自ら率先して最後まで面倒を見る自ら率先して最後まで面倒を見る

HD振動の機能をとことん活かす

私が入社して、最初に配属されたのは『スーパーマリオ オデッセイ』のチームです。当時は開発の初期段階で、私は敵のプログラムなどを作っていました。


あるとき、私はプログラムリーダーから「HD振動」のプログラム担当を任されました。当時はサウンドスタッフがHD振動の研究を行っていたのですが、本格的にゲームにHD振動をいれていくためにプログラム担当として私が入り、サウンドスタッフとタッグを組んで進めていくことになりました。HD振動は実際に触ってみると、これまでの振動と比べて圧倒的に表現力が高いと感じたので、HD振動の機能をとことん活かしてゲームの魅力を高めていこうと思いました。


『スーパーマリオ オデッセイ』は、2つのJoy-Conを左右の手で持って遊ぶのが基本です。そこで、ゲームの状況に応じて左右のJoy-Conの振動の強さを別々に変える仕組みをつくりました。たとえば「キラー」という敵は、大砲から飛び出して何かにぶつかったりすると爆発しますが、その位置がマリオの右側であれば右手のJoy-Conを強く、左手のJoy-Conを弱く振動させています。また、「アッチーニャ神」というボスはロケットパンチで攻撃してくるのですが、HD振動は揺れの強弱だけでなく周波数も調整できるので、パンチが向かってくるときは周波数を上げ、マリオの後方に通り過ぎるときは下げるようにしました。つまりドップラー効果を狙ったもので、HD振動だからこそ実現できた表現のひとつです。

振動が変化する様子

最終目標は少しでもゲームをよくすること

『スーパーマリオ オデッセイ』はすごく規模の大きなゲームで、さまざまな敵や仕掛けが登場します。そこに自分とサウンドスタッフの2人だけで、ひとつひとつHD振動を設定していったのでは、いくら時間があっても足りません。そこで、誰でも簡単に振動の設定を追加できるような環境を整備し、各ステージを担当するプランナーやデザイナーたちが、自分たちでHD振動を付けられるようにしました。これにより、ゲームの隅々にまでHD振動が付いたのですが、ひとつ困った問題が起こりました。HD振動の付けかたに個人差があったため、ゲーム全体を遊んでみるとバラつきを感じる状態になってしまったのです。たとえば強い振動が好みの人は振動を強くしたり、Joy-Conの握りかたによって振動の感じかたが違ったりするため、振動の付けかたに違いが生じてしまいました。


そこで、私は自ら率先して、最後までHD振動の面倒を見ることにしました。開発は終盤を迎えており、プログラマーとしてはデバッグという重要な仕事があったのですが、それをやる傍らで、ゲーム全体のHD振動を見直し、調整することにしたのです。それは決して楽な仕事ではありませんでしたが、少しでもゲームをよくすることが最終目標ですから、最後までがんばることができたのだと思います。


ゲーム内のさまざまな場所から振動が発生

『スーパーマリオ オデッセイ』は、いろんな仕事に関わるジェネラリストのチームが作ったゲームです。じつは例に挙げた「キラー」も「アッチーニャ神」も私がプログラムした敵で、もし自分がHD振動だけを担当するスペシャリストだったとすれば、ドップラー効果を使おうというアイデアは生まれなかったでしょうし、ゲーム全体を見ての調整に踏み切ることもできなかったかもしれません。ジェネラリストだからこそ多面的な仕事ができ、より楽しい遊びにつながっていくのだと思っています。


社員略歴

栗原 竜矢企画制作部/2014年 入社
2014年「理工系(ソフトウェア)」入社。
Nintendo Switch 『スーパーマリオ オデッセイ』(2017年)ではゲームプログラマーとして、敵や仕掛けの挙動、海や雲海のグラフィックス表現、HD振動の制御などの実装に携わった。
職種