世界同時発売を支える世界同時発売を支える

世界同時発売を目指して

2017年3月3日に日米欧豪で同時発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』。左から、日本版、欧州版、北米版。

かつて、国内で制作されたゲームは、まず日本で発売され、海外の言語や文化に合わせたローカライズやカルチャライズの作業を経たうえで、数か月後に海外で発売されることが一般的でした。しかし、インターネットを介して瞬時に情報が国境を超えて共有される時代になり、任天堂では2017年発売のNintendo Switchの頃から、ゲームソフトの世界同時発売を以前よりも強く目指すようになりました。
世界同時発売を実現させるためには、ゲーム開発と並行して、ローカライズやデバッグなどの作業を同時に進める必要があります。しかも近年は、ゲームの規模が大型化するとともに複雑化する傾向にあり、その開発に関わるスタッフの数も増え続けています。ですから、仕様変更や開発の状況を、国内だけでなく海外のスタッフにも素早く共有することが、ゲーム開発の効率を上げるうえで重要な要素となってきています。

世界中のお客様の期待に応えたい

タスク管理システムの画面例

入社一年目、新人研修を終えた私はWebアプリケーションの開発効率を上げるために、新しいフレームワークによる開発手法の調査をしていました。とはいっても、いきなりすべての作り方を変えるのは大変ですし、私自身、まだ実績もありませんでした。そこで、古い開発手法には影響が出ないようにしたうえで、新しい開発手法が手軽に導入できる仕組みを整え、所属しているチーム内に提案をしました。その流れで、新しいタスク管理システムの開発メンバーとしてアサインされ、私が進めていた仕組みも開発に採用されることになりました。

従来のタスク管理のシステムでは、開発チームごとに別々になっていたり、プログラマー用、デザイナー用、デバッグ用、ローカライズ用と目的別に分かれていたりしていたため、開発の各セクションを横断した進捗管理がしにくいという課題がありました。それに対して、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の開発では、いくつかのシステムを統合してみた結果、プロジェクト全体の進捗管理やタスクの優先順位付けがしやすくなったという効果が実証されていました。このアイデアを発展させて、より適用範囲を広げた新しい統合タスク管理システムの開発がスタートしていたのです。

タスク管理システムを統合するといっても、ひとつの大きなサーバーで処理しようとすると、あるプロジェクトで問題が起きたときに、他のチームの開発がストップする事態にもなりかねません。そこで、マイクロサービスアーキテクチャを導入することにしました。マイクロサービスアーキテクチャとは、サーバーをプロジェクトや機能ごとに独立させた構成にして、複数の細分化したサービスを連携させる開発手法です。この開発手法を採用することにより、ゲーム開発の規模が大きくなった場合でも、そのサーバーを増強して対応できますし、老朽化したサービスがあれば、新しく作り直して切り替えるといったことも可能になりました。

マイクロサービス化は、海外の開発スタッフとの連携にも役立っています。例えば、もともと使用していた機械翻訳サービスが使いにくいという問題がありました。この対策として、ゲーム内の固有名詞を反映できる機械翻訳サービスに切り替えることで、翻訳精度を高めることができました。また、タスクの文章は自動翻訳だけでなく翻訳チームによる人的な翻訳も行われています。そのために、タスクの文章データを共有しながら、翻訳に特化した専用のビューを別途サービスとして立てており、翻訳の効率を上げることに成功しています。
このような施策により、異なる言語間のコミュニケーションを円滑化することができ、世界同時発売にかかるコストを削減できるようになりました。

世界のどこで暮らしていようとも、おもしろいゲームを母国語でプレイし、世界中の人たちと楽しみを共有したいというお客様はたくさんいらっしゃいます。私が開発に携わったシステムを使って効率よくゲームを開発できるようになり、その結果、世界中のお客様が歓びと驚きを同じ時期に感じ、楽しんでいただけるようになることに貢献できればうれしいですね。

社員略歴

石田 竹至

石田 竹至企画制作部/2017年入社
2017年「理工系(ソフトウェア)」入社。
企画制作部に配属されて以来、開発スタッフが利用する内製Webサービスの開発に携わる。ゲーム開発のワークフローを実現するバックエンドの開発から、スタッフが直接作業を行うフロントエンドの開発まで、Web技術を活用した幅広い開発業務を行っている。
職種