への訴求も重要になると感じています。そして今後も、新しい遊びがどんどん生まれてくることを、HD振動の開発者のひとりとして、とても楽しみにしています。

社員略歴

青木 孝文技術開発部/2010年 入社
2010年「理工系(ソフトウェア)」入社。Wii U GamePadのシステム開発や、『amiibo』プロジェクトの開発に関わる。その後、Nintendo Switchの「HD振動」機能の開発を担当。
職種