3. 週に1度くらい「街へいこうよ」

岩田

じゃあ、そろそろ2つめの軸について訊くことにしましょうか。

野上

いえ、WiiConnect24に関しては
まだお話することがあって・・・。
サブタイトルにもなっている「街」のことなんです。
今回、街をつくったのもこの機能を活かしたかったからなんです。

岩田

そもそも街は、どのような場所なんですか?

野上

イメージとしては街はこの世界に1つだけ存在していて、
そこにみんなの村がつながっているという感じです。
その街はサーバに置かれてるわけではなく
プレイヤーそれぞれのソフトのなかにありますので
データとしてはぜんぜん別物なんですけど、
そこに行くと、みんなが同じ場所に行ってるような
感覚になれるようにしました。

岩田

別物なのに、どうして同じ印象を持てるんですか?

野上

街ではプレイヤー同士が出会うことはできないんですが、
たとえば、「この間、○○ちゃんが遊びに来てたよ」って
街のどうぶつが教えてくれたりするんです。

岩田

つまり、だれかが街に遊びに行くと、
それをどうぶつがしっかり見ていて
あとから街にやってきたプレイヤーに
教えてくれるようになっているんですね。

野上

みんなが似たような体験をできることで
同じ街に来てるという感覚になってくれればと思ってるんです。

岩田

なるほど。
で、街にはどんなものがあるんですか?

野上

いちばん大きいのは→グレースのお店ですね。
これまでのシリーズにも登場してきたキリンのデザイナーがいて、
そのグレースがついに自分のショップを建てたと。

岩田

ちょっと気取った物言いをするキャラクターですね。

野上

はい。そのグレースがたまにお店に出てきて
プレイヤーのファッション批評をしてくれるんですけど、
そのときの評価が別の村のどうぶつにもウワサで伝わって
「○○村の△△ちゃんはイケてたから、あなたも見習いなさい」って
言われたりするんです。

岩田

じゃあ、街に出かけるときは
おしゃれをしたほうがいいんですね。
で、グレースのお店に入っておしゃれな服を買うと。

野上

でも、グレースのお店の商品は恐ろしく高価なんです。
村で売ってる商品の20倍くらいの値段です。
しかも、村のたぬきちの店とは違って
商品の品揃えが固定されていて
四半期、つまり3ヶ月ごとに切り替わるんです。

岩田

「四半期ごと」って、やけにリアルですね(笑)。

野上

四半期ごとに、季節にあった商品を入れ替えるんですけど、
入れ替えの時期はバーゲンになります。
ただ、バーゲン目当てに街に買い物に行っても
売り切れになっている商品も多くて・・・。

岩田

ますますリアル(笑)。

野上

バーゲンは、どの街でも同じ時期にはじまるんですね。
だから、「今日からバーゲンだ!」って、
本当のバーゲンに行くような感覚で街に行けるんです。

岩田

つまり、わたしと野上さんが会社で会って、
「昨日からバーゲンがはじまったけど、もう行った?」
みたいな会話も生まれるということなんですね。

野上

そうなんです。その流れで言うと、
→パロンチーノという新しいキャラクターがいて
タダで風船をくれるんですけど
どの街でも同じ日に現れるんですね。
でも、いつ現れるのかはわからなくて・・・。

岩田

そこで、メールとかで
「今日街に行ったら風船もらったよ」って
教えあったりするんですね。

野上

「じゃあ、すぐ街に行かなきゃ」って。
ゲームの外でも、そのような会話が増えてくるとうれしいですよね。
あと、WiiConnect24を使った遊びとしては→オークションがあります。
誰かが出品した家具とかをほかの人が入札して、
実際に売り買いする仕組みです。
オークション期間は結構長いんですけど
その間に、たとえば
「このハニワ、ダブったから不要なんだけど誰かいる人いないかな?」
って、そこに置いておくと、
誰かが買っていってくれるようなことも起こるんですね。

岩田

つまりプレイ時間がそろわなくても
一緒に楽しめるんですね。

野上

そうなんです。しかも、
「○○村の○○ちゃんが買ってくれた」ということも
あとからわかるようになっているんですよ。

京極

あと、モデルルームでもすごくいいことがあるんです。
シリーズのおなじみの→ハッピールームアカデミー
いい点数を取ると・・・。

岩田

ハッピールームアカデミーというのは
村にある自分の部屋のレイアウトを審査してくれるところですね。

京極

そうです。で、ある日、テストプレイをしていたら、
毛呂さんの街のモデルルームに
わたしの部屋が飾られていたんです!
それを見たときは、すごくうれしくて(笑)。

毛呂

ハッピールームアカデミーでいい点数をとると
他の人のモデルルームに飾られるようになるんですね。

野上

あと、DS版のときに初めて登場した
→ししょーという旅芸人がいて、
いろんなリアクションを伝授してくれるんです。
友だちとテキストチャットをするときにとても役立つ
驚いたり、笑ったりするリアクションなんですけど、
ししょーは劇場に出演できるようになりまして。

岩田

みんな、街ができて出世したんですね(笑)。

野上

みんなというわけじゃないんですけど(笑)。
で、ししょーが教えてくれるリアクションは
1週間単位で変わるようになっています。
グレースのお店の品揃えが変わるのは3ヵ月に1度ですし、
あまり頻繁に通わなければならないとしんどいので、
街では変化が起こるスパンが、村よりも長くなっています。

岩田

つまり毎日、街に通う必要はないんですね。

野上

バスに乗っていくのも時間がかかりますしね。
ですから、日曜になったら
ちょっと街へ出かけてみようかな
みたいな感じで通ってもらえるといいかなと思っています。

岩田

なるほど。そう言えば、Miiに特殊メイクをしてくれるのは
街のなかにある美容院でしたよね。

小林

髪型を変えたりしてくれる→ビューティーサロンです。

岩田

わたしはMiiに関してすごく興味があったんです。
『どうぶつの森』ではどんな扱いにされるんだろうかって。

野上

自分がつくったのに、Miiを使わないって言ったら
たぶん怒られるやろうなって。

一同

(笑)

小林

実際「今度の『どうぶつの森』はみんなMiiになるんでしょ」って、
言われることが多かったんですね。
そこで、最初の頃は実験してみたんですけど
すごく違和感があって何より気持ち悪かったんです(笑)。

岩田

『Wii Sports』などに出てくるMiiと
『どうぶつの森』のキャラクターでは頭身が違いますので
異質なものに感じちゃうんでしょうね。

小林

ええ。それに、帽子をかぶったり、メガネをかけたりと
いろんなファッションが楽しめるのも
『どうぶつの森』の魅力だと思うんですね。
ところがMiiしか選べないようにしてしまうと
それが楽しめなくなってしまいますし、
もともとの主人公の顔を気に入っている
お客さんもいらっしゃいますし。

野上

そもそもMiiしか選べないとなると
遊んでいてちょっと重たい感じになりますよね。
そこで、特殊メイクという設定にして
→Miiをかぶったり脱いだりできるようにしました。

小林

でも、ただのかぶり物とは違って、
ししょーから伝授されたリアクションを
楽しめるようになっています。
Miiの顔で驚いたり笑ったりすることができますので
すごく新鮮なんですよね。

野上

だから、おでかけするときはMiiがおすすめです。

小林

友だちがMiiをかぶって自分の村に現れると
ホントにおもしろいんですよね(笑)。

京極

たまに別の人のMiiをかぶって現れる人もいるんです。
「この人、一体誰よ」って(笑)。

小林

そのイタズラをいちばんやってたのは、
京極さんだったじゃないですか(笑)。

岩田

それにしても、WiiConnect24という
新しい仕組みを採用することで、
今度の『どうぶつの森』には新しい要素が
どんどん足されていったことがよくわかりました。
それでは、そろそろ2つめの軸について話を訊くことにしましょうか。

野上

はい。