4. 「経験やひらめきをフル動員して、遊んでほしい」

岩田

一般的に「砂漠」という場所は
あんまり変化がなさそうなところにも感じるんですけど、
話を訊けば訊くほど、退屈しそうにない印象ですね。

藤林

そうですね。
今回の「砂漠」は、見た目もそうなんですけど、
ほかのステージに負けず劣らず、変化に富んでいますし、
ネタも歯ごたえのあるステージになったと思います。

岩田

ネタの出現率も高そうですよね。
実際にちょっと見せてもらっただけでも、
わたしにはそう感じられたんですけど、
今回、ここまで“濃密”になった理由は何だと思いますか?

北川

自分の場合は最初、
藤林さんや竹村さんたちがつくっていた
「転移」の実験を見せてもらったとき、
「これはすごい・・・」と感じたんです。

岩田

さっき藤林さんが言っていた、
弓矢を放つと、緑に変わるという実験ですね。

北川

そうです。
それに、「転移」することによって、
壊れているトロッコやロボットが
動くようになったりして、それを見ていたら
自分でもすごく触ってみたくなりましたし、
「これは面白いことができそうだぞ・・・」と
すごくワクワクしたんです。
それと同時に「これを無駄にしたくない!」と
心に強く思ったことが、いちばん大きかったと思います。

岩田

実験で終わらせたくない、と思ったんですね。

北川

はい。先ほど竹村さんが
言っていたことと重なるんですけど、
1つ目のステージをつくるにあたって、
自分たちでいろんなネタを考えて、
それを実際に動かしたりしていたんです。
でも、どうしてもわたしの担当したエリアに
入れることができなかったりしたんです。
ただ、ふつうはあきらめて
そのままにしておくことが多いんですけど、
「転移」というシステムから生まれたいろんなアイデアを
どうしても無駄にしたくなかったので、
「このネタ面白いから、使ってくれない?」と
周りに宣伝してまわったんです。

岩田

え? 北川さん自らが、
ネタのセールスマンになったんですか?(笑)

北川

はい(笑)。
でも、それはわたしだけでなく、
ほかのプランナーも、敵をつくっている人たちも、
みんな同じようなことをしていたようです。

岩田

へぇ〜、前回の「社長が訊く」でも、
→担当するフィールドを越えて、
ボコブリンのネタを交換しあっていた
と訊きました。
せっかく考えたネタは、なんとかして活かそうと
いろんな人が思い、それが実際に活かされた結果、
“濃密”につながったということなんですかね。

北川

そう思います。

岩田

藤野さんはどう思いますか?

藤野

いま、北川さんが言った
「このネタ使ってくれない?」
という話の続きになるんですけど、
僕がチームに入った時点で、
けっこうな量のオブジェとかが
たくさんできていたんです。

岩田

藤野さんは開発の途中から参加したんですよね。

藤野

はい。で、そのときひとつひとつを見て、
完成されていないけど
「これ、使えそう・・・」
「これ、使えなさそう・・・」
というものを取捨選択して、
頭のなかで回していったんです。

岩田

あ、さっきの話と手口がいっしょですね(笑)。
そのときにあった未完成なものを
わーっと集めてきて、
「磨けばいいものになる・・・」とか、
「これとこれをつなげたら面白い・・・」とか、
そういうことを考えたんですね。

藤野

そのとおりです(笑)。

岩田

だから、ネタの使い方も理詰めなんでしょうね(笑)。

藤林

そうなんですよ〜。
藤野さんはすべて理詰めなんです。
言い方を変えると、冷蔵庫に残った具材でも、
それらを集めて組み合わせることで、
内容を豪華にして、おいしい料理をつくり出せる料理人、
みたいなところがあります(笑)。

岩田

わかりました。
竹村さんは今回、“濃密”になった理由は何だと思いますか?

竹村

とにかくネタはすごくいっぱいあったので、
「砂漠」は3つのエリアで構成すると決まり、
ほかのステージと比べても広いんですけど、
藤林さんからは「こういう方向でつくってください」
というハッキリした方針が出ていましたから、
自分たちとしては、三人三様の個性を出しながら
担当のエリアをつくり分けることができました。
その結果、濃密で特徴のあるステージが
それぞれできたように思います。

北川

本当に「砂漠」のステージは、
バラエティ豊かになりましたよね。

岩田

人それぞれの個性を活かしつつ、
ほかの人が考えたアイデアも貪欲に活かした結果、
「砂漠」というステージが、バラエティ豊かで
“濃密”なものになったということなんですね。

竹村

そうですね。

岩田

では最後に、今度の『ゼルダ』をワクワクしながら、
楽しみに待っていただいているみなさんに、
「砂漠」のステージをつくった人たちから、
ひとりずつメッセージをいただこうと思います。
まず最初のエリアをつくった人、ということで、
北川さんからお願いします。

北川

はい。先ほども言ったように、
同じ場所でも、現在と過去の2つを
つくりましたので、その両方を味わってほしいです。
そのなかにはいろんな謎が詰め込まれていて
ちょっと歯ごたえがあったりもしますけど、
現在と過去を行き来しながら
がんばって謎を解いてください、
というのが、僕の思いです。

岩田

では、2つ目のエリアをつくった藤野さん。

藤野

いま話にあったように、
「砂漠」はとても歯ごたえがあって、
ときには「難しい!」と感じることもあると思うんですけど、
決して理不尽に感じるようにはつくっていませんので・・・。

岩田

そこは“理詰めダンジョン”ですからね(笑)。

藤野

そうです(笑)。
手ごたえのあるバランスを目指して
つくったフィールドとダンジョンですので、
ぜひとも最後まで遊んでいただきたいですし、
砂漠が海になる不思議さと、さまよう船を
捜す面白さも、ぜひ味わってほしいですね。

岩田

はい。では、3つ目のエリアの竹村さん。

竹村

「砂漠」では、「転移」を使って
現在と過去が楽しめるようになっていますけど、
じつはほかのステージにも
過去を意識するようなネタが入っていて、
それが「砂漠」と絡むようになっています。

岩田

「砂漠」だけで閉じていないんですね。

竹村

そうなんです。なので、
そういった部分も発見しながら
楽しんでいただければと思います。

岩田

そういうふうに言われると、遊んでいるときに、
「ひょっとして、これとこれがつながっているのかな?」
という感じで、キリなく楽しめることがありそうですね。
では、ディレクターの藤林さんからも、
ひとことお願いします。

藤林

「砂漠」のステージは、
シナリオにも大きく関係する建物があったり、
ゲーム全体のなかでも、シナリオ的に
転機を迎える場所でもあります。
また、剣術やアイテムの使い方、
それに謎解きに関しても
一段階アップしていますから、
それまでの経験やひらめきをフル動員して
遊んでほしいですね。
最後には、とても大きな山場を目撃することになるので、
ぜひ、楽しみにしてクリアを目指してもらえたらと思っています。

岩田

なるほど。「そのあとには、大きな感動が待っている・・・」
ということですかね。

藤林

はい(笑)。

岩田

楽しみにしています。
今日はどうもありがとうございました。

一同

ありがとうございました。